「デュアルシステムを導入すると、本当に採用が変わるのか?」「1年間も受け入れる負担に見合うメリットがあるのか?」そんな疑問をお持ちではありませんか?
実際に、デュアルシステムは従来のインターンシップと比べて企業の負担が大きく、導入を躊躇する経営者も少なくありません。
しかし、デュアルシステムを導入した企業からは「採用後の教育期間が大幅に短縮された」「離職率がゼロになった」といった声が多数寄せられています。
この記事では、デュアルシステム導入で得られる5つの具体的なメリットを、実例とともに詳しく解説します。
この記事で分かること
- デュアルシステムがもたらす5つの具体的なメリット
- 短期インターンシップとの効果の違い
- 導入企業の実例と成功事例
- ROI(投資対効果)の試算方法
- 自社に合うかどうかの判断基準
読了時間: 約7分
目次
- メリット1: 即戦力となる人材を確保できる
- メリット2: 採用ミスマッチを劇的に削減
- メリット3: 離職率を大幅に低下させる
- メリット4: 学校からの継続的な推薦を獲得
- メリット5: 採用・教育コストを大幅に削減
- 導入企業の実例
- ROI(投資対効果)の試算
- まとめ
メリット1: 即戦力となる人材を確保できる
デュアルシステム最大のメリットは、入社時から即戦力となる人材を確保できることです。
1年間の実習で身につく実践力
通常のインターンシップ(3日〜2週間)では、基本的な作業を体験する程度です。
インターンシップで学べること:
- 業務内容の概要
- 職場の雰囲気
- 簡単な作業の補助
一方、デュアルシステムでは1年間(約240時間以上)の実習を通じて、正社員と同等の業務を遂行できるようになります。
デュアルシステムで身につくスキル:
- 専門的な技能・技術
- 機械・設備の操作
- 品質管理の手法
- 安全管理の実践
- チームでの業務遂行
- 問題解決能力
新卒教育期間の大幅短縮
通常の高卒新卒採用では、入社後3〜6ヶ月の教育期間が必要です。
教育期間の比較:
| 採用方法 | 入社後の教育期間 | 独り立ちまでの期間 |
|---|---|---|
| 通常採用 | 3〜6ヶ月 | 6〜12ヶ月 |
| インターンシップ経由 | 2〜4ヶ月 | 4〜8ヶ月 |
| デュアルシステム経由 | 0〜1ヶ月 | 1〜3ヶ月 |
デュアルシステム経由の新入社員は、入社直後から戦力として期待できます。
製造業A社の事例
業種: 金属加工業(従業員30名) 導入前の課題: 高卒新卒を採用しても、独り立ちまで1年かかる
デュアルシステム導入後:
- 1年間、毎週水曜日に生徒を受け入れ
- 旋盤加工の基礎から応用まで指導
- 入社時には中堅社員と同等の技能を習得
- 教育期間を1ヶ月に短縮
「1年間の受け入れは大変でしたが、入社後の教育負担が劇的に減り、結果的に大きなメリットになりました」(A社社長)
メリット2: 採用ミスマッチを劇的に削減
デュアルシステムでは、1年間かけて生徒の適性を十分に見極められます。
短期間では分からない適性を把握
面接や短期インターンシップでは、以下の適性を正確に判断できません。
短期間では分からないこと:
- 継続的な学習意欲
- ストレス耐性
- チームワーク能力
- 問題解決への取り組み姿勢
- 長期的な成長の可能性
デュアルシステムなら、1年間を通じてこれらの適性をじっくり観察できます。
評価のポイント
定期的な評価項目:
-
技能習得度
- 指導内容の理解度
- 技能の向上スピード
- 応用力の有無
-
勤務態度
- 遅刻・欠席の有無
- 指示への対応
- 自主的な行動
-
コミュニケーション
- 報告・連絡・相談の適切さ
- 先輩社員との関係
- 質問の質と頻度
-
成長意欲
- 新しい技能への挑戦
- フィードバックへの反応
- 自己改善の姿勢
企業・生徒の双方が納得できる
デュアルシステムのもう一つの利点は、企業だけでなく生徒側も1年間で企業の適性を判断できることです。
生徒が確認できること:
- 仕事内容との適合性
- 職場環境との相性
- 先輩社員との関係
- 将来のキャリアパス
双方が納得した上で採用に進むため、入社後のミスマッチがほぼゼロになります。
メリット3: 離職率を大幅に低下させる
デュアルシステム経由の採用は、驚異的な定着率を実現します。
高卒新卒の3年離職率
厚生労働省のデータによると、高卒新卒者の3年以内離職率は40.8%です。
通常採用とデュアルシステムの比較:
| 採用方法 | 3年離職率 |
|---|---|
| 通常採用 | 40.8% |
| インターンシップ経由 | 16.5% |
| デュアルシステム経由 | 推定5〜10% |
デュアルシステム経由の採用では、離職率をさらに大幅に削減できると考えられます。
離職率が低い理由
1. 仕事内容への深い理解 1年間の実習で、仕事の厳しさも含めて理解した上で入社します。
2. 職場への適応完了 入社前から職場に馴染んでおり、環境変化によるストレスがありません。
3. 先輩社員との信頼関係 1年間で先輩社員との人間関係が構築されており、相談しやすい環境が整っています。
4. 企業への愛着形成 長期間の育成を通じて、企業への愛着と感謝の気持ちが芽生えます。
建設業B社の事例
業種: 建設業(従業員45名) 導入前の課題: 3年以内離職率が50%
デュアルシステム導入後:
- 過去5年間でデュアルシステム経由で4名採用
- 4名全員が現在も在職中(離職率0%)
- 最長勤続者は入社5年目
「デュアルシステムで受け入れた生徒は、入社前から会社のことを『自分の会社』と思ってくれている。この愛着が定着率の高さにつながっています」(B社人事担当者)
メリット4: 学校からの継続的な推薦を獲得
デュアルシステムの受け入れ実績は、学校からの強い信頼につながります。
学校が最も評価する企業
高校の進路指導教員が企業に求めることは、「生徒を大切に育ててくれる姿勢」です。
学校が評価するポイント:
- 長期的な育成への取り組み
- 安全管理の徹底
- 定期的な報告と連携
- 生徒の成長を支援する姿勢
デュアルシステムを実施する企業は、これらすべてを満たしており、学校から高く評価されます。
優先的な推薦の獲得
デュアルシステムの受け入れ実績がある企業は、以下のメリットを得られます。
学校からの優遇:
- 優秀な生徒の優先的な紹介
- 複数名の推薦獲得
- 学校行事への優先的な招待
- 教員からの積極的な企業紹介
継続的な採用の実現
一度デュアルシステムで成功すると、翌年以降も継続的に生徒を受け入れられます。
継続受け入れのメリット:
- 毎年安定した採用
- 受け入れノウハウの蓄積
- OJT担当者の指導スキル向上
- 若手社員の定期的な確保
株式会社ゆめスタが運営するゆめアカでは、東海3県40校とのネットワークを活かし、デュアルシステムを含む学校連携をサポートしています。2025年度には3社で14名の高卒採用を成功させており、学校との強固な関係構築が採用成功の鍵となっています。
メリット5: 採用・教育コストを大幅に削減
デュアルシステムは初期投資が必要ですが、長期的には大幅なコスト削減につながります。
通常採用にかかるコスト
高卒新卒を1名採用する場合の一般的なコストを見てみましょう。
採用コスト:
- 求人広告費:5〜10万円
- 学校訪問費:3〜5万円
- 選考費用:1〜2万円
- 合計:約10〜20万円
教育コスト(入社後6ヶ月):
- OJT担当者の人件費:約100〜150万円
- 研修費用:約10〜20万円
- 生産性損失:約50〜100万円
- 合計:約160〜270万円
総コスト:約170〜290万円
デュアルシステムのコスト
実習期間のコスト(1年間):
- OJT担当者の人件費:約50〜100万円(週1回)
- 材料費・工具費:約10〜30万円
- 保険料:約5,000〜1万円
- 交通費:約10〜30万円
- 合計:約70〜160万円
入社後の教育コスト(1ヶ月):
- OJT担当者の人件費:約20〜30万円
- 研修費用:約2〜5万円
- 合計:約22〜35万円
総コスト:約92〜195万円
コスト削減効果
デュアルシステムを導入すると、約78〜95万円のコスト削減が可能です。
さらに、以下の間接的な効果も加わります:
間接的なコスト削減:
- 離職による再採用コストの削減:約200〜400万円
- 早期戦力化による売上増加
- 教育担当者の負担軽減
5年間のROI試算
1名採用した場合の5年間の費用対効果を試算します。
通常採用(離職率40%):
- 採用・教育コスト:約250万円
- 3年以内離職による再採用コスト:約100万円(40%の確率)
- 期待値合計:約290万円
デュアルシステム(離職率5%):
- 実習・採用・教育コスト:約150万円
- 3年以内離職による再採用コスト:約7.5万円(5%の確率)
- 期待値合計:約157.5万円
5年間で約132.5万円のコスト削減
導入企業の実例
実際にデュアルシステムを導入した企業の事例を紹介します。
製造業C社の事例
業種: 自動車部品製造 従業員数: 55名 導入年: 2020年
導入前の状況:
- 高卒採用の3年離職率:50%
- 採用しても1年以内に退職
- 採用活動が負担に
デュアルシステム導入:
- 地域の工業高校と連携
- 毎年1〜2名を受け入れ
- 5年間で計7名を受け入れ
導入後の成果:
- デュアルシステム経由の7名全員が在職中
- 離職率0%を達成
- 入社後1ヶ月で独り立ち
- 教育担当者の負担が70%削減
建設業D社の事例
業種: 建設業(設備工事) 従業員数: 38名 導入年: 2021年
導入前の状況:
- 高卒採用が3年間ゼロ
- 技術者の高齢化が進行
- 技術継承が課題
デュアルシステム導入:
- 工業高校の建設科と連携
- 3年間で4名を受け入れ
- 4名全員を採用
導入後の成果:
- 4名全員が現場で活躍中
- ベテラン職人から技術継承が進行
- 学校からさらに2名の推薦を獲得
- 若手の定着により社内が活性化
ROI(投資対効果)の試算
デュアルシステムのROIを具体的に試算してみましょう。
投資額の試算
デュアルシステム1年間の投資:
- 人件費:約80万円
- その他費用:約30万円
- 合計:約110万円
リターンの試算
採用成功による効果(1名あたり):
- 教育コスト削減: 約130万円
- 早期戦力化による売上増: 約150万円
- 離職コスト削減(期待値): 約100万円
- 継続的な推薦獲得: 採用コスト削減約15万円/年
5年間の合計効果: 約455万円
ROIの計算
ROI = (リターン - 投資) / 投資 × 100
ROI = (455万円 - 110万円) / 110万円 × 100 = 約314%
つまり、110万円の投資に対して、5年間で約455万円のリターンが期待でき、ROIは314%となります。
まとめ
デュアルシステム導入で得られる5つのメリットをまとめます。
5つのメリット
-
即戦力人材の確保
- 入社時から戦力
- 教育期間を大幅短縮
-
採用ミスマッチの削減
- 1年間で適性を見極め
- 双方が納得した採用
-
離職率の大幅低下
- 通常40.8% → 推定5〜10%
- 継続的な雇用の実現
-
学校からの信頼獲得
- 優先的な推薦
- 継続的な採用
-
コスト削減
- 5年間で約132万円削減
- ROI 314%
デュアルシステムが向いている企業
- 製造業・建設業など技能継承が重要な業種
- 長期的な人材育成に取り組める企業
- 毎週の受け入れ体制を整えられる企業
- 高卒採用を戦略的に進めたい企業
次にすべきこと
- 地域のデュアルシステム実施校を調査
- 受け入れ体制の整備(OJT担当者の選定)
- 予算の確保と社内承認
- 学校への問い合わせと説明会への参加
ゆめアカへのご相談はこちら
デュアルシステムの導入や高卒採用でお悩みの企業様は、ぜひゆめアカにご相談ください。東海3県40校とのネットワークを活かし、実施校との連携から三者協定の締結、1年間の実習期間のフォローまで、一貫してサポートします。
まずはお気軽にお問い合わせください。
関連記事
この記事は、株式会社ゆめスタが運営するゆめスタアカデミー(ゆめアカ)が提供しています。 高卒採用・インターンシップ支援の実績とノウハウをもとに、 中小企業の採用成功をサポートしています。




