高卒採用の基礎知識

高卒3年離職率40%の衝撃|なぜ若手社員はすぐ辞めるのか

著者: 株式会社ゆめスタ
高卒3年離職率40%の衝撃|なぜ若手社員はすぐ辞めるのか

高卒3年離職率40%の衝撃|なぜ若手社員はすぐ辞めるのか

「せっかく採用した高校生がすぐに辞めてしまう」「3年以内に全員辞めた」そんな悩みを抱えていませんか?

厚生労働省の調査によると、2021年3月卒の高卒新卒者の3年離職率は**38.4%**に達しています。これは約4割の若手社員が3年以内に退職している計算です。

採用に成功しても、定着しなければ意味がありません。むしろ、採用コストと育成コストが無駄になり、企業にとって大きな損失です。

この記事では、高卒3年離職率40%の現実と、なぜ若手社員がすぐに辞めるのか、そして離職率を下げるための具体的な対策を詳しく解説します。

この記事で分かること

  • 高卒3年離職率38.4%の最新データと業界別の違い
  • 若手社員が辞める本当の理由トップ5
  • 高卒と大卒の離職率の比較
  • 離職率を下げるための10の具体策
  • 定着率80%を実現する企業の共通点

読了時間: 約5分


目次

  1. 高卒3年離職率38.4%の衝撃的な実態
  2. 若手社員が辞める本当の理由トップ5
  3. 高卒と大卒の離職率比較|なぜ高卒の方が高いのか
  4. 離職率を下げるための10の具体策
  5. 定着率80%を実現する企業の共通点
  6. まとめ

高卒3年離職率38.4%の衝撃的な実態

2021年3月卒の最新データ

厚生労働省の調査によると、2021年3月卒の高卒新卒者の3年以内離職率は**38.4%**に達しました。

これは前年の37.0%から1.4ポイント上昇しており、過去16年で最高水準です。

年次別の離職率(2021年3月卒):

  • 1年目: 15.1%
  • 2年目: 11.7%
  • 3年目: 10.2%
  • 合計: 38.4%

つまり、10人採用しても、3年後には約4人しか残らないという厳しい現実があります。

出典: 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」

業界別の離職率格差

業界によって離職率には大きな差があります。

離職率が高い業界トップ3(高卒):

  1. 宿泊業・飲食サービス業: 65.1%
  2. 生活関連サービス・娯楽業: 61.0%
  3. 教育・学習支援業: 53.1%

離職率が低い業界トップ3(高卒):

  1. 電気・ガス・水道業: 9.2%
  2. 鉱業・採石業: 12.3%
  3. 製造業: 25.6%

宿泊業・飲食サービス業では、なんと3人に2人が3年以内に退職している計算です。

一方で、電気・ガス・水道業では、わずか9.2%と非常に低い離職率を維持しています。

離職率上昇の背景

なぜ離職率は上昇しているのでしょうか。

背景にある要因:

  1. コロナ禍の影響: 働き方や価値観の変化
  2. 労働条件の厳しさ: 長時間労働、低賃金
  3. ミスマッチの増加: 一人一社制での限定的な選択
  4. 企業の受け入れ体制不足: オンボーディングの欠如

特に、2020年以降のコロナ禍は、若者の働き方に対する価値観を大きく変えました。「安定」「プライベート」「働きがい」を重視する傾向が強まり、条件の悪い企業は早期に見切りをつけられるようになっています。


若手社員が辞める本当の理由トップ5

若手社員は、なぜ入社3年以内に辞めてしまうのでしょうか。

理由1: 仕事が合わない・ミスマッチ

最も多い理由が「仕事が自分に合わない」というミスマッチです。

具体的には:

  • 想像していた仕事内容と違った
  • 自分の適性に合わない業務を任された
  • やりがいを感じられない

高卒採用では、職場見学や面接だけでは仕事の本質を理解しきれず、入社後にギャップを感じるケースが多いのです。

理由2: 人間関係の問題

職場の人間関係は、離職の大きな要因です。

具体的には:

  • 上司・先輩とうまくいかない
  • パワハラ・モラハラがある
  • 孤立してしまった

特に、高卒新入社員は18歳と若く、社会経験がありません。職場での人間関係の構築に苦労し、ストレスを抱えて退職するケースが多いのです。

理由3: 労働条件が厳しい

労働時間や賃金の問題も、離職の大きな理由です。

具体的には:

  • 長時間労働が常態化している
  • 残業代が支払われない
  • 賃金が低く、生活が苦しい
  • 休日が少ない

「こんなに働いているのに、給料が少ない」と感じた若手社員は、より良い条件の企業を探して転職します。

理由4: 教育・研修体制の不足

入社後の教育・研修が不足していると、若手社員は不安を感じます。

具体的には:

  • OJTが形骸化している(放置される)
  • 質問しづらい雰囲気
  • 先輩社員が忙しくて教えてもらえない
  • 成長実感が得られない

「自分は成長できているのか」「このままでいいのか」という不安が積み重なり、退職を決意します。

理由5: キャリアパスが見えない

将来のキャリアが見えないことも、離職の理由です。

具体的には:

  • 昇進・昇給の基準が不明確
  • 先輩社員を見ても将来が不安
  • スキルアップの機会がない

「この会社にいても将来が見えない」と感じた若手社員は、早期に転職を考え始めます。


高卒と大卒の離職率比較|なぜ高卒の方が高いのか

高卒38.4% vs 大卒34.9%

高卒の3年離職率38.4%は、大卒の34.9%と比べて約3.5ポイント高いです。

2021年3月卒の3年離職率:

  • 高卒: 38.4%
  • 大卒: 34.9%
  • : 3.5ポイント

この差は一見小さく見えますが、統計的には有意な差です。

出典: 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」

なぜ高卒の方が離職率が高いのか

高卒の離職率が高い理由は、主に以下の3つです。

理由1: 企業選択の制約(一人一社制)

高卒採用では、9月中は1社しか応募できない「一人一社制」があります。

そのため:

  • 十分に企業研究できない
  • 比較検討する機会が少ない
  • 「とりあえず推薦された企業に応募」するケースが多い

大卒採用では複数社を比較検討できるため、納得感を持って入社できます。この違いが、入社後のミスマッチにつながります。

理由2: 職業理解の不足

18歳の高校生は、社会経験がほとんどありません。

そのため:

  • 仕事内容を具体的にイメージできない
  • 職場の雰囲気や人間関係が想像できない
  • 「思っていたのと違う」というギャップが生じやすい

大学生は、アルバイトやインターンシップで社会経験を積んでおり、職業理解が進んでいます。

理由3: 企業側の受け入れ体制不足

高卒採用は大卒採用と比べて規模が小さく、企業側の受け入れ体制が整っていないケースが多いです。

そのため:

  • オンボーディングがない
  • OJTが形骸化している
  • メンター制度がない

大卒採用では、研修やOJT、メンター制度が整っている企業が多いですが、高卒採用ではそこまで手が回らないのが実情です。


離職率を下げるための10の具体策

高卒3年離職率38.4%という現実を変えるには、企業側の努力が不可欠です。

対策1: インターンシップで相互理解を深める

インターンシップは、入社前にミスマッチを防ぐ最も効果的な方法です。

効果:

  • 高校生が企業のリアルな姿を知れる
  • 企業側も生徒の適性を見極められる
  • **インターンシップ経由の採用は3年離職率16.5%**と大幅に低い

実際に、インターンシップ経由で採用した高校生の3年離職率は16.5%と、一般的な38.4%と比べて大幅に低いことが分かっています。

株式会社ゆめスタのゆめアカでは、学校と連携したインターンシップの設計から実施まで一貫してサポートしています。

対策2: 職場見学を充実させる

職場見学は、高校生が企業を選ぶ際の最重要ポイントです。

充実させるポイント:

  • 若手社員との対話の時間を設ける
  • 実際の作業現場をリアルに見せる
  • 保護者も同伴可能にする
  • 質問しやすい雰囲気を作る

職場見学で良い印象を与え、かつリアルな姿を見せることで、入社後のギャップを減らせます。

対策3: 入社前研修を実施する

入社前に研修を実施することで、不安を軽減できます。

入社前研修の内容:

  • 会社見学・工場見学
  • 先輩社員との交流会
  • ビジネスマナー研修
  • 業務の基礎知識研修

入社前に企業や仕事への理解を深めることで、入社後のスムーズな適応につながります。

対策4: オンボーディングを徹底する

入社後の最初の3ヶ月が、定着のカギを握ります。

オンボーディングの内容:

  • 初日のウェルカム(歓迎の雰囲気づくり)
  • 業務の進め方の丁寧な説明
  • 週1回の上司との1on1ミーティング
  • 1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月のフォローアップ面談

「放置されている」と感じさせないことが重要です。

対策5: メンター制度を導入する

先輩社員がメンター(相談役)として若手をサポートする制度です。

メンター制度のメリット:

  • 若手が相談しやすい
  • 孤立を防げる
  • 先輩社員の成長にもつながる

メンターは、業務の相談だけでなく、プライベートの悩みも聞ける存在であることが理想です。

対策6: OJTを形骸化させない

OJT(On-the-Job Training)は、現場での実践的な教育です。

OJTを成功させるポイント:

  • OJT担当者を明確にする
  • 教える内容と順番を計画する
  • 定期的に進捗を確認する
  • OJT担当者への研修を実施する

「先輩が忙しくて質問できない」という状況を作らないことが重要です。

対策7: 評価制度を見える化する

若手社員は、「自分がどう評価されているか」を知りたがっています。

評価制度の見える化:

  • 評価基準を明示する
  • 定期的にフィードバックを行う
  • 昇進・昇給の基準を公開する
  • 目標設定と振り返りを定期的に行う

評価が見えることで、若手社員は安心して働けます。

対策8: 成長実感を与える

若手社員は、「成長している」という実感を求めています。

成長実感を与える方法:

  • 小さな成功体験を積ませる
  • できたことを褒める
  • 新しい業務に挑戦させる
  • 資格取得を支援する

「この会社で成長できる」と感じれば、定着率は高まります。

対策9: 労働条件を改善する

労働時間や賃金の改善は、離職率削減に直結します。

改善すべきポイント:

  • 長時間労働を是正する
  • 残業代を適正に支払う
  • 定期的な昇給を行う
  • 福利厚生を充実させる

「この会社で働き続けても大丈夫」と思えることが重要です。

対策10: キャリアパスを示す

若手社員に、将来のキャリアを示すことも重要です。

キャリアパスの示し方:

  • 昇進・昇格のモデルを示す
  • 先輩社員のキャリア事例を紹介する
  • スキルアップの機会を提供する
  • 将来のキャリアについて面談で話し合う

「この会社にいれば、こんな未来が待っている」というビジョンを見せることが大切です。


定着率80%を実現する企業の共通点

高卒3年離職率38.4%という平均を大きく下回り、定着率80%(離職率20%)を実現している企業があります。

そうした企業の共通点を紹介します。

共通点1: インターンシップを積極的に実施している

定着率が高い企業は、ほぼ100%インターンシップを実施しています。

インターンシップで相互理解を深めることで、入社後のミスマッチを防いでいます。

共通点2: 入社前から密なコミュニケーション

内定後、入社までの期間に定期的に連絡を取り、不安を解消しています。

具体例:

  • 月1回の懇親会
  • LINE・メールでの定期連絡
  • 先輩社員との交流イベント

共通点3: 経営者自らが若手社員と対話する

定着率が高い企業では、経営者が若手社員と直接対話する機会を設けています。

「経営者が自分のことを気にかけてくれている」という実感が、帰属意識を高めます。

共通点4: 失敗を許容する文化がある

若手社員は、失敗を恐れます。

失敗を許容し、「失敗から学ぼう」という文化がある企業では、若手社員が安心して挑戦できます。

共通点5: 先輩社員が活き活きと働いている

若手社員は、先輩社員を見て「自分の未来」を想像します。

先輩社員が活き活きと働いている企業では、若手社員も「ここで働き続けたい」と思います。


まとめ

重要ポイント

  • 高卒3年離職率は38.4%と、約4割が3年以内に退職している
  • 業界別では宿泊業・飲食サービス業が65.1%と最も高く、電気・ガス・水道業が9.2%と最も低い
  • 若手社員が辞める理由は、ミスマッチ、人間関係、労働条件、教育不足、キャリアパス不明確
  • 高卒が大卒より離職率が高い理由は、一人一社制、職業理解不足、企業側の受け入れ体制不足
  • 離職率を下げるには、インターンシップ、職場見学、オンボーディング、メンター制度、評価の見える化などが有効
  • 定着率80%を実現する企業は、インターンシップ実施、密なコミュニケーション、経営者の対話、失敗許容、先輩社員の活躍という共通点がある

次にすべきこと

  1. インターンシップを導入する: 高校生向けインターンシッププログラムを検討
  2. 職場見学を充実させる: 若手社員との対話、リアルな現場の公開
  3. オンボーディングを設計する: 入社後3ヶ月の受け入れ計画を立てる
  4. メンター制度を導入する: 先輩社員が若手をサポートする仕組みづくり

ゆめアカへのご相談はこちら

高卒採用の定着率向上でお悩みの企業様は、ぜひゆめアカにご相談ください。インターンシップ経由の採用は3年離職率16.5%と、圧倒的に高い定着率を実現しています。東海3県40校とのネットワークを活かし、貴社の採用成功と定着支援を全力でサポートします。

お問い合わせ


関連記事

この記事は、株式会社ゆめスタが運営するゆめスタアカデミー(ゆめアカ)が提供しています。 高卒採用・インターンシップ支援の実績とノウハウをもとに、 中小企業の採用成功をサポートしています。

高卒採用・インターンシップのご相談は
ゆめアカにお任せください

東海3県40校との強固なネットワーク

2025年度14名の採用実績(3社合計)

インターンシップ経由の離職率16.5%(通常40%)

実績ある経営陣による手厚いサポート

お電話でのお問い合わせ:090-4264-9939(平日 9:00-18:00)

よくある質問

この記事に関連するよくある質問

2021年3月卒の高卒新卒者の3年離職率は38.4%です。つまり、10人採用しても3年後には約4人しか残らない計算です。年次別では1年目15.1%、2年目11.7%、3年目10.2%が退職しており、大卒の34.9%と比べて約3.5ポイント高い離職率となっています。過去16年で最高水準であり、特にコロナ禍以降は離職率が上昇傾向にあります。

最も離職率が高いのは宿泊業・飲食サービス業で65.1%、次いで生活関連サービス・娯楽業が61.0%、教育・学習支援業が53.1%です。逆に離職率が低いのは電気・ガス・水道業の9.2%、鉱業・採石業の12.3%、製造業の25.6%です。業界によって離職率には大きな差があり、特にサービス業では3人に2人が3年以内に退職している計算です。

若手社員が辞める主な理由は5つあります。1つ目は仕事が合わない・ミスマッチ、2つ目は職場の人間関係の問題、3つ目は労働条件の厳しさ(長時間労働、低賃金)、4つ目は教育・研修体制の不足、5つ目はキャリアパスが見えないことです。特に高卒採用では、一人一社制により十分に企業研究できないことや、18歳で社会経験がないため職業理解が不足していることが、ミスマッチにつながりやすいです。

はい、大幅に下がります。インターンシップ経由で採用した若手社員の3年離職率は16.5%と、一般的な38.4%と比べて半分以下です。インターンシップを通じて高校生が企業のリアルな姿を知り、企業側も生徒の適性を見極められるため、入社後のミスマッチを大幅に防ぐことができます。定着率向上には、インターンシップの実施が最も効果的な対策です。

離職率を下げるための主な対策は10個あります。1.インターンシップで相互理解を深める、2.職場見学を充実させる、3.入社前研修を実施する、4.オンボーディングを徹底する(入社後3ヶ月が重要)、5.メンター制度を導入する、6.OJTを形骸化させない、7.評価制度を見える化する、8.成長実感を与える、9.労働条件を改善する、10.キャリアパスを示す。特に入社後最初の3ヶ月の受け入れ体制が定着率を大きく左右します。

タグ

高卒離職率3年離職率定着率若手社員