インターンシップ導入・運営

インターンシップから採用へつなげる5つのステップ

著者: 株式会社ゆめスタ
インターンシップから採用へつなげる5つのステップ

「インターンシップを実施したのに、結局応募が来なかった」「参加した高校生に他社へ行かれてしまった」——そんな経験はありませんか?

実際に、インターンシップを実施しても、そのまま採用につながらないケースは少なくありません。インターンシップは「実施して終わり」ではなく、採用へつなげる戦略的なプロセスが必要です。

しかし、正しいステップを踏めば、インターンシップ参加者の採用成功率は80%以上に達します。

この記事では、インターンシップから確実に採用へつなげる5つのステップと、実際に応募率80%を実現した企業の成功事例を詳しく解説します。

この記事で分かること

  • インターンシップから採用へつなげる5つの具体的なステップ
  • 参加者を「絶対この会社で働きたい」と思わせる方法
  • 終了後のフォローアップで差をつけるテクニック
  • 高卒採用特有の注意点と解禁日の対応
  • 応募率80%を実現した企業の成功事例

読了時間: 約9分


目次

  1. インターンシップの本当の目的は「採用」
  2. インターンシップから採用へつなげる5つのステップ
  3. 失敗パターン:やってはいけない3つのこと
  4. 応募率80%を実現した成功事例
  5. 高卒採用特有の注意点
  6. まとめ

インターンシップの本当の目的は「採用」

インターンシップは「体験」ではなく「選考」の一部

多くの企業が誤解していますが、インターンシップは単なる「職業体験」ではありません。

**インターンシップの本質は「お互いを知る選考プロセス」**です。

  • 企業側: 学生の適性、やる気、人柄を見極める
  • 学生側: 会社の雰囲気、仕事内容、先輩社員を見極める

この相互選択を経て、**「この会社で働きたい」「この学生を採用したい」**という確信を持つことが目的です。

データで見るインターンシップの効果

インターンシップ経由の採用と一般採用の違いを比較してみましょう。

指標 一般採用 インターンシップ経由
応募率 約20% 約80%
内定承諾率 約60% 約90%
3年定着率 63.0% 83.5%
採用コスト 高い(1人150万円) 低い(1人50万円)

インターンシップを経由することで、応募率は4倍、定着率は1.3倍になります。


インターンシップから採用へつなげる5つのステップ

ステップ1: 目的を明確にする(計画段階)

インターンシップを実施する前に、まず目的を明確にします。

NG例: 「とりあえず学校から頼まれたから受け入れる」

OK例: 「この学生を採用候補として見極め、会社の魅力を伝える」

目的を明確にする3つの質問:

  1. 誰を採用したいのか?(工業高校の機械科、商業高校の簿記資格保持者など)
  2. 何を伝えたいのか?(ものづくりの面白さ、社員の温かさ、成長できる環境など)
  3. どうなってほしいのか?(「ここで働きたい」と思ってほしい、応募してほしいなど)

この3つが明確になると、プログラム設計が具体的になります。

実例: 鋳物製造A社は「鋳物づくりの面白さを体験してもらい、ものづくりの誇りを共有する」という目的を設定し、インターンシップ参加者の80%が応募に至りました。

ステップ2: プログラムで「この会社で働きたい」と思わせる(実施段階)

インターンシップの内容次第で、学生の志望度は大きく変わります。

「この会社で働きたい」と思わせる5つのポイント:

ポイント1: 経営者との対話の時間を設ける

中小企業の最大の強みは、経営者との距離の近さです。

プログラムに組み込むべき内容:

  • 社長の想いを直接聞く時間(15分程度)
  • 会社の将来ビジョンを語る
  • 「君たちに期待していること」を伝える

高校生にとって、「社長と直接話せた」という体験は非常に印象に残ります。

ポイント2: 「できた!」という成功体験を作る

インターンシップ中に、必ず1つ以上の成功体験を作ります。

成功体験の例:

  • 製造業: 自分で作った部品が完成する
  • 物流業: 荷物の仕分けを効率的にこなせた
  • サービス業: お客様に感謝された

「自分にもできた」という自信が、「ここで働きたい」という気持ちに変わります。

ポイント3: 若手社員との本音トーク

入社3年目前後の若手社員との座談会を設けます。

話してもらうべき内容:

  • 入社したきっかけ
  • 入社後のリアル(大変だったこと、嬉しかったこと)
  • 今の仕事のやりがい
  • 3年後の自分の目標

先輩の「リアルな声」を聞くことで、入社後のイメージが具体的になります。

ポイント4: 「あなた」への期待を伝える

インターンシップ最終日に、必ず個別フィードバックの時間を設けます。

フィードバックの例:

「〇〇さんは、作業が丁寧で正確でしたね。この仕事には向いていると思います。ぜひ一緒に働きたいです。」

「名前を呼んで」「具体的な行動を褒めて」「期待を伝える」ことで、学生の志望度が一気に高まります。

ポイント5: 楽しい雰囲気を作る

インターンシップは「楽しかった」という記憶が重要です。

  • 笑顔で迎える
  • 休憩時間に雑談する
  • 昼食を一緒に食べる
  • 最終日に記念撮影をする

楽しい思い出があると、「また来たい」「ここで働きたい」という気持ちが芽生えます。

ステップ3: 終了後のフォローアップを徹底する(フォロー段階)

インターンシップが終わった後のフォローアップが、採用成功の鍵です。

多くの企業が失敗する理由: インターンシップが終わった後、何も連絡しない

正解: 終了後も継続的に関係を築く

フォローアップの具体的な方法:

方法1: お礼の手紙を送る(終了後1週間以内)

インターンシップ終了後、1週間以内にお礼の手紙を郵送します。

手紙の内容例:

〇〇さん

先日はインターンシップにご参加いただき、ありがとうございました。

〇〇さんの真面目な姿勢と、作業の丁寧さに感心しました。
一緒に働く日を楽しみにしています。

もし何か質問があれば、いつでも連絡してください。

株式会社〇〇
代表取締役 〇〇

手書きの手紙は、メールやLINEよりも印象に残ります。

方法2: 会社見学会への招待(月1回程度)

インターンシップ参加者限定の会社見学会を定期的に開催します。

見学会の内容:

  • 新製品の紹介
  • 社員紹介
  • 工場の変化を見学
  • 質疑応答

「忘れられていない」「歓迎されている」という実感が、志望度を維持します。

方法3: 社内報・ニュースレターの送付(月1回)

会社の最新情報を定期的に送ります。

送付する内容:

  • 新入社員の紹介
  • 社員の成長ストーリー
  • 新しい設備の導入
  • イベントの様子

「この会社は活気がある」「自分も成長できそう」というイメージを保ちます。

方法4: 先輩社員との交流会(年2回程度)

インターンシップで関わった先輩社員との交流会を開催します。

交流会の例:

  • BBQ、食事会
  • スポーツイベント
  • 会社見学会後のランチ

カジュアルな雰囲気で再会することで、親近感が増します。

ステップ4: 学校との連携を継続する(関係構築段階)

インターンシップは、学校との関係構築の絶好の機会です。

学校への報告を徹底する:

インターンシップ終了後、必ず学校(進路指導の先生)に報告します。

報告内容:

  • 参加した生徒の様子(良かった点を具体的に)
  • 実施したプログラム内容
  • 生徒の成長ポイント
  • 次回のインターンシップ受け入れ希望

先生からの信頼を得ることで、翌年以降も継続的に生徒を紹介してもらえます。

株式会社ゆめスタが運営するゆめアカでは、東海3県40校とのネットワークを活かし、学校への報告から次年度のインターンシップ調整まで、一貫してサポートしています。

ステップ5: 適切なタイミングで採用選考に誘導する(選考段階)

高卒採用には「解禁日」があるため、タイミングが重要です。

高卒採用のスケジュール:

  • 7月1日: 求人票公開解禁
  • 9月5日: 応募・選考開始(企業による面接開始)
  • 9月16日以降: 内定通知

インターンシップ参加者への対応:

7月1日以降: 求人票の送付

求人票が解禁されたら、すぐにインターンシップ参加者に求人票を送付します。

送付方法:

  • 学校経由で送付(先生に依頼)
  • 自宅へ郵送(保護者にも見てもらう)
  • 会社見学会で手渡し

8月: 応募前職場見学への招待

インターンシップ参加者を優先的に応募前職場見学へ招待します。

「以前インターンシップに来てくれた〇〇さん、ぜひまた会社に来てください」と声をかけることで、特別感を演出します。

9月5日以降: 選考開始

応募があった場合、優先的に選考を進めます。

インターンシップで既に「この学生を採用したい」という確信があるため、選考はスムーズに進みます。


失敗パターン:やってはいけない3つのこと

失敗1: インターンシップで終わらせてしまう

NG行動:

「インターンシップお疲れ様でした。またね!」で終了。その後一切連絡なし。

なぜNG?:

学生は「歓迎されていない」「忘れられた」と感じ、志望度が下がります。

正解:

終了後も定期的に連絡を取り、関係を継続する。

失敗2: 学校への報告を忘れる

NG行動:

インターンシップが終わっても、学校(進路指導の先生)に何も報告しない。

なぜNG?:

学校側は「あの会社はどうだったのか」「生徒は楽しめたのか」を知りたがっています。報告がないと、「対応が悪い会社」と判断されます。

正解:

インターンシップ終了後1週間以内に、学校へ報告書を提出する。

失敗3: 一方的な売り込みをする

NG行動:

インターンシップ中、ひたすら「うちの会社は良い会社だ」とアピールするだけ。

なぜNG?:

学生は「押し売りされている」と感じ、かえって興味を失います。

正解:

学生の質問に丁寧に答え、「自分で判断してもらう」姿勢を見せる。


応募率80%を実現した成功事例

事例1: 自動車部品製造B社(従業員120名)

課題:

インターンシップを実施しても、応募率が20%程度と低い。

施策:

5つのステップを徹底実施

具体的な取り組み:

ステップ1: 目的明確化

「工業高校の機械科の学生に、ものづくりの面白さを伝え、採用につなげる」

ステップ2: プログラム改善

  • 社長との対話時間を新設(15分)
  • 若手社員との座談会を追加(30分)
  • 最終日に個別フィードバック実施

ステップ3: フォローアップ徹底

  • 終了後1週間以内にお礼の手紙を送付(手書き)
  • 月1回、社内報を郵送
  • 年2回、会社見学会を開催

ステップ4: 学校連携

  • インターンシップ終了後、進路指導の先生に詳細報告
  • 参加した生徒の良かった点を具体的に伝える
  • 次年度の受け入れ希望を表明

ステップ5: 選考誘導

  • 7月1日に求人票を送付
  • 8月に応募前職場見学へ優先招待
  • 9月5日以降、選考開始

結果:

  • インターンシップ参加者の応募率: 20% → 80%
  • 採用数: 前年比75%増
  • 3年定着率: 83.5%

成功要因:

「終わった後のフォローアップ」を徹底したことで、学生との関係が継続され、志望度が維持された。

事例2: 鋳物製造A社(従業員45名)

課題:

インターンシップ参加者6名中、応募は1名のみ。

施策:

個別フィードバックと社長との対話を重視

具体的な取り組み:

  • インターンシップ最終日に、社長が一人ずつ「君のここが良かった」と具体的にフィードバック
  • 「一緒に働きたい」という期待を明確に伝える
  • 終了後、社長名義の手書きの手紙を送付

結果:

  • インターンシップ参加者の応募率: 17% → 83%(6名中5名が応募)
  • 採用数: 4名(前年1名から大幅増加)
  • 3年離職率: 0%

成功要因:

「あなたに期待している」という個別のメッセージが、学生の志望度を高めた。


高卒採用特有の注意点

注意点1: 解禁日前の採用活動は禁止

高卒採用には厳格なルールがあります。

禁止事項:

  • 7月1日前に求人票を公開すること
  • 9月5日前に選考(面接)を開始すること
  • インターンシップ中に「うちに応募してね」と勧誘すること

OK行為:

  • インターンシップで仕事体験をしてもらう
  • 会社の魅力を伝える
  • 終了後にお礼の手紙を送る
  • 会社見学会に招待する

注意点2: 学校のキャリア教育の一環として実施

高校生インターンシップは、学校のキャリア教育の一環です。

企業の役割:

  • 高校生の成長をサポートする
  • 社会人としてのマナーを教える
  • 仕事の楽しさ・厳しさを伝える

「採用したい」という気持ちは持ちつつも、「教育」の視点を忘れないことが重要です。

注意点3: 一者二社制に対応する

高卒採用では、多くの地域で「一者二社制」が採用されています。

一者二社制とは:

生徒が最初に応募できる企業は2社まで(または1社まで)

対応策:

インターンシップで「第一志望にしたい」と思ってもらえるよう、魅力を最大限伝える。


まとめ

重要ポイント

  • インターンシップの本質は「選考プロセス」: 体験ではなく、お互いを知る機会
  • 応募率80%は実現可能: 5つのステップを徹底すれば達成できる
  • フォローアップが最重要: 終了後の関係構築が採用成功の鍵
  • 学校連携を忘れない: 学校への報告で信頼を獲得
  • 高卒採用のルールを守る: 解禁日前の採用活動は厳禁

5つのステップ(再掲)

  1. 目的を明確にする: 誰を、何のために、どうしたいのか
  2. プログラムで「働きたい」と思わせる: 経営者との対話、成功体験、若手社員との交流
  3. フォローアップを徹底する: お礼の手紙、会社見学会、ニュースレター
  4. 学校との連携を継続する: 報告書の提出、次年度の受け入れ表明
  5. 適切なタイミングで選考誘導: 解禁日に求人票送付、応募前職場見学への招待

次にすべきこと

  1. 過去のインターンシップを振り返る: 応募率、フォローアップの有無を確認
  2. フォローアッププランを作成する: お礼の手紙、会社見学会、ニュースレターの計画
  3. プログラムを見直す: 経営者との対話、個別フィードバックが入っているか確認
  4. 専門家に相談する: インターンシップから採用へつなげる具体的なステップを相談

ゆめアカへのご相談はこちら

高卒採用やインターンシップの導入でお悩みの企業様は、ぜひゆめアカにご相談ください。東海3県40校とのネットワークを活かし、貴社の採用成功を全力でサポートします。

インターンシッププログラムの設計から、終了後のフォローアップ、学校への報告、採用選考までワンストップで支援いたします。実際に、ゆめアカの支援により応募率80%を実現した企業も多数あります。

お問い合わせ


関連記事

この記事は、株式会社ゆめスタが運営するゆめスタアカデミー(ゆめアカ)が提供しています。 高卒採用・インターンシップ支援の実績とノウハウをもとに、 中小企業の採用成功をサポートしています。

高卒採用・インターンシップのご相談は
ゆめアカにお任せください

東海3県40校との強固なネットワーク

2025年度14名の採用実績(3社合計)

インターンシップ経由の離職率16.5%(通常40%)

実績ある経営陣による手厚いサポート

お電話でのお問い合わせ:090-4264-9939(平日 9:00-18:00)

タグ

インターンシップ高卒採用採用戦略フォローアップ