「高卒者を採用したいけれど、すぐに辞められたら困る」「ミスマッチで早期離職されるリスクを減らしたい」そんな不安を抱えていませんか?
実際に、高卒新卒者の3年以内離職率は40.8%と高く、採用してもすぐに辞めてしまうリスクは決して低くありません。採用にかけた時間とコストが無駄になる可能性があるため、中小企業にとって採用は大きな決断です。
しかし、「トライアル雇用助成金」を活用することで、3ヶ月の試用期間を設けて適性を見極めながら、採用コストを大幅に軽減できます。
この記事では、トライアル雇用助成金の概要と高卒採用での活用方法、申請の流れと注意点を詳しく解説します。
この記事で分かること
- トライアル雇用助成金の基本と制度のメリット
- 高卒者が対象になる条件
- 支給額と受給までの流れ
- 申請方法と必要書類
- トライアル雇用を成功させるポイント
読了時間: 約7分
目次
- トライアル雇用助成金とは?
- 高卒者が対象になる条件
- 支給額と計算例
- トライアル雇用のメリット
- 申請の流れと必要書類
- トライアル雇用を成功させる5つのポイント
- 注意すべき7つのルール
- ゆめアカのトライアル雇用サポート
- まとめ
トライアル雇用助成金とは?
制度の概要
トライアル雇用助成金は、職業経験が少ない求職者や、就職が困難な求職者を試行的に雇用(トライアル雇用)する事業主に対して助成する制度です。
目的:
- 採用のミスマッチを防ぐ
- 求職者の適性を見極める期間を提供
- 安定した雇用につなげる
制度の特徴:
- 試用期間として3ヶ月間雇用
- 期間中、企業は適性を見極められる
- 月額4〜5万円の助成金を受給
- 試用期間終了後、正社員化するかを判断
高卒採用での位置づけ
高卒採用では、以下のような場面でトライアル雇用助成金を活用できます。
活用シーン1: 新規高卒者の採用
- 卒業後、就職先が決まっていない高校生を採用
- 3ヶ月の試用期間で適性を見極める
活用シーン2: 既卒3年以内の高卒者の採用
- 卒業後3年以内で、安定した職に就いていない若者を採用
- 職業経験が少ない若者に機会を提供
活用シーン3: インターンシップ経由の採用
- インターンシップで受け入れた高校生を卒業後にトライアル雇用
- 既に顔を知っているため、ミスマッチのリスクがさらに低い
高卒者が対象になる条件
対象者の要件
トライアル雇用助成金の対象となる高卒者は、以下の条件を満たす必要があります。
要件1: 年齢・卒業年次
対象となる高卒者:
- 卒業後3年以内で、安定した職業に就いていない者
具体例:
- 2022年3月卒業 → 2025年3月まで対象
- 2023年3月卒業 → 2026年3月まで対象
- 2024年3月卒業 → 2027年3月まで対象
対象外:
- 在学中の者(ただし、卒業年の1月1日以降で、卒業後に就職先が決まっていない場合は対象)
要件2: 職業経験
対象となる条件:
- 安定した職業に就いていない
- 正社員としての勤務経験が少ない、またはない
「安定した職業」の定義:
- 正社員として1年以上継続雇用されている状態
- 正社員以外(パート、アルバイト、契約社員)は「安定した職業」に含まれない
要件3: ハローワーク等の紹介
必須条件:
- ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介により雇用されること
対象外:
- 企業が直接採用した場合
- 学校からの紹介で採用した場合
- 知人の紹介で採用した場合
新規学卒者の特例
新規学卒者の場合の条件:
- 卒業年の1月1日以降で、卒業後に就職先が決まっていない場合は対象
例:
- 2025年3月卒業予定の高校生
- 2025年1月1日時点で就職先が決まっていない
- → トライアル雇用の対象となる
支給額と計算例
支給額の基本
トライアル雇用助成金の支給額は、対象者の属性によって異なります。
基本額
月額4万円 × 最大3ヶ月 = 最大12万円
加算額
以下の場合、支給額が増額されます。
ケース1: ひとり親の場合
- 月額5万円 × 最大3ヶ月 = 最大15万円
ケース2: 若者雇用促進法に基づく認定事業主が35歳未満を雇用
- 月額5万円 × 最大3ヶ月 = 最大15万円
計算例
例1: 一般的な高卒者(20歳)
条件:
- 2022年3月高校卒業
- 卒業後、アルバイトで生計を立てていた
- ハローワークの紹介で採用
支給額:
- 月額4万円 × 3ヶ月 = 12万円
例2: ひとり親の高卒者(18歳)
条件:
- 2024年3月高校卒業
- ひとり親家庭
- ハローワークの紹介で採用
支給額:
- 月額5万円 × 3ヶ月 = 15万円
例3: 若者雇用促進法認定事業主が高卒者を採用(19歳)
条件:
- 2023年3月高校卒業
- 若者雇用促進法に基づく認定事業主(ユースエール認定企業)が採用
- 対象者は35歳未満
支給額:
- 月額5万円 × 3ヶ月 = 15万円
支給のタイミング
助成金は、トライアル雇用終了後2ヶ月以内に支給申請を行い、審査後に受給します。
受給までの流れ:
- トライアル雇用開始(0ヶ月目)
- トライアル雇用終了(3ヶ月目)
- 支給申請(トライアル雇用終了後2ヶ月以内)
- 審査(約2〜3ヶ月)
- 助成金受給(トライアル雇用終了後、約5〜6ヶ月後)
トライアル雇用のメリット
メリット1: 採用リスクの軽減
通常の採用のリスク:
- 面接だけでは適性を見極めにくい
- 採用後にミスマッチが発覚しても解雇は困難
- 早期離職されると採用コストが無駄に
トライアル雇用のメリット:
- 3ヶ月の試用期間で実際の働きぶりを確認できる
- 適性がないと判断した場合、正社員化しない選択が可能
- ミスマッチによる早期離職を防げる
メリット2: 経済的負担の軽減
採用活動には以下のようなコストがかかります。
採用にかかるコスト:
- 求人広告費: 10〜30万円
- 面接対応の人件費: 5〜10万円
- 入社後の育成コスト: 30〜50万円
トライアル雇用のメリット:
- 月額4〜5万円の助成金で、試用期間のコストをカバー
- 実質的な採用コストを大幅に削減
メリット3: 高卒採用のハードルを下げる
中小企業が高卒採用をためらう理由の一つが「すぐに辞められるリスク」です。
トライアル雇用のメリット:
- 「試しに雇ってみる」という選択肢が取れる
- リスクを抑えながら、若手人材を確保できる
- 高卒採用に踏み出しやすくなる
メリット4: 若者の育成機会を提供
トライアル雇用は、職業経験が少ない若者に「働く機会」を提供する社会的意義があります。
若者側のメリット:
- 職業経験を積める
- 企業の雰囲気や仕事内容を理解できる
- 正社員への道が開ける
企業側のメリット:
- 若手人材の育成に貢献
- 地域社会への貢献
- 企業イメージの向上
株式会社ゆめスタのゆめアカでは、東海3県40校とのネットワークを活かし、トライアル雇用も含めた高卒採用の支援を行っています。
申請の流れと必要書類
申請の基本的な流れ
トライアル雇用助成金の申請は、以下の7ステップで進めます。
ステップ1: ハローワークに求人を申し込む
手続き:
- ハローワークまたは職業紹介事業者に「トライアル雇用求人」として申し込む
- 通常の求人ではなく、トライアル雇用専用の求人票を使用
記載内容:
- トライアル雇用期間(3ヶ月)
- トライアル雇用期間中の労働条件
- トライアル雇用終了後の正社員化の可能性
ステップ2: ハローワークから紹介を受ける
手続き:
- ハローワークが求職者にトライアル雇用求人を紹介
- 企業は紹介された求職者と面接
注意点:
- ハローワーク等の紹介が必須
- 企業が直接採用した場合は助成金の対象外
ステップ3: トライアル雇用として採用
手続き:
- 紹介された求職者をトライアル雇用として採用
- 雇用契約書を作成(トライアル雇用期間を明記)
労働条件:
- 週の労働時間が原則30時間以上(正社員と同等)
- 雇用期間: 原則3ヶ月
ステップ4: トライアル雇用実施計画書を提出
提出期限:
- トライアル雇用開始後2週間以内
提出先:
- 都道府県労働局またはハローワーク
提出書類:
- トライアル雇用実施計画書
- 雇用契約書のコピー
ステップ5: トライアル雇用の実施
実施期間:
- 原則3ヶ月
実施時の注意点:
- 計画どおりに雇用を実施
- 出勤簿、賃金台帳を正確に記録
- 対象者の適性を見極める
ステップ6: トライアル雇用終了後の判断
判断内容:
- 正社員として継続雇用するかを判断
- 適性があれば正社員化
- 適性がないと判断した場合は雇用終了
正社員化のメリット:
- キャリアアップ助成金(40〜80万円)も併せて受給可能
ステップ7: 支給申請
提出期限:
- トライアル雇用終了日の翌日から2ヶ月以内
提出先:
- 都道府県労働局またはハローワーク
提出書類:
- 支給申請書
- 賃金台帳、出勤簿
- 雇用契約書のコピー
- その他必要書類
必要書類一覧
トライアル雇用実施計画書提出時(開始後2週間以内):
- トライアル雇用実施計画書
- 雇用契約書のコピー
支給申請時(終了後2ヶ月以内):
- 支給申請書
- 賃金台帳(3ヶ月分)
- 出勤簿(3ヶ月分)
- 雇用契約書のコピー
- トライアル雇用対象者の履歴書
- ハローワークからの紹介状のコピー
トライアル雇用を成功させる5つのポイント
ポイント1: 明確な評価基準を設定する
トライアル雇用期間中に、何を評価するのかを事前に明確にしておきましょう。
評価項目の例:
- 出勤状況: 遅刻、欠勤の有無
- 業務遂行能力: 指示された業務を遂行できるか
- コミュニケーション能力: 上司や同僚と円滑にコミュニケーションが取れるか
- 学習意欲: 新しいことを学ぼうとする姿勢があるか
- 適応力: 企業の文化や雰囲気に適応できているか
評価方法:
- 月1回の面談で進捗を確認
- 指導担当者が日報をつける
- 3ヶ月目に最終評価を実施
ポイント2: 丁寧な指導体制を整える
トライアル雇用期間は、対象者にとっても試用期間です。企業側が丁寧に指導することで、適性を最大限引き出せます。
指導体制の例:
- OJT担当者を1名選任
- 週1回の振り返りミーティングを実施
- 困ったときに相談できる窓口を設ける
ポイント3: 正社員化の基準を事前に伝える
対象者に「どうすれば正社員になれるか」を事前に伝えることで、モチベーションを高められます。
伝える内容:
- 評価項目(出勤状況、業務遂行能力など)
- 正社員化の基準(例: 3ヶ月間の出勤率90%以上、業務を一人でこなせる)
- 正社員化後の待遇(給与、福利厚生など)
ポイント4: インターンシップと組み合わせる
トライアル雇用の前に、インターンシップで高校生を受け入れることで、ミスマッチのリスクをさらに減らせます。
組み合わせ例:
- 高校2年生の夏: 1日型インターンシップで企業を知ってもらう
- 高校3年生の夏: 5日型インターンシップで実務を体験
- 卒業後: トライアル雇用として採用
- 3ヶ月後: 正社員化
この流れで、企業と高校生の相互理解が深まり、定着率が大幅に向上します。
ポイント5: 定期的なフィードバックを行う
トライアル雇用期間中は、定期的にフィードバックを行い、対象者の成長をサポートしましょう。
フィードバックの例:
- 月1回の面談で良い点と改善点を伝える
- 小さな成功体験を積ませる
- 困っていることがないか確認する
注意すべき7つのルール
注意点1: ハローワーク等の紹介が必須
企業が直接採用した場合、トライアル雇用助成金の対象外となります。
NG例:
- 学校からの紹介で採用
- 知人の紹介で採用
- 企業の求人サイトから直接応募
OK例:
- ハローワークの紹介で採用
- 職業紹介事業者(民間の人材紹介会社)の紹介で採用
注意点2: トライアル雇用実施計画書の提出期限
提出期限: トライアル雇用開始後2週間以内
期限を過ぎた場合: 助成金を受給できない
注意点3: 週の労働時間が原則30時間以上
トライアル雇用期間中の労働時間は、週30時間以上が原則です。
対象外となるケース:
- 週20時間のパートタイム勤務
- 週4日勤務(週24時間)
例外:
- やむを得ない理由がある場合(対象者の希望、業務の都合など)は、週20時間以上30時間未満でも可能
注意点4: トライアル雇用期間は原則3ヶ月
トライアル雇用期間は原則3ヶ月です。短縮や延長はできません。
NG例:
- 1ヶ月で終了
- 6ヶ月に延長
OK例:
- 3ヶ月間実施
注意点5: トライアル雇用期間中の解雇
トライアル雇用期間中でも、正当な理由なく解雇することはできません。
解雇が認められるケース:
- 重大な勤務態度不良(無断欠勤、遅刻の常習など)
- 能力不足(業務を全く遂行できない)
解雇が認められないケース:
- 企業の都合(業績悪化など)
- 軽微な理由(少しミスをした、など)
注意点6: 正社員化しない場合の対応
トライアル雇用終了後、正社員化しない場合は、対象者に理由を説明し、丁寧に対応しましょう。
対応方法:
- 面談で正社員化しない理由を伝える
- 改善点を具体的にフィードバック
- 可能であれば、他の職種での採用を検討
注意点7: 助成金の不正受給
虚偽の申請や不正受給が発覚した場合、以下のペナルティがあります。
ペナルティ:
- 助成金の返還
- 不正受給額の2倍の罰金
- 企業名の公表
- 5年間、助成金の申請不可
ゆめアカのトライアル雇用サポート
インターンシップ×トライアル雇用の一貫支援
ゆめアカでは、インターンシップからトライアル雇用、正社員化まで一貫してサポートしています。
サポート内容:
-
インターンシップの設計・実施
- 東海3県40校とのネットワークを活かした受け入れ支援
- 高校生との相互理解を深めるプログラム設計
-
トライアル雇用の手続きサポート
- ハローワークへの求人申し込み支援
- トライアル雇用実施計画書の作成アドバイス
-
助成金申請サポート
- 支給申請書類の作成支援
- 社労士との連携サポート
-
正社員化後の定着支援
- メンター制度の導入支援
- 定期的なフォローアップ
ゆめアカの実績
2025年度、ゆめアカの支援により3社で14名の高卒採用を実現しました。このうち、複数の企業がトライアル雇用助成金を活用し、採用リスクを軽減しています。
インターンシップ経由で採用した若手社員の3年離職率は16.5%と、一般的な40.8%と比べて大幅に低く、定着率の高さが証明されています。
まとめ
トライアル雇用助成金のポイント
制度の概要:
- 職業経験が少ない求職者を試行的に3ヶ月雇用
- 月額4〜5万円の助成金を受給
- 適性を見極めてから正社員化を判断
高卒者が対象になる条件:
- 卒業後3年以内で、安定した職業に就いていない者
- ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介により雇用
支給額:
- 基本額: 月額4万円 × 3ヶ月 = 12万円
- ひとり親の場合: 月額5万円 × 3ヶ月 = 15万円
- 若者雇用促進法認定事業主が35歳未満を雇用: 月額5万円 × 3ヶ月 = 15万円
トライアル雇用のメリット
- 採用リスクの軽減: 3ヶ月の試用期間で適性を見極められる
- 経済的負担の軽減: 月額4〜5万円の助成金を受給
- 高卒採用のハードルを下げる: 「試しに雇ってみる」という選択肢
- 若者の育成機会を提供: 社会的意義のある取り組み
注意すべき7つのルール
- ハローワーク等の紹介が必須
- トライアル雇用実施計画書の提出期限(開始後2週間以内)
- 週の労働時間が原則30時間以上
- トライアル雇用期間は原則3ヶ月
- トライアル雇用期間中の解雇には正当な理由が必要
- 正社員化しない場合は丁寧に対応
- 不正受給は厳しく罰せられる
次にすべきこと
- ハローワークに相談する
- トライアル雇用求人の申し込み方法を確認
- 評価基準を設定する
- 3ヶ月間で何を評価するのかを明確にする
- ゆめアカに相談する
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この記事は、株式会社ゆめスタが運営するゆめスタアカデミー(ゆめアカ)が提供しています。 高卒採用・インターンシップ支援の実績とノウハウをもとに、 中小企業の採用成功をサポートしています。




