「せっかく採用した高校生が1年で辞めてしまった」「OJT担当に任せたのに、うまく育っていない」そんな悩みを抱えていませんか?
実際に、OJT担当者の質が新人の定着率に直結することが、多くの調査で明らかになっています。適切な指導ができるOJT担当者がいる職場では離職率が大幅に下がる一方、放置されたり厳しすぎる指導を受けた新人は早期離職しやすくなります。
しかし、OJT担当者を適切に選定し育成することで、新人の定着率を劇的に向上させることができます。
この記事では、離職率を下げるOJT担当者の育成方法と、若手を育てる先輩社員に必要な5つの条件を具体的に解説します。
この記事で分かること
- OJT担当者の質が離職率に与える影響
- 効果的なOJT担当者の選び方
- OJT担当者に必要な5つのスキル
- OJT担当者を育成する具体的な方法
- 企業がOJT担当者をサポートする仕組み
読了時間: 約5分
目次
- なぜOJT担当者の質が離職率を左右するのか
- OJT担当者選びで失敗する企業の共通点
- 若手を育てる先輩社員の5つの条件
- OJT担当者に必要なスキルとマインド
- 効果的なOJT担当者の育成プログラム
- 企業がOJT担当者をサポートする仕組み
- OJT担当者育成に成功した企業事例
- まとめ
なぜOJT担当者の質が離職率を左右するのか
OJTと離職率の関係性
適切なOJT教育を実施することで、新入社員が企業に対して前向きな気持ちを持てるようになり、離職率の低下につながります。
一方で、OJT担当者の指導時間が不足したり、適切なサポートがなされない場合、新人の不安が高まり、早期離職のリスクが上がります。
新人が最も頼るのはOJT担当者
高卒新人にとって、入社後最初に接する先輩社員がOJT担当者です。
- 仕事の進め方を教えてくれる人
- 困ったときに相談できる人
- 職場の雰囲気を伝えてくれる人
OJT担当者の対応次第で、新人が「この会社で頑張りたい」と思うか、「辞めたい」と感じるかが決まります。
データが示すOJTの重要性
OJT教育がしっかりしている企業では:
- 新人の早期離職率が30%以上低下
- 戦力化までの期間が平均2ヶ月短縮
- 新人のエンゲージメントが70%向上
株式会社ゆめスタが支援するインターンシップ経由採用では、入社前から学校とのつながりを活かした丁寧なOJT設計により、3年離職率16.5%という低水準を実現しています。
OJT担当者選びで失敗する企業の共通点
失敗パターン1:「暇そうだから」で選ぶ
業務が少ない社員にOJTを任せる企業がありますが、これは大きな間違いです。
問題点:
- 「暇な人=仕事ができない人」の可能性がある
- 新人が「あの人みたいになりたくない」と感じる
- モチベーションの低さが新人に伝わる
失敗パターン2:「厳しい先輩」に任せる
「厳しく鍛えれば育つ」という考えで、厳しい先輩をOJT担当にするケースも失敗しやすいです。
問題点:
- 高校生は社会人経験がなく、厳しすぎる指導に耐えられない
- 質問しづらい雰囲気が生まれ、成長が遅れる
- ストレスで早期離職につながる
失敗パターン3:「入社2年目」を選ぶ
「入社2年目が新人の気持ちを一番理解している」という理由で選ぶ企業も多いですが、注意が必要です。
問題点:
- 自分の業務で手一杯で、指導する余裕がない
- トレーナーとしてのスキルや心構えが不十分
- 新人を放置してしまうリスクが高い
若手を育てる先輩社員の5つの条件
効果的なOJT担当者には、以下の5つの条件が必要です。
条件1:傾聴力がある
新人の話をしっかり聞ける先輩社員が理想的です。
理由:
- 新人が質問しやすい雰囲気を作れる
- 悩みや不安を早期にキャッチできる
- 信頼関係が構築しやすい
具体例:
- 「分からないことない?」と毎日声をかける
- 新人の話を遮らず、最後まで聞く
- 相槌や共感の言葉を添える
条件2:コミュニケーション能力が高い
分かりやすく説明できる能力も重要です。
理由:
- 高校生は専門用語を知らないため、平易な言葉で伝える必要がある
- 一度では理解できないこともあるため、繰り返し説明できる忍耐力が必要
具体例:
- 「まず〜して、次に〜する」と順序立てて説明
- 図や実演を交えて視覚的に伝える
- 「ここまで大丈夫?」と理解度を確認しながら進める
条件3:寛容さと忍耐力
失敗を許容し、温かくサポートできる先輩が必要です。
理由:
- 新人は必ずミスをする
- 失敗を責めると質問できなくなる
- 「失敗してもいい」と思える環境が成長を促す
具体例:
- 「最初はみんなそうだから大丈夫」と声をかける
- 失敗から学ぶポイントを一緒に考える
- 同じ失敗を繰り返さないための工夫を教える
条件4:自分の仕事に余裕がある
OJT担当者自身が忙しすぎると、新人を指導する時間が取れません。
理由:
- 指導に集中できる時間が必要
- 新人の質問にその場で答えられる余裕が大切
- 放置されると新人は不安になる
企業側の対応:
- OJT担当者の業務を一時的に調整する
- サポート要員を配置する
- 育成を優先する姿勢を示す
条件5:ポジティブなロールモデル
新人が「あの人みたいになりたい」と思える先輩が理想です。
理由:
- 憧れの先輩がいるとモチベーションが上がる
- ポジティブな姿勢が新人に伝わる
- 仕事の楽しさややりがいを伝えられる
具体例:
- 仕事の成功体験を語る
- 前向きな言葉を使う
- 笑顔で接する
OJT担当者に必要なスキルとマインド
教える技術:4ステップOJT
効果的なOJTには、以下の4ステップが有効です。
ステップ1: Show(見せる)
- まずは先輩がやって見せる
- 一連の流れを実演する
ステップ2: Tell(説明する)
- 手順やポイントを言葉で説明
- なぜそうするのか理由も伝える
ステップ3: Do(やらせる)
- 新人に実際にやってもらう
- そばで見守りながらサポート
ステップ4: Check(確認する)
- できたかどうか確認
- フィードバックを与える
フィードバックの技術
適切なフィードバックが新人の成長を促します。
ポジティブフィードバック:
- 「ここはよくできたね」と具体的に褒める
- 小さな進歩も見逃さない
- 褒めることで自信をつける
改善フィードバック:
- 「ここはこうすると もっと良くなるよ」と改善点を伝える
- ダメ出しではなく、成長のヒントとして伝える
- 具体的な方法を示す
モチベーション管理
新人のモチベーションを維持することもOJT担当者の役割です。
- 短期目標を設定し、達成感を味わわせる
- 「成長しているね」と変化を言葉にする
- 困難な時こそ励ましの言葉をかける
効果的なOJT担当者の育成プログラム
OJT担当者向け事前研修
OJT担当者に任命する前に、必ず研修を実施します。
研修内容:
- OJTの目的と重要性の理解
- 教え方の基本(4ステップOJT)
- コミュニケーションスキル
- フィードバックの方法
- 困ったときの対処法
ロールプレイング訓練
実際の指導場面を想定した練習が効果的です。
例:
- 「質問されたときの対応」をロールプレイ
- 「失敗した新人への声かけ」を練習
- 「説明の分かりやすさ」を相互評価
OJT担当者同士の情報交換会
定期的に担当者同士で悩みを共有します。
メリット:
- 他の担当者の工夫を学べる
- 共通の悩みを共有できる
- 孤独感が軽減される
頻度: 月1回、30分程度
企業がOJT担当者をサポートする仕組み
業務調整とサポート体制
OJT担当者が指導に集中できる環境を整えます。
具体策:
- OJT期間中は担当者の業務量を20〜30%軽減
- 緊急時にサポートできる社員を配置
- 育成業務を正当に評価する
定期的なフォローアップ面談
OJT担当者と人事・上司が定期的に面談します。
面談内容:
- 新人の進捗状況
- OJT担当者が困っていること
- 必要なサポート
頻度: 週1回(最初の1ヶ月)→月1回(2ヶ月目以降)
OJT手当の支給
OJT担当者の負担を認め、手当を支給する企業も増えています。
効果:
- 担当者のモチベーション向上
- OJT業務の重要性を組織全体が認識
- 優秀な社員が担当を引き受けやすくなる
相場: 月額5,000〜10,000円
OJT担当者育成に成功した企業事例
A社(製造業・従業員80名)
課題: OJT担当者がバラバラに指導し、新人の習得度に差が出ていた
実施した施策:
- OJT担当者向けの3日間研修
- 指導マニュアルの作成と共有
- 月1回のOJT担当者ミーティング
結果: 新人の3ヶ月定着率が60%→95%に向上
OJT担当者が「教え方を学ぶ」ことで、指導の質が標準化されました。
B社(建設業・従業員50名)
課題: OJT担当者が忙しく、新人を放置してしまう
実施した施策:
- OJT担当者の現場作業を30%削減
- サポート役の中堅社員を配置
- OJT手当(月8,000円)の支給
結果: 1年定着率が50%→88%に大幅改善
OJT担当者が「時間的余裕」を持てたことで、丁寧な指導が可能になりました。
まとめ
重要ポイント
- OJT担当者の質が新人の定着率を左右する
- 適切な担当者選びが離職防止の第一歩
- 傾聴力・コミュニケーション能力・寛容さが重要
- 4ステップOJT(見せる→説明する→やらせる→確認する)が効果的
- OJT担当者を育成し、サポートする仕組みが必要
次にすべきこと
- 現在のOJT担当者の選定基準を見直す: 「暇だから」「厳しいから」ではなく、5つの条件で選ぶ
- OJT担当者向け研修を実施する: 教え方の基本を学ぶ機会を提供
- 業務調整を行う: OJT担当者が指導に集中できる環境を整える
- 定期的なフォローアップ: OJT担当者と新人の両方をサポート
- OJT手当の導入を検討: 担当者の負担を認め、モチベーションを高める
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