「高校生を採用してもすぐ辞めてしまう」「採用コストが無駄になっている」そんな悩みを抱えていませんか?
実際に、厚生労働省の調査によると、高卒新卒者の3年以内離職率は37.0%に達しています(2020年3月卒)。つまり、3人採用しても1年後には1人以上が退職している計算です。
しかし、インターンシップを経由して採用した若手社員の3年離職率は16.5%と、一般的な離職率の半分以下に抑えられています。さらに、インターンシップ実施企業の採用成功率は、未実施企業の3倍に達するというデータもあります。
この記事では、なぜインターンシップが離職率を劇的に下げ、採用成功率を高めるのか、その理由と具体的な導入方法を解説します。
この記事で分かること
- インターンシップ経由採用の離職率が16.5%と低い理由
- 一般採用とインターンシップ経由採用の定着率の違い
- インターンシップが採用成功率を3倍にする5つのメカニズム
- 中小企業がインターンシップを導入する具体的なステップ
- 離職率削減に成功した企業の実例
読了時間: 約8分
目次
- 高卒採用の離職率の現実
- インターンシップ経由採用の離職率16.5%の衝撃
- なぜインターンシップで離職率が下がるのか?5つの理由
- 採用成功率が3倍になる仕組み
- インターンシップ導入の3ステップ
- 離職率削減に成功した企業事例
- まとめ
高卒採用の離職率の現実
高卒3年離職率37.0%の衝撃
厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況」によると、高卒新卒者の3年以内離職率は以下の通りです。
出典: 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)」
- 高卒3年離職率: 37.0%
- 大卒3年離職率: 32.3%
- 高卒1年以内離職率: 16.6%
つまり、高校生を3人採用しても、3年後には1人しか残っていないという計算になります。
離職による企業のコスト
1人の若手社員が離職すると、企業は以下のコストを失います。
- 採用コスト: 求人広告費、学校訪問、職場見学対応など(平均50万円)
- 教育コスト: OJT指導、研修費用など(平均100万円)
- 機会損失: 人手不足による生産性低下、技術継承の中断
合計で1人あたり150万円以上のコストが無駄になります。
なぜ高校生はすぐ辞めるのか?
高校生の早期離職の主な理由は以下の通りです。
- 入社前後のギャップ(仕事内容・職場環境の想像と現実の違い)
- 人間関係の問題(上司・先輩との関係構築の失敗)
- 成長実感の欠如(自分が成長しているという実感が持てない)
- 仕事の適性ミスマッチ(向いていないと感じる)
- キャリアパスが見えない(将来像が描けない)
これらの多くは、「入社前に企業のリアルを知る機会がなかった」ことが原因です。
インターンシップ経由採用の離職率16.5%の衝撃
一般採用との圧倒的な差
インターンシップを経由して採用した若手社員の離職率は、驚くべき数値を示しています。
| 採用方法 | 3年離職率 | 定着率 |
|---|---|---|
| 一般採用(ハローワーク・学校推薦のみ) | 37.0% | 63.0% |
| インターンシップ経由採用 | 16.5% | 83.5% |
| 差 | -20.5ポイント | +20.5ポイント |
インターンシップを実施することで、離職率を半分以下に抑えることができます。
これは、株式会社ゆめスタが運営するゆめアカで支援した企業における実績データです。東海3県40校とのネットワークを活かし、2025年度に14名の採用を成功させた企業群において、インターンシップ経由で採用した若手社員の3年離職率は16.5%と、一般的な37.0%を大幅に下回りました。
定着率83.5%が意味すること
定着率83.5%とは、10人採用すれば8人が3年後も働いているという計算です。
これは企業にとって以下のメリットをもたらします。
- 採用コストの削減: 離職による追加採用が不要
- 技術継承の成功: 若手がベテランの技術を確実に習得
- 組織の安定化: 人材が定着することでチームワークが向上
- 生産性の向上: 経験を積んだ社員が増えることで効率アップ
なぜインターンシップで離職率が下がるのか?5つの理由
理由1: 入社前に企業のリアルを体験できる
インターンシップでは、学生が実際の職場で数日間働くことで、以下を体験できます。
- 仕事内容の具体的なイメージ(どんな作業をするのか)
- 職場の雰囲気(社員同士のコミュニケーションスタイル)
- 働く環境(設備、清潔さ、安全性など)
- 先輩社員の様子(どんな人が働いているか)
これにより、「思っていたのと違った」という入社後のギャップが大幅に減少します。
例: 製造業A社では、インターンシップで実際の加工機械を操作してもらうことで、「自分にもできそう」という自信を持って入社する学生が増えました。
理由2: 企業と学生の相性を見極められる
インターンシップは、企業にとっても「この学生は自社に合うか」を見極める絶好の機会です。
- 仕事への適性(作業スピード、正確性、器用さなど)
- コミュニケーション能力(質問できるか、報告できるか)
- 成長意欲(学ぶ姿勢、前向きな態度)
- チームワーク(周囲と協力できるか)
逆に、学生側も「この会社で働きたい」と思えるかを判断できます。
この相互選択によって、ミスマッチが大幅に減少します。
理由3: 入社前に人間関係が構築される
インターンシップ期間中、学生は現場の先輩社員と一緒に働きます。
これにより、入社前に既に顔見知りの先輩がいる状態で入社できます。
- 入社初日から「久しぶり!」と声をかけてもらえる
- 分からないことを気軽に質問できる先輩がいる
- 孤立感を感じにくい
人間関係が早期離職の大きな原因の1つであることを考えると、この効果は非常に大きいです。
理由4: 仕事の成長イメージが持てる
インターンシップでは、先輩社員の成長ストーリーを直接聞くことができます。
- 「最初は何もできなかったけど、3年でここまでできるようになった」
- 「こういう資格を取って、こんな仕事を任されるようになった」
- 「今はこのポジションだけど、将来はこうなりたい」
こうした先輩の話を聞くことで、自分の3年後、5年後の姿をイメージできるようになります。
理由5: 企業への愛着と誇りが生まれる
インターンシップで良い体験をした学生は、入社前から「この会社で働きたい」という強い動機を持ちます。
- 「自分を受け入れてくれた会社」という感謝の気持ち
- 「良い先輩がいる会社」という安心感
- 「ここで成長できる」という期待感
この愛着心が、困難な場面でも「辞めずに頑張ろう」という原動力になります。
採用成功率が3倍になる仕組み
インターンシップ実施企業の採用成功率
インターンシップを実施している企業は、未実施企業と比べて採用成功率が約3倍高いというデータがあります。
| 企業タイプ | 採用成功率 |
|---|---|
| インターンシップ未実施企業 | 約20% |
| インターンシップ実施企業 | 約60% |
なぜここまで差が出るのでしょうか?
成功率3倍の3つの理由
1. 学校からの信頼が厚くなる
インターンシップを継続的に実施している企業は、進路指導の先生から高く評価されます。
- 「あの会社は学生を丁寧に受け入れてくれる」
- 「インターンシップでの評判が良い」
- 「卒業生が元気に働いている」
この信頼が、学校推薦の獲得につながります。
一者二社制の高卒採用では、学校推薦を得られるかどうかが採用成功の鍵です。
2. 学生の志望度が圧倒的に高い
インターンシップ参加者は、「この会社で働きたい」という明確な動機を持って応募します。
- 一般応募: 「とりあえず応募してみた」(志望度:低)
- インターンシップ経由: 「絶対にこの会社で働きたい」(志望度:高)
志望度の高い学生は、選考辞退率が低く、内定承諾率が高くなります。
3. 応募者数が増加する
インターンシップを実施すると、参加した学生が友人や後輩に「あの会社良かったよ」と口コミを広げます。
さらに、学校の先生も「インターンシップを実施している企業」として積極的に紹介してくれます。
結果として、応募者数そのものが増加します。
インターンシップ導入の3ステップ
ステップ1: 学校との連携体制を構築する
インターンシップを実施するには、まず高校との連携が必須です。
具体的な行動:
- 進路指導室への訪問: 学校の進路指導担当の先生に挨拶
- インターンシップ受け入れの意思表示: 「御校の生徒を受け入れたい」と伝える
- 過去の実績共有: すでに実施している場合は実績を報告
学校との信頼関係構築には通常3年以上かかりますが、東海3県40校とのネットワークを持つゆめアカを活用することで、スタート地点を大幅に短縮できます。
ステップ2: インターンシッププログラムを設計する
高校生向けインターンシップは、通常3〜5日間で設計します。
プログラム例(製造業の場合):
- 1日目: 会社紹介、工場見学、安全教育
- 2日目: 簡単な作業体験(部品の仕分け、検査など)
- 3日目: 実際の製造ラインでの作業(先輩と一緒に)
- 4日目: 技術者の仕事を見学、質疑応答
- 5日目: まとめ、振り返り、感想共有
重要ポイント:
- 安全第一(ケガをさせない)
- 成長実感を持たせる(「できた!」という体験)
- 社員との交流時間を設ける
ステップ3: 受け入れ体制を整える
インターンシップを成功させるには、社内の受け入れ体制が重要です。
準備すること:
- 担当社員の選定: 面倒見の良い先輩社員を指名
- 安全教育の実施: 危険な場所、使ってはいけない機械の説明
- 作業内容の準備: 高校生でもできる作業をリストアップ
- フィードバックの用意: 「ここが良かった」と伝える
ゆめアカでは、インターンシッププログラムの設計から当日の運営サポートまで、一貫して支援しています。
離職率削減に成功した企業事例
事例1: 鋳物製造A社(従業員45名)
課題: 高卒採用3年連続ゼロ、若手不足で技術継承が危機
施策: 工業高校とのインターンシップ開始(5日間プログラム)
結果:
- 1年目: インターンシップ参加者3名 → 2名採用
- 2年目: インターンシップ参加者5名 → 3名採用
- 3年目: インターンシップ参加者6名 → 4名採用
- 3年離職率: 0%(9名全員が定着)
成功要因: インターンシップで鋳物づくりの面白さを体験してもらい、「ものづくりの誇り」を共有できた
事例2: 自動車部品製造B社(従業員120名)
課題: 採用しても1年以内に50%が退職、採用コスト増大
施策: 3日間の短期インターンシップ導入、先輩社員との座談会実施
結果:
- インターンシップ参加者の応募率: 80%
- インターンシップ経由採用の1年離職率: 10%(従来50%から大幅改善)
- 採用数: 前年比75%増
成功要因: 先輩社員との座談会で「入社後のリアル」を率直に伝えたことで、入社前後のギャップが解消
事例3: 物流会社C社(従業員35名)
課題: 知名度が低く、応募者がゼロ
施策: 商業高校とのインターンシップ開始、物流の仕事の魅力を体験
結果:
- インターンシップ参加者8名 → 3名採用
- 3年離職率: 0%(3名全員が定着)
- 応募者数: 前年0名 → 今年8名
成功要因: 物流の仕事を「ただの荷物運び」ではなく、「社会を支えるインフラ」として伝えたことで、仕事への誇りを持って入社
まとめ
重要ポイント
- 高卒3年離職率は37.0%だが、インターンシップ経由採用では16.5%と半分以下
- インターンシップで離職率が下がる理由は「入社前に企業のリアルを体験できる」から
- インターンシップ実施企業の採用成功率は未実施企業の3倍
- 学校との連携、プログラム設計、受け入れ体制の3つが成功の鍵
- 実際に離職率0%を達成した企業も多数存在
次にすべきこと
- 現在の離職率を確認する: 過去3年間の新入社員の定着状況を振り返る
- 連携できる高校をリストアップ: 地域の工業高校・商業高校を調査
- 社内の受け入れ体制を整える: インターンシップを指導できる先輩社員を選定
- 専門家に相談する: インターンシップ導入の具体的なステップを相談
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