「デュアルシステムとインターンシップ、どちらを導入すべきか迷っている」「それぞれのメリット・デメリットを知りたい」そんな疑問をお持ちではありませんか?
実際に、多くの中小企業が高卒採用を成功させるために学校連携に取り組んでいますが、デュアルシステムとインターンシップの違いを正しく理解している経営者は少ないのが現状です。
しかし、両者の違いを理解し、自社に合った方法を選ぶことで、採用成功率を大幅に高められます。
この記事では、デュアルシステムとインターンシップを7つの視点から徹底比較し、それぞれの特徴と活用方法をわかりやすく解説します。
この記事で分かること
- デュアルシステムとインターンシップの7つの違い
- 期間・目的・効果の具体的な比較
- 企業負担と採用への影響の違い
- どちらを選ぶべきか判断する基準
- 両方を組み合わせた活用方法
読了時間: 約7分
目次
デュアルシステムとインターンシップの基本的な違い
まず、デュアルシステムとインターンシップの基本的な定義を確認しましょう。
インターンシップとは
インターンシップは、高校生が企業で短期間の職業体験を行う制度です。
目的:
- 職業理解、企業理解
- 働くことの意義を学ぶ
- キャリア選択の参考
期間:
- 短期型:3日〜5日
- 長期型:1週間〜2週間
デュアルシステムとは
デュアルシステムは、学校と企業が連携して高校生を育成する長期的な職業教育システムです。
目的:
- 実践的な技能・技術の習得
- 正社員と同等の業務遂行能力の獲得
- 卒業後の就職を見据えた育成
期間:
- 1年間(5月〜翌年2月)
- 毎週1回(水曜日など)定期的に実施
この基本的な違いだけでも、両者の性質がまったく異なることが分かります。
7つの視点で徹底比較
デュアルシステムとインターンシップを7つの視点から比較します。
比較1: 実施期間
| 項目 | インターンシップ | デュアルシステム |
|---|---|---|
| 期間 | 3日〜2週間 | 1年間 |
| 頻度 | 1回のみ | 毎週1回 |
| 総時間 | 約24〜80時間 | 約240時間以上 |
デュアルシステムは、インターンシップの約3〜10倍の時間をかけて育成します。
比較2: 実施目的
| 項目 | インターンシップ | デュアルシステム |
|---|---|---|
| 主な目的 | 職業理解・企業理解 | 実践的スキルの習得 |
| 業務内容 | 見学・簡単な作業 | 正社員と同じ業務 |
| ゴール | 職業観の醸成 | 即戦力の育成 |
インターンシップは「体験」、デュアルシステムは「育成」が目的です。
比較3: 単位認定
| 項目 | インターンシップ | デュアルシステム |
|---|---|---|
| 単位認定 | なし(または1単位程度) | 6単位 |
| 科目名 | 総合的な探究の時間など | 学校設定科目「企業実習」 |
| 評価者 | 主に学校 | 企業と学校の共同評価 |
デュアルシステムは正式な教育課程として位置づけられています。
比較4: 契約形態
| 項目 | インターンシップ | デュアルシステム |
|---|---|---|
| 契約 | 覚書・協定書(簡易) | 三者協定(正式) |
| 契約者 | 企業と学校 | 企業・学校・保護者 |
| 内容 | 実施内容と保険 | 目的・評価・費用・責任 |
デュアルシステムは三者が正式な協定を結び、責任と役割を明確にします。
比較5: 企業の関与度
| 項目 | インターンシップ | デュアルシステム |
|---|---|---|
| 指導体制 | 担当者1名程度 | OJT担当者の配置必須 |
| 評価義務 | 簡易レポート | 詳細な評価報告 |
| 学校との連携 | 実施前後のみ | 月次報告・定期面談 |
デュアルシステムは企業の深い関与が求められます。
比較6: 生徒の立場
| 項目 | インターンシップ | デュアルシステム |
|---|---|---|
| 参加形態 | 全員または希望者 | 選抜された希望者 |
| 位置づけ | 職業体験の生徒 | 企業で学ぶ研修生 |
| 責任 | 観察・体験 | 業務の遂行 |
デュアルシステム参加者は、より高い意識と責任が求められます。
比較7: 採用への影響
| 項目 | インターンシップ | デュアルシステム |
|---|---|---|
| 採用選考 | 参考材料の一つ | 事実上の長期選考 |
| 内定への影響 | 限定的 | 非常に大きい |
| 入社後の即戦力度 | 低い | 非常に高い |
デュアルシステムは採用と直結した育成システムです。
企業が得られる効果の違い
それぞれの制度で企業が得られる効果を比較します。
インターンシップで得られる効果
1. 企業認知度の向上 高校生と進路指導教員に企業を知ってもらえます。
2. 採用への間接的な影響 インターンシップ参加者の中から応募者が出る可能性があります。
3. 学校との関係構築のきっかけ 初めて学校と連携する第一歩として有効です。
4. 社内の教育意識の向上 高校生を受け入れることで、社員の教育意識が高まります。
インターンシップの離職率への効果:
- インターンシップ経由採用の3年離職率:16.5%
- 通常採用の3年離職率:40.8%
インターンシップだけでも、離職率を約60%削減できます。
デュアルシステムで得られる効果
1. 即戦力人材の確保 1年間の実習で、入社時から即戦力となる人材を育成できます。
2. 採用ミスマッチの劇的な削減 1年間で生徒の適性を十分に見極められます。
3. さらなる離職率の低下 インターンシップ以上に企業への理解が深まり、定着率が向上します。
4. 学校からの継続的な推薦獲得 デュアルシステムの実績は、学校からの強い信頼につながります。
5. 地域での企業評価の向上 人材育成に貢献する企業として、地域での評価が高まります。
株式会社ゆめスタが運営するゆめアカでは、2025年度に3社で14名の高卒採用を成功させており、その多くがインターンシップやデュアルシステムを含む学校連携を活用した採用です。
コスト・負担の違い
企業の負担について比較します。
インターンシップのコスト
時間的負担:
- 準備期間:1〜2ヶ月
- 実施期間:3日〜2週間
- 担当者の拘束時間:約30〜100時間
金銭的負担:
- 材料費・消耗品費:約1〜5万円
- 保険料:約1,000〜3,000円/人
- 交通費(企業負担の場合):約5,000〜2万円
人的負担:
- 担当者1名程度
- 他の社員への影響は限定的
デュアルシステムのコスト
時間的負担:
- 準備期間:3〜6ヶ月
- 実施期間:1年間
- 担当者の拘束時間:約300〜500時間
金銭的負担:
- 材料費・工具費:約10〜30万円
- 保険料:約5,000〜1万円/人
- OJT担当者の人件費:約50〜100万円
- 交通費(企業負担の場合):約10〜30万円
人的負担:
- 専任または兼任のOJT担当者
- 月次報告・定期面談の対応
- 学校との密な連携
コスト対効果の比較
| 項目 | インターンシップ | デュアルシステム |
|---|---|---|
| 初期投資 | 低い | 高い |
| 採用確度 | 低〜中 | 非常に高い |
| 即戦力度 | 低い | 非常に高い |
| ROI | 中程度 | 非常に高い |
デュアルシステムは初期投資が大きいですが、採用後の教育コスト削減と高い定着率により、長期的には高いROIが期待できます。
どちらを選ぶべきか?判断基準
自社に合った方法を選ぶための判断基準を提示します。
インターンシップが向いている企業
以下に当てはまる場合はインターンシップから始めましょう:
-
初めて高校生を受け入れる
- 学校連携の経験がない
- 高校生への指導に不安がある
-
受け入れ体制が未整備
- OJT担当者を長期間配置できない
- 毎週定期的な受け入れが難しい
-
複数の生徒を受け入れたい
- 多くの高校生と接点を持ちたい
- 複数校との関係構築を目指す
-
まず企業を知ってもらいたい
- 地域での認知度を高めたい
- 採用は中長期的な目標
デュアルシステムが向いている企業
以下に当てはまる場合はデュアルシステムを検討しましょう:
-
即戦力となる人材が必要
- 入社後すぐに活躍してほしい
- 教育期間を短縮したい
-
採用ミスマッチを防ぎたい
- 適性を十分に見極めたい
- 離職率を極限まで下げたい
-
受け入れ体制が整っている
- OJT担当者を配置できる
- 毎週の受け入れが可能
-
学校との強固な関係を築きたい
- 継続的な採用を目指す
- 学校から優先的に推薦を受けたい
業種別の推奨
製造業(機械・金属加工など): → デュアルシステムが最適(技能習得に時間が必要)
建設業: → デュアルシステムが最適(安全管理と技術習得)
情報技術産業: → 両方を検討(まずインターンシップ、適性を見てデュアルシステムへ)
サービス業・販売業: → インターンシップから開始(短期間で適性が分かる)
両方を組み合わせた活用方法
インターンシップとデュアルシステムを組み合わせることで、さらに効果的な採用が可能になります。
ステップ1: インターンシップで適性を見極める
まず、短期インターンシップで多くの生徒を受け入れます。
- 1年間で5〜10名を受け入れ
- 適性が高い生徒を見極める
- 企業への興味・関心を確認
ステップ2: 適性の高い生徒をデュアルシステムへ
インターンシップで適性を確認した生徒に、デュアルシステムへの参加を打診します。
- 本人の希望を確認
- 学校・保護者と面談
- 三者協定を締結
ステップ3: 1年間の育成と評価
デュアルシステムで1年間かけて育成します。
- 毎週1回の実習
- 定期的な評価とフィードバック
- 学校との密な連携
ステップ4: 卒業後の採用
デュアルシステムを修了した生徒を正式に採用します。
- 企業・生徒双方が納得した採用
- 入社時から即戦力
- 高い定着率
組み合わせのメリット
1. リスクの最小化 短期インターンシップで適性を確認してからデュアルシステムに進むため、ミスマッチのリスクが最小化されます。
2. 多様な生徒との接点 インターンシップで多くの生徒と接点を持ちながら、優秀な生徒をデュアルシステムで育成できます。
3. 学校からの信頼獲得 両方の制度を活用することで、学校からの信頼が一層高まります。
まとめ
デュアルシステムとインターンシップには明確な違いがあります。
重要ポイント
| 項目 | インターンシップ | デュアルシステム |
|---|---|---|
| 期間 | 3日〜2週間 | 1年間 |
| 目的 | 職業理解 | 実践的スキル習得 |
| 効果 | 認知度向上 | 即戦力確保 |
| 負担 | 低い | 高い |
| ROI | 中程度 | 非常に高い |
どちらを選ぶべきか
- 初めての学校連携: インターンシップから開始
- 即戦力が必要: デュアルシステムを導入
- 最大の効果: 両方を組み合わせる
次にすべきこと
- 自社の受け入れ体制を確認
- 地域の実施校を調査
- まずはインターンシップから開始を検討
- 中長期的にデュアルシステムへの移行を計画
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