「インターンシップを実施したのに、結局応募が来なかった」「参加した高校生に他社へ行かれてしまった」——そんな経験はありませんか?
実際に、インターンシップを実施しても、そのまま採用につながらないケースは少なくありません。インターンシップは「実施して終わり」ではなく、採用へつなげる戦略的なプロセスが必要です。
しかし、正しいステップを踏めば、インターンシップ参加者の採用成功率は80%以上に達します。
この記事では、インターンシップから確実に採用へつなげる5つのステップと、実際に応募率80%を実現した企業の成功事例を詳しく解説します。
この記事で分かること
- インターンシップから採用へつなげる5つの具体的なステップ
- 参加者を「絶対この会社で働きたい」と思わせる方法
- 終了後のフォローアップで差をつけるテクニック
- 高卒採用特有の注意点と解禁日の対応
- 応募率80%を実現した企業の成功事例
読了時間: 約9分
目次
インターンシップの本当の目的は「採用」
インターンシップは「体験」ではなく「選考」の一部
多くの企業が誤解していますが、インターンシップは単なる「職業体験」ではありません。
**インターンシップの本質は「お互いを知る選考プロセス」**です。
- 企業側: 学生の適性、やる気、人柄を見極める
- 学生側: 会社の雰囲気、仕事内容、先輩社員を見極める
この相互選択を経て、**「この会社で働きたい」「この学生を採用したい」**という確信を持つことが目的です。
データで見るインターンシップの効果
インターンシップ経由の採用と一般採用の違いを比較してみましょう。
| 指標 | 一般採用 | インターンシップ経由 |
|---|---|---|
| 応募率 | 約20% | 約80% |
| 内定承諾率 | 約60% | 約90% |
| 3年定着率 | 63.0% | 83.5% |
| 採用コスト | 高い(1人150万円) | 低い(1人50万円) |
インターンシップを経由することで、応募率は4倍、定着率は1.3倍になります。
インターンシップから採用へつなげる5つのステップ
ステップ1: 目的を明確にする(計画段階)
インターンシップを実施する前に、まず目的を明確にします。
NG例: 「とりあえず学校から頼まれたから受け入れる」
OK例: 「この学生を採用候補として見極め、会社の魅力を伝える」
目的を明確にする3つの質問:
- 誰を採用したいのか?(工業高校の機械科、商業高校の簿記資格保持者など)
- 何を伝えたいのか?(ものづくりの面白さ、社員の温かさ、成長できる環境など)
- どうなってほしいのか?(「ここで働きたい」と思ってほしい、応募してほしいなど)
この3つが明確になると、プログラム設計が具体的になります。
実例: 鋳物製造A社は「鋳物づくりの面白さを体験してもらい、ものづくりの誇りを共有する」という目的を設定し、インターンシップ参加者の80%が応募に至りました。
ステップ2: プログラムで「この会社で働きたい」と思わせる(実施段階)
インターンシップの内容次第で、学生の志望度は大きく変わります。
「この会社で働きたい」と思わせる5つのポイント:
ポイント1: 経営者との対話の時間を設ける
中小企業の最大の強みは、経営者との距離の近さです。
プログラムに組み込むべき内容:
- 社長の想いを直接聞く時間(15分程度)
- 会社の将来ビジョンを語る
- 「君たちに期待していること」を伝える
高校生にとって、「社長と直接話せた」という体験は非常に印象に残ります。
ポイント2: 「できた!」という成功体験を作る
インターンシップ中に、必ず1つ以上の成功体験を作ります。
成功体験の例:
- 製造業: 自分で作った部品が完成する
- 物流業: 荷物の仕分けを効率的にこなせた
- サービス業: お客様に感謝された
「自分にもできた」という自信が、「ここで働きたい」という気持ちに変わります。
ポイント3: 若手社員との本音トーク
入社3年目前後の若手社員との座談会を設けます。
話してもらうべき内容:
- 入社したきっかけ
- 入社後のリアル(大変だったこと、嬉しかったこと)
- 今の仕事のやりがい
- 3年後の自分の目標
先輩の「リアルな声」を聞くことで、入社後のイメージが具体的になります。
ポイント4: 「あなた」への期待を伝える
インターンシップ最終日に、必ず個別フィードバックの時間を設けます。
フィードバックの例:
「〇〇さんは、作業が丁寧で正確でしたね。この仕事には向いていると思います。ぜひ一緒に働きたいです。」
「名前を呼んで」「具体的な行動を褒めて」「期待を伝える」ことで、学生の志望度が一気に高まります。
ポイント5: 楽しい雰囲気を作る
インターンシップは「楽しかった」という記憶が重要です。
- 笑顔で迎える
- 休憩時間に雑談する
- 昼食を一緒に食べる
- 最終日に記念撮影をする
楽しい思い出があると、「また来たい」「ここで働きたい」という気持ちが芽生えます。
ステップ3: 終了後のフォローアップを徹底する(フォロー段階)
インターンシップが終わった後のフォローアップが、採用成功の鍵です。
多くの企業が失敗する理由: インターンシップが終わった後、何も連絡しない
正解: 終了後も継続的に関係を築く
フォローアップの具体的な方法:
方法1: お礼の手紙を送る(終了後1週間以内)
インターンシップ終了後、1週間以内にお礼の手紙を郵送します。
手紙の内容例:
〇〇さん
先日はインターンシップにご参加いただき、ありがとうございました。
〇〇さんの真面目な姿勢と、作業の丁寧さに感心しました。
一緒に働く日を楽しみにしています。
もし何か質問があれば、いつでも連絡してください。
株式会社〇〇
代表取締役 〇〇
手書きの手紙は、メールやLINEよりも印象に残ります。
方法2: 会社見学会への招待(月1回程度)
インターンシップ参加者限定の会社見学会を定期的に開催します。
見学会の内容:
- 新製品の紹介
- 社員紹介
- 工場の変化を見学
- 質疑応答
「忘れられていない」「歓迎されている」という実感が、志望度を維持します。
方法3: 社内報・ニュースレターの送付(月1回)
会社の最新情報を定期的に送ります。
送付する内容:
- 新入社員の紹介
- 社員の成長ストーリー
- 新しい設備の導入
- イベントの様子
「この会社は活気がある」「自分も成長できそう」というイメージを保ちます。
方法4: 先輩社員との交流会(年2回程度)
インターンシップで関わった先輩社員との交流会を開催します。
交流会の例:
- BBQ、食事会
- スポーツイベント
- 会社見学会後のランチ
カジュアルな雰囲気で再会することで、親近感が増します。
ステップ4: 学校との連携を継続する(関係構築段階)
インターンシップは、学校との関係構築の絶好の機会です。
学校への報告を徹底する:
インターンシップ終了後、必ず学校(進路指導の先生)に報告します。
報告内容:
- 参加した生徒の様子(良かった点を具体的に)
- 実施したプログラム内容
- 生徒の成長ポイント
- 次回のインターンシップ受け入れ希望
先生からの信頼を得ることで、翌年以降も継続的に生徒を紹介してもらえます。
株式会社ゆめスタが運営するゆめアカでは、東海3県40校とのネットワークを活かし、学校への報告から次年度のインターンシップ調整まで、一貫してサポートしています。
ステップ5: 適切なタイミングで採用選考に誘導する(選考段階)
高卒採用には「解禁日」があるため、タイミングが重要です。
高卒採用のスケジュール:
- 7月1日: 求人票公開解禁
- 9月5日: 応募・選考開始(企業による面接開始)
- 9月16日以降: 内定通知
インターンシップ参加者への対応:
7月1日以降: 求人票の送付
求人票が解禁されたら、すぐにインターンシップ参加者に求人票を送付します。
送付方法:
- 学校経由で送付(先生に依頼)
- 自宅へ郵送(保護者にも見てもらう)
- 会社見学会で手渡し
8月: 応募前職場見学への招待
インターンシップ参加者を優先的に応募前職場見学へ招待します。
「以前インターンシップに来てくれた〇〇さん、ぜひまた会社に来てください」と声をかけることで、特別感を演出します。
9月5日以降: 選考開始
応募があった場合、優先的に選考を進めます。
インターンシップで既に「この学生を採用したい」という確信があるため、選考はスムーズに進みます。
失敗パターン:やってはいけない3つのこと
失敗1: インターンシップで終わらせてしまう
NG行動:
「インターンシップお疲れ様でした。またね!」で終了。その後一切連絡なし。
なぜNG?:
学生は「歓迎されていない」「忘れられた」と感じ、志望度が下がります。
正解:
終了後も定期的に連絡を取り、関係を継続する。
失敗2: 学校への報告を忘れる
NG行動:
インターンシップが終わっても、学校(進路指導の先生)に何も報告しない。
なぜNG?:
学校側は「あの会社はどうだったのか」「生徒は楽しめたのか」を知りたがっています。報告がないと、「対応が悪い会社」と判断されます。
正解:
インターンシップ終了後1週間以内に、学校へ報告書を提出する。
失敗3: 一方的な売り込みをする
NG行動:
インターンシップ中、ひたすら「うちの会社は良い会社だ」とアピールするだけ。
なぜNG?:
学生は「押し売りされている」と感じ、かえって興味を失います。
正解:
学生の質問に丁寧に答え、「自分で判断してもらう」姿勢を見せる。
応募率80%を実現した成功事例
事例1: 自動車部品製造B社(従業員120名)
課題:
インターンシップを実施しても、応募率が20%程度と低い。
施策:
5つのステップを徹底実施
具体的な取り組み:
ステップ1: 目的明確化
「工業高校の機械科の学生に、ものづくりの面白さを伝え、採用につなげる」
ステップ2: プログラム改善
- 社長との対話時間を新設(15分)
- 若手社員との座談会を追加(30分)
- 最終日に個別フィードバック実施
ステップ3: フォローアップ徹底
- 終了後1週間以内にお礼の手紙を送付(手書き)
- 月1回、社内報を郵送
- 年2回、会社見学会を開催
ステップ4: 学校連携
- インターンシップ終了後、進路指導の先生に詳細報告
- 参加した生徒の良かった点を具体的に伝える
- 次年度の受け入れ希望を表明
ステップ5: 選考誘導
- 7月1日に求人票を送付
- 8月に応募前職場見学へ優先招待
- 9月5日以降、選考開始
結果:
- インターンシップ参加者の応募率: 20% → 80%
- 採用数: 前年比75%増
- 3年定着率: 83.5%
成功要因:
「終わった後のフォローアップ」を徹底したことで、学生との関係が継続され、志望度が維持された。
事例2: 鋳物製造A社(従業員45名)
課題:
インターンシップ参加者6名中、応募は1名のみ。
施策:
個別フィードバックと社長との対話を重視
具体的な取り組み:
- インターンシップ最終日に、社長が一人ずつ「君のここが良かった」と具体的にフィードバック
- 「一緒に働きたい」という期待を明確に伝える
- 終了後、社長名義の手書きの手紙を送付
結果:
- インターンシップ参加者の応募率: 17% → 83%(6名中5名が応募)
- 採用数: 4名(前年1名から大幅増加)
- 3年離職率: 0%
成功要因:
「あなたに期待している」という個別のメッセージが、学生の志望度を高めた。
高卒採用特有の注意点
注意点1: 解禁日前の採用活動は禁止
高卒採用には厳格なルールがあります。
禁止事項:
- 7月1日前に求人票を公開すること
- 9月5日前に選考(面接)を開始すること
- インターンシップ中に「うちに応募してね」と勧誘すること
OK行為:
- インターンシップで仕事体験をしてもらう
- 会社の魅力を伝える
- 終了後にお礼の手紙を送る
- 会社見学会に招待する
注意点2: 学校のキャリア教育の一環として実施
高校生インターンシップは、学校のキャリア教育の一環です。
企業の役割:
- 高校生の成長をサポートする
- 社会人としてのマナーを教える
- 仕事の楽しさ・厳しさを伝える
「採用したい」という気持ちは持ちつつも、「教育」の視点を忘れないことが重要です。
注意点3: 一者二社制に対応する
高卒採用では、多くの地域で「一者二社制」が採用されています。
一者二社制とは:
生徒が最初に応募できる企業は2社まで(または1社まで)
対応策:
インターンシップで「第一志望にしたい」と思ってもらえるよう、魅力を最大限伝える。
まとめ
重要ポイント
- インターンシップの本質は「選考プロセス」: 体験ではなく、お互いを知る機会
- 応募率80%は実現可能: 5つのステップを徹底すれば達成できる
- フォローアップが最重要: 終了後の関係構築が採用成功の鍵
- 学校連携を忘れない: 学校への報告で信頼を獲得
- 高卒採用のルールを守る: 解禁日前の採用活動は厳禁
5つのステップ(再掲)
- 目的を明確にする: 誰を、何のために、どうしたいのか
- プログラムで「働きたい」と思わせる: 経営者との対話、成功体験、若手社員との交流
- フォローアップを徹底する: お礼の手紙、会社見学会、ニュースレター
- 学校との連携を継続する: 報告書の提出、次年度の受け入れ表明
- 適切なタイミングで選考誘導: 解禁日に求人票送付、応募前職場見学への招待
次にすべきこと
- 過去のインターンシップを振り返る: 応募率、フォローアップの有無を確認
- フォローアッププランを作成する: お礼の手紙、会社見学会、ニュースレターの計画
- プログラムを見直す: 経営者との対話、個別フィードバックが入っているか確認
- 専門家に相談する: インターンシップから採用へつなげる具体的なステップを相談
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