「高校生の採用を成功させたいが、入社後すぐに辞められるのが怖い」「採用前に実践力を見極めたい」そんな悩みを抱えていませんか?
実際に、高卒新卒者の3年以内離職率は40.8%と高く、多くの中小企業が採用後のミスマッチに苦しんでいます。
しかし、デュアルシステムという学校と企業が連携した長期育成の仕組みを活用することで、採用前に生徒の適性を見極め、即戦力となる人材を確保できます。
この記事では、デュアルシステムの基本から導入方法まで、中小企業経営者向けにわかりやすく解説します。
この記事で分かること
- デュアルシステムの基本的な仕組みと特徴
- インターンシップとの明確な違い
- 三者協定の内容と企業の役割
- デュアルシステム実施校との連携方法
- 企業が得られる具体的なメリット
読了時間: 約6分
目次
- デュアルシステムとは?基本知識
- デュアルシステムとインターンシップの違い
- デュアルシステムの仕組みと三者協定
- デュアルシステム実施校との連携方法
- 企業が得られる5つのメリット
- デュアルシステム導入の注意点
- まとめ
デュアルシステムとは?基本知識
デュアルシステムは、学校と企業が一体となって高校生を育成する新しい職業教育システムです。
デュアルシステムの定義
文部科学省が推進する「日本版デュアルシステム」は、ドイツの職業教育制度をモデルとし、学校での座学と企業での実習を組み合わせた教育手法です。
専門高校(工業高校、商業高校など)の生徒が、在学中に協力企業で長期間の実習を行い、実践的な技能・技術を身につけます。
実施状況
2025年時点で、全国の工業高校を中心に実施されています。
主な実施校:
- 東京都:葛西工科高校、多摩工科高校(デュアルシステム科)
- 長野県:須坂創成高校(創造工学科)
- 茨城県:日立工業高校
- その他:全国の専門高校で展開中
これらの学校では、地域の製造業、建設業、情報技術産業などの企業と連携し、実践的な人材育成を行っています。
デュアルシステムとインターンシップの違い
デュアルシステムとインターンシップは、どちらも企業で職業体験を行いますが、大きな違いがあります。
期間の違い
インターンシップ:
- 短期型:3日〜5日
- 長期型:1週間〜2週間
デュアルシステム:
- 1年間の長期実習(5月〜翌年2月)
- 毎週1回(水曜日など)定期的に実施
- 学校設定科目として6単位を認定
目的の違い
インターンシップ:
- 職業理解、企業理解
- 職場見学・職業体験が中心
デュアルシステム:
- 実践的な技能・技術の習得
- 正社員と同じ業務に従事
- 卒業後の就職を見据えた育成
評価の違い
インターンシップ:
- 体験レポートの提出が中心
- 評価は学校が行う
デュアルシステム:
- 企業が生徒の能力を評価
- 成績として単位認定
- 三者協定に基づく評価基準
このように、デュアルシステムは単なる体験ではなく、企業と学校が連携した本格的な人材育成プログラムです。
デュアルシステムの仕組みと三者協定
デュアルシステムは、企業・学校・保護者(生徒)の三者が協定を結んで実施します。
三者協定の内容
三者協定には以下の項目が明記されます:
1. 実習の目的
- 実践的な技能・技術の習得
- 勤労観・職業観の醸成
- 卒業後の就職を見据えた育成
2. 実習内容
- 具体的な業務内容
- 指導体制(OJT担当者の配置)
- 安全管理体制
3. 単位認定
- 学校設定科目「企業実習」として6単位
- 出席日数と評価基準
4. 費用負担
- 交通費の負担区分
- 実習用具の負担
- 保険加入
5. 損害賠償
- 実習中の事故への対応
- 損害保険の加入
6. 実習期間
- 1年間(5月〜翌年2月)
- 毎週1回(通常は水曜日)
企業の役割
企業は以下の役割を担います:
-
指導体制の整備
- OJT担当者の配置
- 安全教育の実施
- 定期的な評価とフィードバック
-
学校との連携
- 月次報告書の提出
- 定期的な三者面談の実施
- 学校行事への協力
-
生徒の評価
- 技能習得度の評価
- 勤務態度の評価
- 成長記録の作成
株式会社ゆめスタが運営するゆめアカでは、東海3県40校とのネットワークを活かし、デュアルシステムを含む学校連携の支援を行っています。三者協定の締結サポートから実習期間中のフォローまで、企業の負担を軽減しながら効果的な人材育成を実現します。
デュアルシステム実施校との連携方法
デュアルシステムを導入するには、実施校との連携が必要です。
連携の流れ
ステップ1: 実施校への問い合わせ
- 地域の工業高校・商業高校に連絡
- デュアルシステムの実施状況を確認
- 受け入れ可能な業種・職種を確認
ステップ2: 学校訪問と説明
- 企業概要の説明
- 実習内容の提案
- 安全管理体制の説明
ステップ3: 三者協定の締結
- 実習内容の詳細決定
- 協定書の作成と締結
- 保険加入の確認
ステップ4: 受け入れ準備
- OJT担当者の選定と研修
- 実習スケジュールの作成
- 安全設備の整備
連携のポイント
1. 早めのアプローチ 学校との信頼関係構築には時間がかかります。前年度から準備を始めることが理想です。
2. 明確な実習計画 「何を学ばせるか」を明確にし、1年間の育成計画を立てます。
3. 学校との密な連絡 月次報告や定期面談を通じて、学校と情報を共有します。
企業が得られる5つのメリット
デュアルシステムは企業に多くのメリットをもたらします。
メリット1: 採用前に適性を見極められる
1年間の実習を通じて、生徒の性格、能力、適性を十分に見極められます。
- 技術習得のスピード
- コミュニケーション能力
- 問題解決能力
- 勤務態度
このため、採用後のミスマッチを大幅に減らせます。
メリット2: 即戦力となる人材を確保
1年間の実習で実践的なスキルを身につけた生徒は、入社時から即戦力として活躍できます。
- 業務フローの理解
- 機械・設備の操作
- 安全管理の徹底
- 社内ルールの把握
新卒採用後の教育コストを大幅に削減できます。
メリット3: 離職率の大幅な低下
デュアルシステム経由で採用した社員は、企業への理解が深く、定着率が高い傾向があります。
実際に、インターンシップ経由の採用でも3年離職率が16.5%(通常40.8%)と大幅に低いことが分かっています。デュアルシステムは更に長期間の連携のため、より高い定着率が期待できます。
メリット4: 学校との強固な関係構築
デュアルシステムの受け入れ実績は、学校からの信頼獲得につながります。
- 翌年以降の推薦獲得
- 他の生徒の紹介
- 学校行事への優先的な招待
これにより、継続的な高卒採用が可能になります。
メリット5: 企業イメージの向上
地域の人材育成に貢献する企業として、社会的評価が高まります。
- 地域での認知度向上
- 他の高校からの問い合わせ増加
- 取引先からの評価向上
デュアルシステム導入の注意点
デュアルシステムを成功させるには、いくつかの注意点があります。
注意点1: 費用負担の明確化
現在のデュアルシステムは、OJTにかかる費用のほとんどが企業負担となっています。
主な費用:
- OJT担当者の人件費
- 実習用の材料費・工具費
- 保険料
- 交通費(企業負担の場合)
事前に予算を確保し、学校との協定で費用分担を明確にしましょう。
注意点2: 指導体制の整備
毎週1回、1年間にわたって生徒を受け入れるため、安定した指導体制が必要です。
必要な体制:
- 専任または兼任のOJT担当者
- 安全管理責任者
- 定期的な評価体制
担当者の負担が大きくならないよう、社内で協力体制を築くことが重要です。
注意点3: 長期的な視点
デュアルシステムは1年間の取り組みです。短期的な成果を求めず、生徒の成長を見守る姿勢が必要です。
最初は簡単な作業から始め、徐々に難易度を上げていく育成計画を立てましょう。
まとめ
デュアルシステムは、学校と企業が連携して高校生を育成する新しい職業教育システムです。
重要ポイント
- 期間: 1年間の長期実習(毎週1回)
- 仕組み: 三者協定に基づく正式な教育プログラム
- メリット: 採用前の適性見極め、即戦力確保、離職率低下
- 違い: インターンシップより長期で実践的
- 連携: 実施校との信頼関係構築が重要
次にすべきこと
- 地域の工業高校・商業高校のデュアルシステム実施状況を調査
- 自社で受け入れ可能な職種・業務内容を検討
- OJT担当者候補の選定と社内体制の整備
- 学校への問い合わせとアポイント取得
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