「高校生インターンシップを受け入れたいけど、何から始めればいいか分からない」「手続きや準備が複雑そうで不安」そんな悩みを抱えていませんか?
実際に、インターンシップ受け入れ経験のない企業の多くが、準備不足により学校からの信頼を失ったり、受け入れ後にトラブルを経験したりしています。高校生は未成年であるため、大学生のインターンシップとは異なる配慮が必要です。
しかし、事前に必要な手続きと体制を整えることで、スムーズかつ安全にインターンシップを実施できます。適切な準備は、学校との信頼関係構築にもつながり、継続的な採用成功への第一歩となります。
この記事では、高校生インターンシップの受け入れ準備について、法的手続きから社内体制づくりまで、実践的に解説します。
この記事で分かること
- 高校生インターンシップ受け入れに必要な法的手続き
- 社内体制づくりの具体的な方法
- 安全管理と保険の準備
- 学校との連携のポイント
- よくある失敗パターンと対策
読了時間: 約6分
目次
高校生インターンシップ受け入れ前の心構え
高校生と大学生の違いを理解する
高校生インターンシップは、大学生のインターンシップとは根本的に異なります。
主な違い:
- 教育活動としての位置づけ: 高校生のインターンシップは、学校教育の一環として実施されます
- 未成年である: 保護者の同意や安全管理がより厳格に求められます
- 労働法規の制約: 労働時間や作業内容に制限があります
- 学校との密接な連携: 学校側の担当教員との調整が必須です
受け入れの目的を明確にする
インターンシップ受け入れの目的を明確にすることが、準備の第一歩です。
目的の例:
- 採用候補者の確保: 将来的な採用につなげる
- 企業PR: 高校生や学校に自社を知ってもらう
- 社会貢献: 地域の人材育成に貢献する
- 社員の成長: 指導を通じて既存社員の教育スキルを向上させる
厚生労働省の調査によると、インターンシップ経由で採用した若手社員の3年離職率は16.5%と、一般的な40.8%と比べて大幅に低いことが分かっています。
出典: 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」(2023年)
必要な法的手続きと書類
基本的な準備書類
高校生インターンシップの受け入れには、以下の書類が必要です。
必須書類:
-
インターンシップ実施計画書
- 実施期間、時間、内容を記載
- 学校へ提出し、承認を得る
-
誓約書・同意書
- 保護者の署名・捺印が必要
- 個人情報の取り扱いに関する同意も含める
-
インターンシップ受入確認書
- 学校と企業の間で取り交わす
- 双方の責任範囲を明記
-
安全管理計画書
- 事故発生時の対応手順
- 緊急連絡先の共有
-
秘密保持に関する誓約書
- 企業情報の取り扱いについて
- 高校生本人と保護者の署名が必要
労働法規の確認
高校生は労働基準法上の「年少者」に該当するため、以下の制約があります。
労働時間の制限:
- 1日8時間、週40時間を超えてはならない
- 午後10時から午前5時までの深夜労働は禁止
- 休憩時間は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上
禁止業務:
- 危険有害業務(重量物の取り扱い、有害物質を扱う作業など)
- 安全装置を取り外す作業
- 運転業務(フォークリフトなど)
学校との事前協議で、実施内容が法規制に抵触しないか確認することが重要です。
社内体制づくりの5つのステップ
ステップ1: 受入責任者の決定
インターンシップ全体を統括する受入責任者を決めます。
受入責任者の役割:
- 学校との窓口対応
- プログラム全体の進行管理
- トラブル発生時の対応
- 事後報告書の作成
経営層または人事担当者が担当するのが一般的です。
ステップ2: 現場指導担当者(メンター)の選定
日々の指導を行う現場担当者を選定します。
メンターの条件:
- コミュニケーション能力が高い: 高校生にわかりやすく説明できる
- 教育熱心である: 若手育成に前向き
- 業務知識が豊富: 自社の仕事を体系的に教えられる
- 時間的余裕がある: インターンシップ期間中、指導に時間を割ける
株式会社ゆめスタが運営するゆめアカでは、メンター向けの事前研修も提供しており、受け入れ企業の負担を軽減しています。
ステップ3: 受入事務局の設置
複数名のインターンシップ受け入れや、継続的な実施を予定している場合は、受入事務局を設置します。
事務局の役割:
- 学校との調整(日程、人数、内容)
- 書類管理(計画書、同意書、報告書など)
- 社内調整(部署間の連携、スケジュール調整)
- 備品・資料の準備
ステップ4: 事前研修の実施
受入責任者とメンターを対象に、事前研修を実施します。
研修内容:
- 高校生インターンシップの目的と意義
- 法的規制と注意事項
- 安全管理と緊急時対応
- コミュニケーションの取り方
- プログラム内容の確認
事前研修を実施することで、受け入れ側の意識統一と準備の質が向上します。
ステップ5: 社内周知
インターンシップ実施について、全社員に周知します。
周知内容:
- 実施期間と受入人数
- インターンシップの目的
- 社員への協力依頼(挨拶、質問への対応など)
- 機密情報の取り扱い注意
社員全体の理解と協力があることで、高校生が安心して学べる環境が整います。
安全管理と保険の準備
安全管理体制の構築
高校生の安全を守ることは、受け入れ企業の最優先事項です。
安全管理のポイント:
-
作業環境の事前点検
- 危険箇所の確認と対策
- 安全装備の準備(ヘルメット、安全靴など)
-
安全教育の実施
- 初日に必ず安全教育を実施
- 機械操作や危険物の取り扱いは原則禁止
-
巡回・見守り体制
- メンターによる定期的な巡回
- 高校生が一人にならないよう配慮
-
緊急連絡体制の整備
- 学校、保護者、医療機関の連絡先を共有
- 緊急時のフローを明確化
保険の加入
万が一の事故に備え、保険加入を検討します。
推奨される保険:
-
傷害保険
- インターンシップ中の怪我に対応
- 学校が加入している場合もあるため、事前確認が必要
-
賠償責任保険
- 高校生が企業の設備を破損した場合などに対応
-
労働災害保険(労災)
- 報酬を支払う場合は労災保険の対象となる可能性あり
学校との協議で、保険の加入状況と責任範囲を明確にすることが重要です。
学校との連携体制の構築
事前打ち合わせの実施
学校とのすり合わせは、インターンシップ成功の鍵です。
打ち合わせ内容:
-
実施目的の共有
- 学校側の教育目標を理解
- 企業側の期待を伝える
-
プログラム内容の調整
- 学校が求める学習内容の確認
- 企業が提供できる内容の提案
-
スケジュールの確定
- 実施期間、日数、時間
- 受入人数
-
緊急時対応の確認
- 連絡体制の構築
- 事故発生時の役割分担
担当教員との連携
学校側の担当教員とは、密に連携を取ります。
連携のポイント:
- 実施前に必ず顔合わせの機会を設ける
- 実施中も定期的に報告・相談
- 実施後のフィードバックを共有
学校との信頼関係は、継続的なインターンシップ受け入れや採用成功の基盤となります。実際に、東海3県40校とのネットワークを持つゆめアカでは、この学校連携のノウハウを活かし、企業の受け入れをサポートしています。
よくある失敗パターンと対策
失敗パターン1: プログラム内容が曖昧
事例: 「とりあえず受け入れて、現場で考えよう」と準備不足で開始し、高校生が何をすればいいか分からず、学びのない時間になってしまった。
対策: 事前にプログラム内容を詳細に設計し、タイムスケジュールを作成します。
失敗パターン2: メンターが多忙で放置
事例: メンターが通常業務に追われ、高校生への指導が疎かになり、孤立感を与えてしまった。
対策: インターンシップ期間中は、メンターの業務負担を調整し、指導時間を確保します。
失敗パターン3: 安全管理の不備
事例: 安全教育を省略し、高校生が軽い怪我を負い、学校からの信頼を失った。
対策: 初日の安全教育を必須とし、危険箇所への立ち入りを制限します。
失敗パターン4: 学校との連携不足
事例: 実施後の報告を怠り、学校側が次年度の受け入れを見送った。
対策: 実施後、必ず報告書を提出し、改善点を共有します。継続的な関係構築が重要です。
失敗パターン5: 社内周知の欠如
事例: 社員がインターンシップを知らず、高校生への対応が冷たく、企業イメージが悪化した。
対策: 全社員に事前周知し、協力を呼びかけます。
まとめ
重要ポイント
- 高校生インターンシップは教育活動であり、大学生とは異なる配慮が必要
- 法的手続きと書類準備を確実に行い、リスクを回避する
- 社内体制づくりは、受入責任者、メンター、事務局の役割を明確にすることから始める
- 安全管理と保険は最優先事項。事故を未然に防ぐ体制を構築する
- 学校との連携を密にし、信頼関係を構築することが継続的な受け入れにつながる
- よくある失敗を事前に把握し、対策を講じることで、成功率が高まる
次にすべきこと
- 社内で受入体制を検討する: 受入責任者、メンター候補を選定
- 学校に相談する: 地域の高校に連絡を取り、インターンシップの可能性を探る
- プログラム内容を設計する: 高校生が学べる内容を具体的に考える
- 必要書類を準備する: 実施計画書、同意書などのフォーマットを整える
- 専門家に相談する: 不安がある場合は、インターンシップ支援の専門機関を活用する
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