デュアルシステム

デュアルシステム実施の流れ|三者協定から実習開始まで

著者: 株式会社ゆめスタ
デュアルシステム実施の流れ|三者協定から実習開始まで

デュアルシステム実施の流れ|三者協定から実習開始まで

「デュアルシステムを導入したいけど、何から始めればいいか分からない」「学校や保護者との契約はどうすれば?」そんな悩みを抱えていませんか?

デュアルシステムは学校と企業が連携して高校生を長期的に育成する仕組みですが、実施には三者協定の締結や事前準備など、いくつかの重要なステップがあります。

しかし、正しい手順を理解し、適切な準備を行うことで、スムーズに導入でき、将来の即戦力を育てることができます。

この記事では、デュアルシステムの実施の流れを6ステップで詳しく解説します。

この記事で分かること

  • デュアルシステム実施の6つのステップ
  • 三者協定の内容と重要性
  • 企業側が準備すべきこと
  • よくある課題と対策

読了時間: 約5分


目次

  1. デュアルシステム実施の全体像
  2. ステップ1: 導入検討と学校への打診
  3. ステップ2: 生徒の選考とマッチング
  4. ステップ3: 三者協定の締結
  5. ステップ4: 事前指導の実施
  6. ステップ5: 企業実習の開始
  7. ステップ6: 事後指導と評価
  8. 企業が準備すべきこと
  9. よくある課題と対策
  10. まとめ

デュアルシステム実施の全体像

デュアルシステムとは、学校での座学と企業での実習を並行して行う職業訓練システムです。

実施期間

一般的なデュアルシステムの実施期間は以下の通りです。

  • 全体期間: 10ヶ月間(5月〜翌年2月)
  • 実習頻度: 週1〜2回(半日〜1日)
  • 総時間: 100〜200時間程度

対象生徒

  • 学年: 高校2〜3年生が中心
  • 学科: 工業高校、商業高校が主
  • 選考: 希望者の中から目的意識や適性を考慮して選考

デュアルシステムは通常のインターンシップ(1日〜5日)よりも長期にわたるため、より深い技術習得と職場適応が可能です。


ステップ1: 導入検討と学校への打診

デュアルシステムの導入は、まず学校への打診から始まります。

学校へのアプローチ方法

  1. 進路指導部への連絡

    • 高校の進路指導部に連絡
    • デュアルシステム受け入れの意向を伝える
  2. 企業情報の提供

    • 会社案内パンフレット
    • 受け入れ可能な職種・人数
    • 過去の採用・育成実績
  3. 学校訪問

    • 進路指導担当教員との面談
    • 実習内容の具体的な説明
    • 企業側の受け入れ体制の説明

学校との調整事項

  • 実習の曜日・時間帯
  • 実習内容(カリキュラム)
  • 単位認定の有無
  • 費用負担(交通費、保険など)

実際に、株式会社ゆめスタのゆめアカでは、東海3県40校とのネットワークを活かし、デュアルシステム導入を検討する企業と学校との初期調整をサポートしています。


ステップ2: 生徒の選考とマッチング

学校との調整が整ったら、参加生徒の選考とマッチングを行います。

生徒の選考基準

学校側が希望者の中から以下の基準で選考します。

  • 目的意識: なぜデュアルシステムに参加したいか
  • 職種への適性: 希望職種と生徒のスキルの適合性
  • 基本的生活習慣: 遅刻・欠席の頻度、生活態度
  • 保護者の同意: 保護者が理解し、協力的か

マッチングの流れ

  1. 企業見学

    • 生徒が企業を訪問
    • 職場の雰囲気を体験
    • 社員との簡単な交流
  2. 面談

    • 企業担当者と生徒の面談
    • 実習内容の説明
    • 生徒の希望・質問に回答
  3. マッチング確定

    • 学校・企業・生徒の三者で確認
    • 実習スケジュールの決定

マッチングの成功ポイント

  • 生徒の希望を尊重: 強制的な配置は避ける
  • 明確な期待値設定: 何を学べるかを具体的に伝える
  • 保護者への説明: 保護者の不安を解消する

ステップ3: 三者協定の締結

デュアルシステムの実施には、企業・学校・保護者の三者協定が必須です。

三者協定とは?

三者協定とは、デュアルシステムの実施に関する取り決めを文書化したもので、企業・学校・保護者が署名・押印します。

三者協定の主な内容

項目 内容
目的 デュアルシステムの目的(職業能力の向上、キャリア形成など)
実習内容 具体的な作業内容、習得すべき技能
期間・時間 実習期間、曜日、時間帯
単位認定 学校が単位として認定するか
費用負担 交通費、昼食代、保険料の負担区分
損害賠償 事故・損害発生時の責任範囲
守秘義務 企業情報の取り扱い
中止条件 途中で中止する場合の手続き

三者協定の重要性

三者協定を締結することで、以下のメリットがあります。

  • 責任範囲の明確化: トラブル発生時の対応が明確
  • 保護者の安心: 保護者が内容を理解し、安心できる
  • 学校の単位認定: 生徒の単位として認められる
  • 企業の信頼: 学校・保護者からの信頼を得られる

ステップ4: 事前指導の実施

実習開始前に、学校と企業が連携して事前指導を行います。

学校側の事前指導

  • 安全教育: 危険防止、労働災害の基礎知識
  • マナー教育: 挨拶、言葉遣い、服装
  • ビジネスマナー: 電話応対、報告・連絡・相談
  • 目標設定: 実習で何を学びたいか

企業側の事前指導

実習初日に、以下の内容を説明します。

  1. 会社概要の説明

    • 事業内容、組織体制
    • 企業理念、ビジョン
  2. 職場ルールの説明

    • 出勤・退勤の手続き
    • 休憩時間、トイレの場所
    • 禁止事項(私用電話、SNS投稿など)
  3. 安全教育

    • 機械・工具の使い方
    • 安全装備の着用方法
    • 緊急時の対応
  4. 担当者の紹介

    • OJT担当者の紹介
    • 質問・相談の窓口

ステップ5: 企業実習の開始

事前指導が完了したら、いよいよ企業実習を開始します。

実習スケジュールの例

2年生の場合(10ヶ月間)

実習内容
5月 職場見学、基本作業の見学
6月〜8月 簡単な作業の実践(補助作業)
9月〜12月 専門的な作業の実践
1月〜2月 技能の定着、成果発表の準備

実習内容の段階的設計

デュアルシステムでは、以下のように段階的に実習内容を高度化します。

レベル1: 見学・観察(1〜2ヶ月目)

  • 職場の雰囲気に慣れる
  • 作業を見学し、流れを理解

レベル2: 補助作業(3〜5ヶ月目)

  • 簡単な作業を実践
  • 先輩社員のサポート

レベル3: 独立作業(6〜8ヶ月目)

  • 1人で作業を完結
  • 品質・スピードの向上

レベル4: 応用・改善(9〜10ヶ月目)

  • より高度な作業に挑戦
  • 作業の改善提案

OJT担当者の役割

企業側は、専任のOJT担当者を配置することが重要です。

  • 日々の指導: 作業手順の説明、質問への回答
  • 進捗管理: 実習日誌の確認、目標達成度の確認
  • フィードバック: 良い点・改善点を伝える
  • 学校との連携: 定期的に学校へ状況報告

ステップ6: 事後指導と評価

実習終了後、学校と企業が協力して事後指導と評価を行います。

生徒側の事後指導

  • 報告書の作成: 実習内容、学んだこと、感想をまとめる
  • 礼状の作成: 企業への感謝の手紙を書く
  • 成果発表会: 学校全体で実習成果を発表

企業側の評価

企業は、以下の項目を評価し、学校に報告します。

  • 技能習得度: 目標とした技能を習得できたか
  • 勤務態度: 遅刻・欠席、挨拶、報告・連絡・相談
  • 成長度: 実習開始時と終了時の比較
  • 適性: 職種への適性、将来性

採用への連携

デュアルシステム実習生の中から、優秀な生徒を採用候補として検討できます。

  • 採用意向の確認: 生徒・保護者に採用の意向を伝える
  • 学校への推薦依頼: 学校推薦を得る
  • 選考プロセス: 面接、適性検査などを実施

実際に、デュアルシステム経由で採用した社員は、職場への適応が早く、3年離職率も通常の40.8%よりも大幅に低いことが分かっています。


企業が準備すべきこと

デュアルシステムを成功させるために、企業側が事前に準備すべきことをまとめます。

1. 受け入れ体制の整備

  • OJT担当者の選定: 若手育成に意欲的な社員を選ぶ
  • 実習場所の確保: 安全で学びやすい環境
  • 実習カリキュラム: 10ヶ月間の段階的な計画

2. 安全対策

  • 安全装備の準備: ヘルメット、作業着、保護具
  • 危険箇所の明示: 立ち入り禁止エリアの表示
  • 保険の加入: 労災保険、傷害保険

3. 社内への周知

  • 全社員への説明: デュアルシステムの趣旨を共有
  • 協力依頼: 高校生への声かけ、質問への対応

4. 評価シートの準備

  • 日報: 毎回の実習内容を記録
  • 中間評価: 5ヶ月目に進捗を確認
  • 最終評価: 実習終了時の総合評価

よくある課題と対策

デュアルシステムの実施では、以下のような課題が発生することがあります。

課題1: 生徒のモチベーション低下

原因:

  • 単調な作業の繰り返し
  • 成長実感が得られない

対策:

  • 定期的に新しい作業を導入
  • 小さな成功体験を積ませる(「◯◯ができるようになったね」と褒める)
  • 目標を小刻みに設定し、達成感を味わわせる

課題2: OJT担当者の負担増

原因:

  • 通常業務との両立が難しい
  • 指導方法が分からない

対策:

  • OJT担当者の業務を一部軽減
  • 指導マニュアルを整備
  • 複数名で分担(ローテーション)

課題3: 学校との連携不足

原因:

  • 報告が遅れる、連絡が取れない
  • 問題発生時の対応が遅れる

対策:

  • 定期報告の日を決める(月1回など)
  • 問題発生時の連絡フローを明確化
  • 連絡窓口を一本化

まとめ

デュアルシステムの実施は、以下の6ステップで進めます。

デュアルシステム実施の6ステップ

  1. 導入検討と学校への打診: 学校に連絡し、受け入れ意向を伝える
  2. 生徒の選考とマッチング: 企業見学、面談を経てマッチング
  3. 三者協定の締結: 企業・学校・保護者で協定書を締結
  4. 事前指導の実施: 安全教育、マナー教育を実施
  5. 企業実習の開始: 10ヶ月間、段階的に実習を進める
  6. 事後指導と評価: 報告書作成、評価、採用への連携

デュアルシステム成功の3つのポイント

  1. 三者協定の丁寧な締結: 責任範囲を明確にし、保護者の安心を得る
  2. 段階的なカリキュラム: 見学→補助→独立→応用と段階的に進める
  3. 学校との密な連携: 定期報告、問題発生時の迅速な対応

次にすべきこと

  1. 学校へ連絡: まずは近隣の工業高校・商業高校に問い合わせ
  2. 受け入れ体制の整備: OJT担当者の選定、安全対策の確認
  3. 専門家に相談: デュアルシステムの導入経験がある支援機関に相談

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