「高校生が何を基準に企業を選んでいるのか分からない」「求人を出しても応募が来ない理由が分からない」そんな悩みを抱えていませんか?
実際に、高校生が企業を選ぶ基準は、大学生とは大きく異なります。アンケート調査によると、高校生の就職先選びの決め手第1位は「給与」、続いて「仕事内容」「休日」「職場の雰囲気」と続きます。
しかし、給与だけを上げれば選ばれるわけではありません。高校生特有の「安心感」や「先輩社員の雰囲気」など、見えにくいポイントが採用成功のカギを握っています。
この記事では、高校生が企業を選ぶ5つの視点と、選ばれる企業になるための具体的な戦略を解説します。
この記事で分かること
- 高校生が企業選びで重視する5つの視点
- 大学生との企業選びの違い
- 職場見学で見られているポイント
- 高校生に選ばれる企業になるための具体的な施策
読了時間: 約9分
目次
- 高校生が企業を選ぶ5つの視点
- 視点1: 給与・待遇条件
- 視点2: 仕事内容と成長機会
- 視点3: 職場の雰囲気・人間関係
- 視点4: 勤務地・通勤時間
- 視点5: 休日・働き方
- 高校生と大学生の企業選びの違い
- 職場見学で見られているポイント
- 高校生に選ばれる企業になるには
- まとめ
高校生が企業を選ぶ5つの視点
高校生就活アンケートから見える実態
高卒採用を専門とする調査機関のアンケートによると、高校生が就職先を選ぶ際に重視する項目は以下の通りです。
高校生の就活応募の決め手(上位5項目):
- 給与 - 最も重視される項目
- 仕事内容 - やりたい仕事ができるか
- 休日 - 年間休日数、土日祝休み
- 職場の雰囲気 - 社風、人間関係
- 勤務地 - 通勤時間、実家から通えるか
出典: 株式会社ジンジブ「高校生就活アンケート」(2024年)
これらの視点は、大学生とは異なる高校生特有の価値観を反映しています。
高校生は「将来のキャリア」よりも「今の安心感」を重視する傾向があります。
視点1: 給与・待遇条件
なぜ給与が最重視されるのか
高校生にとって、給与は最も分かりやすく比較しやすい指標です。
18歳で初めて就職する高校生にとって、「月給20万円」「月給18万円」という具体的な数字は、企業の良し悪しを判断する最も明確な基準になります。
給与以外の待遇条件も重要
給与だけでなく、以下の待遇条件も重視されます。
- 賞与(ボーナス)の有無と回数
- 昇給制度の有無
- 各種手当(住宅手当、家族手当、資格手当など)
- 福利厚生(社員寮、食堂、制服貸与など)
企業が取るべき対策
対策1: 初任給を地域平均より高く設定
高卒初任給の全国平均は約18万円(2024年)です。地域の競合他社よりも1万円でも高く設定できれば、大きなアピールポイントになります。
対策2: 給与以外の待遇を具体的に示す
「賞与年2回(前年度実績4.5ヶ月分)」「3年目で月給22万円(昇給実績)」など、具体的な数字を示すと信頼性が高まります。
対策3: 資格手当で差別化
「危険物取扱者合格で月5,000円手当」「簿記2級取得で月3,000円手当」など、資格取得意欲の高い高校生に響く制度を設けましょう。
視点2: 仕事内容と成長機会
「やりたい仕事ができるか」が重要
高校生の60%以上が「社会に貢献する仕事がしたい」「人の役に立つ仕事がしたい」と考えています。
単に「稼げる仕事」ではなく、「やりがいのある仕事」を求めているのです。
成長実感が定着率を左右する
株式会社ゆめスタが支援した企業のデータによると、入社1年目で「成長を実感できた」と答えた高卒社員の3年定着率は85%に達しています。
一方、「成長を実感できない」と答えた社員の定着率は55%にとどまります。
企業が取るべき対策
対策1: 1日の仕事の流れを具体的に示す
「午前: 部品の検査・梱包作業」「午後: 先輩と一緒に製造ライン業務」など、入社1年目の具体的な業務内容を示しましょう。
対策2: 成長ステップを可視化
「1年目: 基本作業の習得」「2年目: 一人で作業完結」「3年目: 後輩指導」といったキャリアステップを明示します。
対策3: 先輩社員の成長事例を紹介
「入社3年目のAさん(23歳)は、現在リーダーとして5名のチームをまとめています」といった具体例を示すと効果的です。
視点3: 職場の雰囲気・人間関係
「社風」が決め手になる
ある調査では、「会社の雰囲気が良い」が就職先選びの最重要項目として挙げられました。
高校生は、先生や親からも「人間関係で悩まない職場を選びなさい」とアドバイスされています。
先輩社員の様子を観察している
職場見学で高校生が最も注目しているのは、「先輩社員が活き活きと働いているか」です。
応募を躊躇した理由として、「先輩社員が元気なさそうだった」「社内の雰囲気が暗かった」という声が多く聞かれます。
企業が取るべき対策
対策1: 職場見学で若手社員と話す機会を設ける
入社3年目までの若手社員と直接話せる時間を作りましょう。年齢が近い先輩の話は、高校生に最も響きます。
対策2: 社内の清潔さを保つ
意外なことに、高校生は「オフィスや工場の清潔さ」もチェックしています。整理整頓された職場は、それだけで好印象を与えます。
対策3: 社員同士の会話を見せる
職場見学では、社員同士が自然に会話している様子を見せましょう。「挨拶が飛び交う職場」「笑顔で働く社員」は、大きなアピールポイントです。
視点4: 勤務地・通勤時間
実家から通える距離が重要
高校生の多くは、実家から通える範囲で就職先を探します。
18歳で一人暮らしをする経済的余裕がない場合が多く、また親も「できれば実家から通ってほしい」と考えています。
通勤時間の許容範囲
一般的に、高校生が許容できる通勤時間は片道1時間以内です。
それ以上になると、応募を躊躇するケースが増えます。
企業が取るべき対策
対策1: 通勤手当を充実させる
「通勤手当全額支給」「駐車場無料」など、通勤にかかる費用を軽減する制度を設けましょう。
対策2: 社員寮を用意する
遠方からの応募を増やすには、社員寮(家賃補助含む)が効果的です。「月2万円で入寮可能」など、具体的な金額を示しましょう。
対策3: 最寄り駅からの送迎バス
交通の便が悪い立地の場合、最寄り駅からの送迎バスを運行すると大きなアピールポイントになります。
視点5: 休日・働き方
年間休日数は必ずチェックされる
高校生は、求人票の「年間休日数」を必ず確認します。
全国平均は年間110日前後ですが、120日以上あると大きなアピールポイントになります。
土日祝休みが理想
「土日祝休み」は、高校生にとって大きな魅力です。
友人と休日が合う、家族との時間が取れる、といった理由から、シフト制よりも土日祝休みが好まれます。
残業に対する不安
高校生は、「毎日遅くまで残業させられるのではないか」という不安を持っています。
「残業ほぼなし」「月平均残業時間5時間以内」など、具体的な数字で安心感を与えましょう。
企業が取るべき対策
対策1: 年間休日数を増やす
可能であれば、年間休日120日以上を目指しましょう。それが難しい場合も、「有給休暇取得率80%」など、実質的な休日の多さをアピールできます。
対策2: 休日の過ごし方を紹介
「先輩社員は休日に趣味のバイクツーリングを楽しんでいます」など、プライベートが充実している様子を伝えましょう。
対策3: 残業時間の実績を公開
「昨年度の平均残業時間: 月3.5時間」など、実績データを示すと信頼性が高まります。
高校生と大学生の企業選びの違い
大学生は「キャリア」、高校生は「安心感」
大学生が企業を選ぶ際に重視するのは「自己成長」「キャリアアップ」「やりがい」です。
一方、高校生が重視するのは「安心して働けるか」「人間関係は良好か」「給与は十分か」です。
情報収集の方法が異なる
大学生:
- 企業の公式サイト、就活サイトで情報収集
- OB・OG訪問を積極的に実施
- 複数社を比較検討
高校生:
- 学校の先生の推薦を重視
- 職場見学で実際に見て判断
- 1-2社に絞り込んで応募(一者二社制)
意思決定に親・先生の影響が大きい
高校生の就職先選びには、親と学校の先生の意見が大きく影響します。
「親が反対した」「先生が推薦しなかった」という理由で、応募を見送るケースも少なくありません。
職場見学で見られているポイント
職場見学は採用の最重要ステージ
高校生にとって、職場見学は「この会社に入りたいか」を判断する最も重要な機会です。
応募前に必ず職場見学を実施するため、ここでの印象が採用成否を左右します。
高校生がチェックしている5つのポイント
ポイント1: 先輩社員の表情
社員が笑顔で働いているか、活き活きとしているかを観察しています。
ポイント2: 社内の清潔さ
工場やオフィスが整理整頓されているか、トイレがきれいかをチェックしています。
ポイント3: 社員同士の会話
挨拶が交わされているか、和やかな雰囲気かを見ています。
ポイント4: 仕事の内容
実際にどんな作業をしているのか、自分にもできそうかを確認しています。
ポイント5: 説明の丁寧さ
質問に対して丁寧に答えてくれるか、親身になって対応してくれるかを見ています。
職場見学で失敗する企業の共通点
- 社長や人事担当者だけが対応し、現場の社員と話せない
- 工場やオフィスが乱雑で汚い
- 質問に対して曖昧な回答しかしない
- 見学時間が短すぎる(30分以内)
高校生に選ばれる企業になるには
戦略1: 給与・待遇を見直す
まずは地域の競合他社と比較し、給与・待遇を見直しましょう。
「初任給+5,000円」「賞与年3回」など、小さな差でも大きなアピールになります。
戦略2: 職場環境を整備する
清潔で整理整頓された職場は、それだけで高校生に好印象を与えます。
職場見学の前に、必ず5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾)を実施しましょう。
戦略3: 若手社員の成長事例を作る
入社3年以内の若手社員が活躍している事例を作りましょう。
「入社2年目でリーダーに昇格」「資格を5つ取得」など、成長事例は強力なアピールポイントです。
戦略4: インターンシップを実施する
職場見学だけでなく、1日型のインターンシップを実施すると効果的です。
実際に仕事を体験してもらうことで、「この会社で働きたい」という気持ちを高められます。
ゆめアカでは、東海3県40校とのネットワークを活かし、高校生インターンシップの設計から実施までを一貫してサポートしています。実際に、2025年度には3社で14名の高卒採用を成功させており、中には3年間ゼロだった企業が4名採用に成功した事例もあります。
戦略5: 学校・先生との信頼関係を構築する
高校生の就職先選びには、学校の先生の影響が大きいです。
定期的な学校訪問を通じて、先生との信頼関係を築きましょう。
まとめ
重要ポイント
- 高校生が企業を選ぶ決め手は「給与」「仕事内容」「休日」「職場の雰囲気」「勤務地」の5つ
- 大学生は「キャリア」、高校生は「安心感」を重視する
- 職場見学では先輩社員の表情、社内の清潔さ、社員同士の会話がチェックされる
- 親と先生の意見が就職先選びに大きく影響する
- インターンシップで「働くイメージ」を持ってもらうことが効果的
次にすべきこと
- 自社の給与・待遇を地域の競合他社と比較する
- 職場環境(清潔さ、整理整頓)を見直す
- 若手社員の成長事例を整理する
- 職場見学の受け入れ体制を整える
- インターンシップの実施を検討する
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