「インターンシップを導入したいが、いくらかかるのか分からない」「補助金を使えば実質的な負担はどれくらいになるのか」そんな疑問を抱えていませんか?
実際に、インターンシップの受け入れには、人件費や設備費、保険料などさまざまなコストが発生します。しかし、国や自治体の補助金制度を活用することで、企業の実質負担を大幅に軽減できます。
この記事では、高校生インターンシップ受け入れにかかる実際のコストと、活用できる補助金制度を徹底解説します。具体的なシミュレーションを通じて、あなたの会社の実質負担額を明確にします。
この記事で分かること
- インターンシップ受け入れにかかる具体的なコスト
- 高校生と大学生インターンシップのコスト比較
- 活用できる補助金・助成金の種類と金額
- 実質負担額の具体的なシミュレーション
- 費用対効果を最大化する方法
読了時間: 約8分
目次
インターンシップ受け入れにかかるコスト一覧
企業が負担する主な費用項目
インターンシップ受け入れには、以下のような費用が発生します。
1. 人件費(指導者・メンター)
- 受け入れ準備の時間: 約5-10時間
- インターンシップ期間中の指導: 1日あたり2-4時間
- 事後フォロー・報告書作成: 約2-3時間
計算例: 指導者の時給換算3,000円の場合
- 準備: 3,000円 × 8時間 = 24,000円
- 指導(5日間): 3,000円 × 3時間 × 5日 = 45,000円
- フォロー: 3,000円 × 3時間 = 9,000円
- 合計: 78,000円
2. 設備・備品費
- デスク・椅子の準備: 既存設備利用の場合は不要
- PC・タブレット貸与: 既存機材で対応可能
- 作業服・安全靴(製造業の場合): 5,000-10,000円
- 消耗品(文具など): 1,000-2,000円
3. 保険料
- 災害傷害保険: 学校が加入している場合は不要
- 賠償責任保険: 学校が加入している場合は不要
- 企業独自で加入する場合: 1人あたり500-2,000円
4. 交通費・宿泊費(企業が負担する場合)
- 交通費: 実費(1日あたり500-2,000円)
- 宿泊費: 実費(1泊あたり5,000-8,000円)
注: 高校生インターンシップの場合、交通費・宿泊費は学生側が負担するケースが多いです。
5. 給与・謝礼(支払う場合)
- 高校生インターンシップ: 原則無報酬
- 大学生インターンシップ(有給の場合): 時給1,200円、日給6,000円が相場
6. その他の費用
- プログラム設計費: 外部コンサルを使う場合は10-30万円
- 歓迎会・懇親会費: 1人あたり3,000-5,000円
- お土産・記念品: 1人あたり1,000-3,000円
高校生と大学生のコスト比較
| 項目 | 高校生インターンシップ | 大学生インターンシップ |
|---|---|---|
| 期間 | 1-5日間(短期) | 1日-6ヶ月(短期〜長期) |
| 給与 | 原則無報酬 | 有給が多い(時給1,200円〜) |
| 保険 | 学校が加入済み | 企業側で加入が必要なケースあり |
| 交通費 | 学生負担が多い | 企業負担が多い |
| 1人あたりコスト | 2万-5万円 | 短期: 2.5万円、長期: 10-15万円/月 |
高校生インターンシップは、大学生と比べて無報酬で実施されるため、企業の直接的な金銭負担が少ないのが特徴です。
高校生インターンシップの費用内訳
5日間インターンシップのコスト例
対象: 工業高校生3名を5日間受け入れる場合(製造業A社)
費用内訳:
| 項目 | 単価 | 数量 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 指導者人件費(準備) | 3,000円/時 | 8時間 | 24,000円 |
| 指導者人件費(指導) | 3,000円/時 | 3時間×5日×3名 | 135,000円 |
| 指導者人件費(フォロー) | 3,000円/時 | 3時間 | 9,000円 |
| 作業服・安全靴 | 8,000円 | 3名 | 24,000円 |
| 保険料 | 0円 | - | 0円(学校加入) |
| 消耗品 | 2,000円 | 3名 | 6,000円 |
| 記念品 | 2,000円 | 3名 | 6,000円 |
| 合計 | - | - | 204,000円 |
1人あたり: 約68,000円 1日あたり: 約40,800円
1日型インターンシップのコスト例
対象: 工業高校生10名を1日受け入れる場合(製造業B社)
費用内訳:
| 項目 | 単価 | 数量 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 指導者人件費(準備) | 3,000円/時 | 5時間 | 15,000円 |
| 指導者人件費(当日) | 3,000円/時 | 8時間×2名 | 48,000円 |
| 昼食代 | 800円 | 10名 | 8,000円 |
| 記念品 | 1,000円 | 10名 | 10,000円 |
| 消耗品 | 500円 | 10名 | 5,000円 |
| 合計 | - | - | 86,000円 |
1人あたり: 約8,600円
長期(3ヶ月)インターンシップのコスト例
対象: 工業高校生1名を週2日×3ヶ月受け入れる場合(製造業C社)
費用内訳:
| 項目 | 単価 | 数量 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 指導者人件費(準備) | 3,000円/時 | 8時間 | 24,000円 |
| 指導者人件費(指導) | 3,000円/時 | 4時間×24日 | 288,000円 |
| 作業服・安全靴 | 8,000円 | 1名 | 8,000円 |
| 交通費補助 | 500円/日 | 24日 | 12,000円 |
| 合計 | - | - | 332,000円 |
1ヶ月あたり: 約110,000円
長期インターンシップは、受け入れ期間が長くなるため総コストは増えますが、1日あたりのコストは抑えられます。
実際に、株式会社ゆめスタが運営するゆめアカでは、このようなコスト計算をサポートしながら、企業ごとに最適なインターンシッププログラムを設計しています。
活用できる補助金・助成金制度
国の補助金制度
1. 人材開発支援助成金
- 対象: インターンシップを含む人材育成
- 補助額: OJT実施費用の助成(1人あたり数万円)
- 申請先: 労働局
2. キャリア形成促進助成金
- 対象: インターンシップ受け入れ企業
- 補助額: プログラム設計費用、指導者人件費の一部
- 申請先: 労働局
3. トライアル雇用助成金
- 対象: インターンシップ後に正式雇用した場合
- 補助額: 最大4万円/月(最大3ヶ月)
- 申請先: ハローワーク
自治体の補助金制度
東京都
- 制度名: 東京都中小企業振興公社 インターンシップ受入支援
- 補助額: 1日8,000円(最大20日)
- 上限: 1人あたり160,000円
- 対象: 工業高校・高専生を受け入れる製造業
愛知県(一部市町村)
- 補助額: 1日5,000円程度
- 対象: 地元高校生を受け入れる中小企業
岐阜県(一部市町村)
- 岐阜県インターンシップ推進協議会: マッチング支援、プログラム設計サポート
- 補助金: 市町村によって異なる
三重県
- 県内就職促進事業: 受け入れ企業への補助金
- 補助額: 自治体により異なる
補助金の併用可否
併用可能なケース:
- 国の補助金 + 自治体の補助金(対象経費が異なる場合)
- 例: 人材開発支援助成金(OJT費用) + 東京都補助金(受け入れ補助)
併用不可のケース:
- 同一経費に対する二重申請
- 例: 指導者人件費に対して2つの補助金を申請
確認方法:
各補助金の募集要項で「他の補助金との併用可否」を必ず確認しましょう。不明な場合は申請窓口に直接問い合わせることをおすすめします。
実質負担額のシミュレーション
シミュレーション1: 5日間インターンシップ(補助金なし)
ケース: 製造業A社(愛知県)、工業高校生3名、5日間
総コスト: 204,000円
補助金: なし
実質負担額: 204,000円
1人あたり: 68,000円
シミュレーション2: 5日間インターンシップ(東京都補助金利用)
ケース: 製造業B社(東京都)、工業高校生3名、5日間
総コスト: 204,000円
補助金:
- 東京都補助金: 8,000円/日 × 5日 × 3名 = 120,000円
実質負担額: 204,000円 - 120,000円 = 84,000円
削減率: 約59% 1人あたり: 28,000円
シミュレーション3: 5日間インターンシップ(補助金併用)
ケース: 製造業C社(東京都)、工業高校生3名、5日間、その後1名を正式雇用
総コスト: 204,000円
補助金:
- 東京都補助金: 8,000円/日 × 5日 × 3名 = 120,000円
- 人材開発支援助成金: OJT費用として 30,000円
- トライアル雇用助成金: 40,000円/月 × 3ヶ月 = 120,000円
合計補助金: 270,000円
実質負担額: 204,000円 - 150,000円(インターンシップ関連分) = 54,000円
削減率: 約74% 1人あたり: 18,000円
注: トライアル雇用助成金は正式雇用後に支給されるため、インターンシップコストとは別計算です。
シミュレーション4: 1日型インターンシップ(東京都補助金利用)
ケース: 製造業D社(東京都)、工業高校生10名、1日
総コスト: 86,000円
補助金:
- 東京都補助金: 8,000円/日 × 1日 × 10名 = 80,000円
実質負担額: 86,000円 - 80,000円 = 6,000円
削減率: 約93% 1人あたり: 600円
シミュレーション5: 長期インターンシップ(補助金併用)
ケース: 製造業E社(愛知県)、工業高校生1名、3ヶ月、週2日
総コスト: 332,000円
補助金:
- 市の中小企業人材確保支援補助金: 5,000円/日 × 24日 = 120,000円
- 人材開発支援助成金: 50,000円
合計補助金: 170,000円
実質負担額: 332,000円 - 170,000円 = 162,000円
削減率: 約51% 1ヶ月あたり: 54,000円
一般的な採用コストとの比較
通常の新卒採用コスト: 70-90万円/人
インターンシップ経由の採用コスト:
- インターンシップ費用(実質負担): 18,000-68,000円
- 採用活動費用: 10-20万円
- 合計: 約20-30万円/人
コスト削減効果: 50-70万円/人
インターンシップ経由の採用は、一般的な採用ルートと比べて大幅にコストを削減できます。
費用対効果の考え方
インターンシップのROI(投資対効果)
インターンシップは単なるコストではなく、「投資」として考えるべきです。
1. 採用コストの削減
- 通常採用: 70-90万円/人
- インターンシップ経由: 20-30万円/人
- 削減額: 50-70万円/人
2. ミスマッチの防止
- 通常採用の3年離職率: 40.8%
- インターンシップ経由の3年離職率: 16.5%
- 離職率削減効果: 約60%
早期離職によるコスト:
- 採用コスト: 70万円
- 教育コスト: 100万円
- 合計損失: 約170万円/人
ミスマッチ防止の価値: 170万円 × 0.6(削減率) = 約100万円/人
3. 採用確率の向上
- 通常応募: 内定承諾率50-60%
- インターンシップ経由: 内定承諾率80-90%
インターンシップを経験した学生は、企業の実態を理解した上で応募するため、内定承諾率が高まります。
4. 企業ブランディング効果
参加した学生が学校で口コミを広げることで、翌年以降の応募者増加につながります。
5. 教育効果(社内への波及)
指導する社員の育成能力向上、組織の活性化など、副次的な効果もあります。
損益分岐点の計算
ケース: 5日間インターンシップ、3名受け入れ、実質負担84,000円
1年目:
- コスト: 84,000円
- 採用: 1名
- 削減効果: 50万円(通常採用との差)
- 利益: 416,000円
3年間での効果:
- コスト: 84,000円 × 3年 = 252,000円
- 採用: 3名
- 削減効果: 50万円 × 3名 = 150万円
- ミスマッチ防止: 100万円 × 3名 × 0.6 = 180万円
- 合計利益: 約180万円
このように、中長期的に見ればインターンシップへの投資は大きなリターンを生み出します。
コストを抑えるポイント
1. 既存リソースの活用
- 既存設備を利用(新規購入しない)
- 既存社員が指導(外部講師を雇わない)
- 学校の保険を活用(企業独自加入しない)
2. 短期プログラムから始める
- 1日型から開始し、効果を見てから長期化
- 少人数(1-3名)から始める
3. 複数の補助金を活用
- 国と自治体の補助金を併用
- 事前に併用可否を確認
4. 学校との連携強化
- 学校側の協力を得てコストを分担
- 交通費は学生側負担とする
5. プログラムの標準化
- 一度設計したプログラムを毎年活用
- 準備時間の短縮
まとめ
重要ポイント
インターンシップ受け入れのコストと実質負担について、以下のポイントを押さえておきましょう:
- 高校生インターンシップの総コスト: 5日間で約20万円(3名)
- 補助金活用で実質負担は5-10万円に削減可能
- 東京都は1日8,000円、最大16万円/人の補助あり
- 通常採用と比べて50-70万円/人のコスト削減
- ミスマッチ防止により約100万円/人の損失回避
- ROIは短期で黒字化する投資効果の高い施策
費用対効果を最大化するポイント
- 補助金を最大限活用する(国・自治体の併用)
- 既存リソースを活用してコストを抑える
- 短期プログラムから始めてスケールアップ
- 採用につなげてROIを高める
- 中長期的な投資として捉える
次にすべきこと
- 自社のインターンシップコストを試算する
- 活用できる補助金を調査する
- 実質負担額をシミュレーションする
- 費用対効果を経営層に説明する
- 小規模から試験導入を開始する
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