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人材開発支援助成金とは?高卒社員の育成に活用する方法

著者: 株式会社ゆめスタ
人材開発支援助成金とは?高卒社員の育成に活用する方法

「高卒新入社員の育成にかかるコストが負担になっている」「教育訓練に時間と費用をかけても、すぐに辞められたら元が取れない」そんな悩みを抱えていませんか?

実際に、中小企業の多くが人材育成に十分なリソースを割けず、結果として若手社員の早期離職につながっています。高卒新入社員の3年以内離職率は40.8%と高く、育成投資が無駄になるリスクは決して低くありません。

しかし、国が提供する「人材開発支援助成金」を活用することで、育成にかかる費用負担を大幅に軽減できます。

この記事では、人材開発支援助成金の中でも特に活用しやすい「人材育成支援コース」について、高卒社員の育成に焦点を当てて詳しく解説します。

この記事で分かること

  • 人材開発支援助成金の基本と人材育成支援コースの概要
  • 高卒社員の育成で活用できる3つの訓練タイプ
  • 具体的な支給額と計算例
  • 申請の流れと必要書類
  • 助成金を最大限活用するためのポイント

読了時間: 約8分


目次

  1. 人材開発支援助成金とは?
  2. 人材育成支援コースの3つの訓練タイプ
  3. 高卒社員の育成での活用方法
  4. 支給額と計算例
  5. 申請の流れと必要書類
  6. 2025年度の主な変更点
  7. 助成金活用の5つの注意点
  8. ゆめアカの人材育成×助成金サポート
  9. まとめ

人材開発支援助成金とは?

制度の概要

人材開発支援助成金は、従業員のスキルアップや人材育成を行う事業主を支援するための助成金です。職務に関連する専門的な知識や技能を習得させるための教育訓練を実施した場合、訓練にかかった費用や訓練時間分の賃金の一部が助成されます。

対象事業主:

  • 雇用保険に加入している事業主
  • 従業員に対して計画的な職業訓練を実施する事業主
  • 労働関係法令を遵守している事業主

助成の対象となる経費:

  1. 訓練費用(OFF-JTの外部講師費用、教材費など)
  2. 賃金助成(訓練時間中の賃金)
  3. OJT実施助成(OJT指導者の人件費相当)

高卒社員育成での活用メリット

高卒新入社員の育成には、以下のようなコストがかかります。

  • 入社時研修の費用
  • OJT指導担当者の人件費
  • 外部研修への参加費
  • 資格取得のための講習費

人材開発支援助成金を活用することで、これらのコストの一部を助成金でカバーでき、実質的な負担を大幅に軽減できます。


人材育成支援コースの3つの訓練タイプ

人材開発支援助成金には複数のコースがありますが、高卒社員の育成で最も活用しやすいのが「人材育成支援コース」です。

人材育成支援コースには、3つの訓練タイプがあります。

タイプ1: 人材育成訓練

概要:

  • **10時間以上のOFF-JT(座学研修)**を実施
  • 業務に必要な専門知識・技能の習得を目的とした訓練

対象者:

  • 正社員、契約社員、パート・アルバイト(一定の要件を満たす場合)

活用例(高卒社員向け):

  • 入社時の新人研修(ビジネスマナー、業界知識など)
  • 安全衛生研修(製造業、建設業など)
  • PCスキル研修(Excel、Word、PowerPointなど)
  • 業務に必要な専門知識の習得(機械操作、品質管理など)

タイプ2: 認定実習併用職業訓練

概要:

  • 中核人材を育てるためのOJT+OFF-JTの組み合わせ訓練
  • 訓練期間: 6ヶ月以上
  • OJTとOFF-JTの両方を計画的に実施

対象者:

  • 将来の中核人材として育成する若手社員

活用例(高卒社員向け):

  • 技術系社員の育成(工業高校卒の製造オペレーター→技術者への育成)
  • 営業職の育成(営業スキル+商品知識の習得)
  • 管理職候補の育成(リーダーシップ研修+実務経験)

タイプ3: 有期実習型訓練

概要:

  • 有期契約労働者等の正社員転換を目的とした訓練
  • OJT+OFF-JTの組み合わせ
  • 訓練期間: 2ヶ月以上6ヶ月以下
  • 2025年度から訓練修了後の正社員化が支給要件

対象者:

  • 有期契約社員として採用した高卒者
  • 派遣労働者として雇用した者

活用例(高卒社員向け):

  • インターンシップ経由で有期契約採用した高卒者を正社員化
  • 試用期間中の高卒新入社員の育成
  • 契約社員として採用した高卒者の正社員転換

高卒社員の育成での活用方法

シナリオ1: 新人研修での活用(人材育成訓練)

対象: 高卒新入社員(正社員採用)

訓練内容:

  • ビジネスマナー研修: 10時間
  • 業界知識研修: 10時間
  • 安全衛生研修: 8時間
  • 合計28時間のOFF-JT

助成額の例(中小企業の場合):

  • 訓練費用: 外部講師費用20万円 → 実費相当額を助成
  • 賃金助成: 28時間 × 800円/時間 = 22,400円
  • 合計約22万円の助成

シナリオ2: 有期契約社員の正社員化での活用(有期実習型訓練)

対象: インターンシップ経由で有期契約採用した高卒者

訓練内容:

  • OFF-JT: 80時間(外部研修、社内研修)
  • OJT: 320時間(実務指導)
  • 訓練期間: 3ヶ月

助成額の例(中小企業の場合):

  • 訓練費用: 外部研修費10万円 → 実費相当額を助成
  • OFF-JT賃金助成: 80時間 × 800円/時間 = 64,000円
  • OJT実施助成: 320時間 × 900円/時間 = 288,000円
  • 合計約45万円の助成

訓練終了後、正社員に転換することで、キャリアアップ助成金(40〜80万円)も併せて受給可能です。

シナリオ3: 技術者育成での活用(認定実習併用職業訓練)

対象: 工業高校卒の製造オペレーターを技術者に育成

訓練内容:

  • OFF-JT: 200時間(機械工学、品質管理、図面読解など)
  • OJT: 1,000時間(実務での機械操作、メンテナンス指導)
  • 訓練期間: 1年間

助成額の例(中小企業の場合):

  • 訓練費用: 外部研修費30万円 → 実費相当額を助成
  • OFF-JT賃金助成: 200時間 × 800円/時間 = 160,000円
  • OJT実施助成: 1,000時間 × 900円/時間 = 900,000円
  • 合計約136万円の助成

支給額と計算例

支給額の計算式

人材育成支援コースの助成金は、以下の3つの要素で計算されます。

1. 訓練費用の助成

計算式:

  • 実費相当額を助成(上限あり)

上限額(中小企業の場合):

  • 一般訓練: 30万円(1人あたり)
  • 有期実習型訓練: 30万円(1人あたり)
  • 認定実習併用職業訓練: 60万円(1人あたり)

2. OFF-JT賃金助成

計算式:

  • 訓練時間 × 賃金助成単価

賃金助成単価(2025年度・中小企業):

  • 800円/時間(2025年4月から引き上げ)

3. OJT実施助成

計算式:

  • OJT実施時間 × OJT実施助成単価

OJT実施助成単価(2025年度・中小企業):

  • 900円/時間

計算例: 高卒新入社員の3ヶ月育成プログラム

訓練内容:

  • OFF-JT: 80時間(外部研修40時間、社内研修40時間)
  • OJT: 320時間
  • 訓練費用: 外部研修費15万円

助成金の計算:

  1. 訓練費用の助成:

    • 15万円(実費相当額)
  2. OFF-JT賃金助成:

    • 80時間 × 800円/時間 = 64,000円
  3. OJT実施助成:

    • 320時間 × 900円/時間 = 288,000円

合計助成額: 15万円 + 64,000円 + 288,000円 = 502,000円

実質的な企業負担:

  • 訓練費用総額: 約80万円(訓練費15万円 + 人件費65万円相当)
  • 助成金: 約50万円
  • 企業の実質負担: 約30万円

申請の流れと必要書類

申請の基本的な流れ

人材育成支援コースの申請は、以下の7ステップで進めます。

ステップ1: 職業能力開発推進者の選任

内容:

  • 企業内で職業能力開発を推進する担当者を1人以上選任
  • 社内の人材育成計画を立案・実施する役割

選任方法:

  • 人事担当者、部門責任者などを推進者に選任
  • 労働局への届出は不要(社内で選任すればOK)

ステップ2: 事業内職業能力開発計画の作成

内容:

  • 訓練の目的、対象者、訓練内容、期間などを記載した計画書を作成

記載事項:

  • 訓練の目標(どのようなスキルを習得させるか)
  • 対象者(氏名、雇用形態)
  • 訓練カリキュラム(OFF-JT、OJTの内容と時間)
  • 訓練期間(開始日と終了日)
  • 訓練修了後のキャリアパス

ステップ3: 訓練計画の提出

提出先:

  • 都道府県労働局(または労働基準監督署経由)

提出期限:

  • 訓練開始日の1ヶ月前まで

提出書類:

  • 訓練計画届
  • 事業内職業能力開発計画
  • 訓練カリキュラム
  • 訓練実施機関の資料(外部研修の場合)
  • その他必要書類

ステップ4: 訓練の実施

実施時の注意点:

  • 計画どおりに訓練を実施
  • 訓練実施記録を必ず残す(受講者の署名、出席簿など)
  • OFF-JTとOJTを明確に区別して記録

記録すべき内容:

  • 訓練日時
  • 訓練内容
  • 指導者名
  • 受講者の出席状況

ステップ5: 支給申請

提出期限:

  • 訓練終了日の翌日から2ヶ月以内

提出書類:

  • 支給申請書
  • 訓練実施状況報告書
  • 受講者の出席簿
  • 賃金台帳、出勤簿
  • 訓練費用の領収書
  • その他必要書類

ステップ6: 労働局の審査

審査内容:

  • 訓練が計画どおりに実施されたか
  • 支給要件を満たしているか
  • 書類に不備がないか

審査期間:

  • 約2〜3ヶ月

ステップ7: 助成金の受給

受給方法:

  • 審査完了後、指定口座に振込
  • 訓練終了後、約3〜5ヶ月後に受給

電子申請の活用

2025年度から、雇用関係助成金ポータルでの電子申請が可能になりました。

電子申請のメリット:

  • 書類の郵送が不要
  • 申請状況をオンラインで確認できる
  • 申請書の記入ミスを減らせる

株式会社ゆめスタのゆめアカでは、助成金申請の電子申請サポートも行っており、申請手続きの負担を大幅に軽減できます。


2025年度の主な変更点

変更点1: 賃金助成額の引き上げ

最低賃金の引き上げなど昨今の賃金上昇を踏まえ、賃金助成額が引き上げられました。

変更内容:

  • OFF-JT賃金助成: 760円/時間 → 800円/時間
  • OJT実施助成: 860円/時間 → 900円/時間

変更点2: 有期実習型訓練の正社員化要件

有期実習型訓練において、訓練修了後に対象者を正社員化することが支給の要件となりました。

影響:

  • 訓練を実施しただけでは助成金を受給できない
  • 訓練修了後、正社員に転換する必要がある
  • 正社員転換により、キャリアアップ助成金も併せて受給可能

変更点3: 申請手続きの簡素化

申請書類の重複部分が整理され、記載事項が削減されました。

改善内容:

  • 記入項目の削減
  • 添付書類の簡素化
  • 電子申請の導入

助成金活用の5つの注意点

注意点1: 訓練開始前の計画提出が必須

訓練を開始してから助成金の存在を知っても、受給できません。必ず訓練開始日の1ヶ月前までに訓練計画を提出してください。

注意点2: 訓練内容は職務に関連するものである必要がある

業務と無関係な趣味的な訓練は対象外です。

NG例:

  • 英会話(業務で使わない場合)
  • 趣味の資格取得

OK例:

  • 業務で使うPCスキル研修
  • 安全衛生に関する研修
  • 業務に必要な専門知識の習得

注意点3: 訓練記録を正確に残す

訓練実施の証拠となる記録を必ず残してください。

記録すべき内容:

  • 出席簿(受講者の署名)
  • 訓練日報(訓練内容、指導者名)
  • 訓練実施時間の記録

注意点4: OFF-JTとOJTを明確に区別する

OFF-JT(座学)とOJT(実務訓練)は、明確に区別して記録する必要があります。

OFF-JTの要件:

  • 業務を離れて行う訓練
  • 講師による指導
  • カリキュラムが事前に決まっている

OJTの要件:

  • 実務を通じた訓練
  • 上司・先輩による指導
  • 業務遂行の一環として実施

注意点5: 社会保険労務士への相談を推奨

助成金の申請は複雑で、書類の不備や要件の誤解によって不支給となるケースがあります。

社労士活用のメリット:

  • 訓練計画の作成をサポート
  • 申請書類の作成を代行
  • 不支給リスクを最小限に抑える

ゆめアカの人材育成×助成金サポート

インターンシップから育成までトータル支援

ゆめアカでは、インターンシップの実施から採用後の育成、助成金の活用まで一貫してサポートしています。

サポート内容:

  1. インターンシップの設計・実施

    • 東海3県40校とのネットワークを活かした受け入れ支援
    • プログラム設計のアドバイス
  2. 採用後の育成計画の立案

    • 高卒新入社員に最適な育成プログラムの設計
    • OJT・OFF-JTの組み合わせ方をアドバイス
  3. 助成金の活用サポート

    • 活用可能な助成金の洗い出し
    • 訓練計画の作成支援
    • 社労士との連携サポート
  4. 定着支援

    • メンター制度の導入支援
    • 定期的なフォローアップ

ゆめアカの実績

2025年度、ゆめアカの支援により3社で14名の高卒採用を実現しました。このうち、複数の企業が人材開発支援助成金を活用し、育成コストを大幅に削減しています。

インターンシップ経由で採用した若手社員の3年離職率は16.5%と、一般的な40.8%と比べて大幅に低く、定着率の高さが証明されています。


まとめ

人材開発支援助成金のポイント

制度の概要:

  • 従業員の職業訓練を実施する事業主を支援
  • 訓練費用、賃金、OJT実施費用を助成
  • 2025年度から賃金助成額が引き上げ

人材育成支援コースの3つの訓練タイプ:

  1. 人材育成訓練: 10時間以上のOFF-JT
  2. 認定実習併用職業訓練: 中核人材育成のためのOJT+OFF-JT(6ヶ月以上)
  3. 有期実習型訓練: 正社員転換を目的としたOJT+OFF-JT(2〜6ヶ月)

高卒社員育成での活用例:

  • 新人研修での活用 → 約22万円の助成
  • 有期契約社員の正社員化 → 約45万円の助成
  • 技術者育成 → 約136万円の助成

助成金活用の5つの注意点

  1. 訓練開始前の計画提出が必須(1ヶ月前まで)
  2. 訓練内容は職務に関連するものである必要がある
  3. 訓練記録を正確に残す
  4. OFF-JTとOJTを明確に区別する
  5. 社会保険労務士への相談を推奨

次にすべきこと

  1. 自社の育成計画を見直す
    • 高卒新入社員の育成プログラムを確認
    • 助成金を活用できる訓練内容を洗い出す
  2. 社労士に相談する
    • 訓練計画の作成をサポートしてもらう
    • 申請手続きを代行してもらう
  3. ゆめアカに相談する
    • インターンシップから採用、育成までトータルでサポート

ゆめアカへのご相談はこちら

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この記事は、株式会社ゆめスタが運営するゆめスタアカデミー(ゆめアカ)が提供しています。 高卒採用・インターンシップ支援の実績とノウハウをもとに、 中小企業の採用成功をサポートしています。

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よくある質問

この記事に関連するよくある質問

従業員のスキルアップのための訓練を実施した企業に対して、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。Off-JT(座学)とOJT(実習)の両方が対象で、新入社員研修、技術研修、資格取得支援などに活用できます。中小企業は助成率が高く設定されています。

Off-JTは通常の業務を離れて行う座学形式の訓練(研修、セミナー、eラーニングなど)で、OJTは実際の業務を通じて行う実習形式の訓練です。人材開発支援助成金では、Off-JTは訓練経費と賃金が助成され、OJTは実施時間に応じた助成金が支給されます。

職務に関連する専門的な知識・技能を習得させるための訓練が対象です。新入社員研修、技術研修、資格取得支援、安全衛生研修、マネジメント研修などが該当します。ただし、職務に直接関係のない趣味的な研修や、法令で実施が義務付けられている研修は対象外です。

訓練開始の1ヶ月前までに訓練計画届を提出する必要があります。事前申請が必須で、訓練開始後の申請は受け付けられません。訓練終了後2ヶ月以内に支給申請を行います。スケジュールを逆算して、余裕を持って準備しましょう。

①雇用保険適用事業所であること、②訓練計画を作成し事前に提出すること、③訓練時間が10時間以上あること、④訓練期間中も賃金を支払うこと、⑤出席状況や訓練内容を記録すること、などが主な要件です。不正受給は厳しく罰せられるため、正確に手続きを行いましょう。

初めての申請や、手続きに不安がある場合は、社会保険労務士に依頼することをおすすめします。書類作成や手続きのサポートを受けられ、確実に受給できます。報酬は助成金額の10~20%程度が目安ですが、手間と確実性を考えると十分にメリットがあります。

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