「工業高校と商業高校、どちらにアプローチすべきか分からない」「普通科の高校生も採用対象にすべきか迷っている」そんな悩みを抱えていませんか?
実際に、高卒採用では学科によって就職率、進路選択のタイミング、求める企業像が大きく異なります。工業高校の求人倍率は27.2倍、普通科全体では3.52倍と、学科別で競争環境が全く違うのです。
しかし、各学科の特徴と効果的なアプローチ方法を理解することで、自社に合った人材を効率的に採用できます。
この記事では、工業高校・商業高校・普通科それぞれの採用戦略とアプローチ方法を具体的に解説します。
この記事で分かること
- 工業高校・商業高校・普通科の基本的な違い
- 学科別の就職率と求人倍率の現実
- 各学科に合った採用戦略とアプローチ方法
- 学科を超えた採用成功のポイント
読了時間: 約8分
目次
- 工業高校・商業高校・普通科の基本的な違い
- 学科別の就職率と求人倍率
- 工業高校からの採用戦略
- 商業高校からの採用戦略
- 普通科からの採用戦略
- 学科別のアプローチ方法の違い
- 学科を超えた採用成功のポイント
- まとめ
工業高校・商業高校・普通科の基本的な違い
学科別の教育内容
各学科では、学ぶ内容と進路選択のタイミングが大きく異なります。
工業高校
- 機械、電気、電子、建築、化学などの専門技術を学ぶ
- 実習が授業の30-40%を占める
- 資格取得(危険物取扱者、電気工事士など)を積極的に推奨
- 1年生から業界研究を開始
商業高校
- 簿記、情報処理、マーケティング、経済を学ぶ
- パソコンスキル(Word、Excel、PowerPoint)が身につく
- 資格取得(簿記検定、情報処理検定など)に注力
- 2年生から具体的な進路選択を開始
普通科
- 大学進学を前提としたカリキュラム
- 専門的な職業教育は実施しない
- 就職試験対策は学校で行わない場合が多い
- 2年生終わり頃から進路を考え始める
進路選択のタイミング
ここが採用活動において最も重要なポイントです。
工業高校では、1年生の頃から業界研究が始まり、2年生になると具体的な企業の求人票を参考に進路を決め始める生徒もいます。
一方、普通科では2年生の終わり頃に三者面談で将来のことについて考える機会を設ける程度です。
つまり、3年生の7月(採用解禁)から高校にアプローチを始めたとしても、工業高校・商業高校の生徒はすでに興味のある企業を絞り込んでおり、他の企業の説明会に参加する可能性は低いのです。
学科別の就職率と求人倍率
驚くべき就職率の高さ
2024年のデータによると、学科別の就職内定率は以下の通りです。
- 工業科: 99.4%
- 商業科: 99.0%
- 普通科: 95.8%
出典: 文部科学省「高等学校卒業(予定)者の就職(内定)状況」(2024年)
工業高校・商業高校の就職率がほぼ100%に近いことが分かります。これは、専門教育と就職支援の充実度の差を示しています。
学科別の求人倍率
求人倍率を見ると、さらに顕著な差が現れます。
- 工業高校新卒: 27.2倍
- 高校新卒全体: 3.52倍
- 大学新卒: 1.71倍
出典: 厚生労働省「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」(2024年)
工業高校新卒の求人倍率27.2倍という数字は、1人の生徒に対して27社以上の企業が求人を出している計算です。
つまり、工業高校生の採用は極めて競争が激しいということです。
卒業生数と就職者数
工業科の卒業生は73,872人、そのうちの68%が就職を選択しています(2024年度)。残りの32%は進学を選んでいます。
一方、普通科は約60万人の卒業生のうち、就職を選ぶのは約16万人(約27%)です。
この数字から、工業高校生は「就職を前提に入学している生徒が多い」ことが分かります。
工業高校からの採用戦略
工業高校生の特徴
工業高校生は以下の特徴を持っています。
- 高校入試の時点で就職を目標にしている
- 専門技術・資格を持っている
- 実習経験があり、即戦力になりやすい
- 製造業・技術系への就職意欲が高い
工業高校からの採用が向いている企業
以下のような企業は、工業高校からの採用が効果的です。
- 製造業(機械、電気、金属加工など)
- 建設業
- 設備管理・保守
- 技術系職種がある企業
株式会社ゆめスタでは、東海3県の工業高校を含む40校とのネットワークを活かし、技術系企業の採用を支援しています。
工業高校からの採用戦略
戦略1: 早期から学校との関係構築
7月の採用解禁から動き始めても遅すぎます。1年以上前から進路指導の先生との関係を築く必要があります。
戦略2: 技術継承の重要性を訴求
ベテラン職人の引退が近い企業は、その点を正直に伝えましょう。「若手に技術を継承したい」という想いは、工業高校の先生にも響きます。
戦略3: 資格取得支援制度をアピール
工業高校生は資格取得に意欲的です。入社後の資格取得支援制度(費用補助、勉強時間確保)は大きな魅力になります。
戦略4: インターンシップの積極的な実施
工業高校生は、実際に現場を見て触れることで理解が深まります。1日型でも良いので、インターンシップ受け入れを検討しましょう。
商業高校からの採用戦略
商業高校生の特徴
商業高校生は以下の特徴を持っています。
- 簿記・パソコンスキルを持っている
- 事務職・販売職への適性が高い
- 資格取得に積極的
- 業種を問わず幅広い企業に就職できる
商業高校からの採用が向いている企業
以下のような企業は、商業高校からの採用が効果的です。
- 一般事務職を募集する企業
- 販売職(小売、卸売)
- 営業事務・営業サポート
- 経理・総務部門の補助
商業高校からの採用戦略
戦略1: キャリアパスの明確化
商業高校生は、「この会社で何ができるようになるか」を重視します。事務職から総務、経理、人事へのキャリアパスを示しましょう。
戦略2: 資格取得支援制度
簿記2級以上、MOS(Microsoft Office Specialist)など、入社後に取得できる資格を明示すると効果的です。
戦略3: 女子生徒の割合が高いことを理解
商業高校は女子生徒が多い傾向があります。産休・育休制度、女性社員の活躍事例を示すと安心感を与えられます。
普通科からの採用戦略
普通科生徒の特徴
普通科から就職を選ぶ生徒は以下の特徴を持っています。
- 専門スキル・資格は持っていない
- ポテンシャル採用が前提
- 業界・職種が決まっていない場合が多い
- 進路選択が遅い(3年生春から夏)
普通科からの採用が向いている企業
以下のような企業は、普通科からの採用が効果的です。
- 未経験でも育成できる職種
- 営業職
- 接客・サービス業
- 物流・倉庫管理
普通科からの採用戦略
戦略1: 仕事内容を丁寧に説明
普通科の生徒は、業界や職種の具体的なイメージを持っていません。「1日の仕事の流れ」「入社1年目の仕事内容」を具体的に示しましょう。
戦略2: 育成体制の充実をアピール
OJT制度、メンター制度、研修プログラムなど、未経験でも安心して成長できる環境を強調します。
戦略3: 応募のハードルを下げる
「専門知識不要」「未経験歓迎」を明記し、学歴や資格よりも「人柄」「やる気」を重視する姿勢を示します。
学科別のアプローチ方法の違い
工業高校へのアプローチ
タイミング: 2年生の秋〜冬から関係構築を開始
アプローチ方法:
- 学校訪問(進路指導室、工業科の主任教員)
- 工場見学・職場見学の受け入れ
- インターンシップ(夏休み・冬休み)の実施
- 課題研究への協力(企業が課題提供)
求人票のポイント:
- 必要な技術・資格を明記
- 技術継承の重要性を記載
- 資格取得支援制度を強調
商業高校へのアプローチ
タイミング: 2年生の冬〜3年生の春から関係構築
アプローチ方法:
- 学校訪問(進路指導室、商業科の主任教員)
- 職場見学の受け入れ
- インターンシップ(事務体験、接客体験)
- ビジネスマナー講座の提供
求人票のポイント:
- 簿記・パソコンスキルの活用場面を明記
- キャリアパスを具体的に記載
- 女性社員の活躍を示す
普通科へのアプローチ
タイミング: 3年生の春から関係構築
アプローチ方法:
- 学校訪問(進路指導室のみ)
- 職場見学の積極的な受け入れ
- 仕事内容を分かりやすく説明
- 保護者向けの説明会開催
求人票のポイント:
- 未経験歓迎を明記
- 1日の仕事の流れを詳細に記載
- 育成体制を具体的に説明
学科を超えた採用成功のポイント
ポイント1: 自社の職種に合った学科を選ぶ
「工業高校だから優秀」「普通科だから劣る」という考えは間違いです。
自社の職種・業務内容に合った学科を選ぶことが重要です。
例えば、事務職を募集するなら商業高校、技術職なら工業高校、営業職なら普通科も選択肢に入ります。
ポイント2: 複数の学科にアプローチする
工業高校だけに絞ると、求人倍率27.2倍の激戦区で戦うことになります。
商業高校や普通科も視野に入れることで、採用の幅が広がります。
ポイント3: インターンシップで学科の壁を超える
インターンシップ経由で採用すると、学科に関係なく「自社に合う人材」を見極められます。
実際に、ゆめアカでは2025年度に3社で14名の高卒採用を成功させており、中には工業高校だけでなく普通科からも採用した企業があります。
インターンシップ経由の採用では、3年離職率が16.5%と、一般的な40.8%と比べて大幅に低いことが分かっています。
ポイント4: 学校とのネットワークを活用する
学校との関係構築には通常3年以上かかります。
すでに東海3県40校とのネットワークを持つ専門家を活用することで、スタート地点を大幅に短縮できます。
まとめ
重要ポイント
- 工業高校の求人倍率は27.2倍、普通科全体では3.52倍と競争環境が異なる
- 工業高校生は1年生から業界研究を開始、普通科は2年生終わりから進路選択
- 工業高校は製造業・技術系、商業高校は事務・販売系、普通科はポテンシャル採用が基本
- 学科に合ったアプローチ方法とタイミングが採用成功のカギ
- 複数の学科にアプローチすることで採用の幅が広がる
次にすべきこと
- 自社の職種に合った学科を選ぶ
- 2年生の段階から学校との関係構築を開始する
- インターンシップ受け入れ体制を整える
- 学科別の求人票を作成する
- 既存のネットワークを持つ専門家に相談する
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