「学校訪問しても、先生が好意的に話を聞いてくれない」「何度訪問しても、生徒を紹介してもらえない」—そんな経験はありませんか?
高卒採用において、進路指導の先生との信頼関係は採用成功の絶対条件です。しかし、リクルート進学総研の調査によると、91.2%の高校教員が進路指導を「困難」と感じているという現実があります。多忙な中で生徒一人ひとりの将来を真剣に考える先生方は、企業に対して明確な期待と同時に、大きな不安も抱いています。
先生が企業を信頼するには何が必要なのか?どんな企業なら安心して生徒を送り出せるのか?
この記事では、進路指導の先生が企業に本当に求めていることと、学校から信頼される企業になるための5つの特徴を解説します。

この記事で分かること
- 進路指導の先生が抱える現実と課題
- 先生が企業選びで最も重視する5つのポイント
- 学校から信頼される企業の具体的な特徴
- 先生が「紹介したくない」と思う企業のNG行動
- 今日から実践できる信頼構築の具体的ステップ
読了時間: 約9分
目次
- 進路指導の先生が抱える現実と課題
- 先生が企業選びで最も重視する5つのポイント
- 学校から信頼される企業の5つの特徴
- 先生が「紹介したくない」と思う企業の特徴
- 今日から実践できる信頼構築の3ステップ
- まとめ
進路指導の先生が抱える現実と課題
91.2%が「困難」と感じる進路指導
リクルート進学総研の調査によると、高校教員の91.2%が進路指導を「困難」と感じていることが明らかになっています。
この驚くべき数字の背景には、先生方が直面する深刻な課題があります。
出典: リクルート進学総研「高校の先生も実は悩んでいる?!『進路指導が困難』91.2%」(2024年)
先生が直面する3つの壁
進路指導が困難な理由として、以下の3つが上位を占めています:
壁①:経済・家庭の事情(25.7%)
生徒の家庭環境や経済状況により、進路選択が制限されるケースが増えています。進学したいが経済的に難しい、家業を手伝わなければならない、親が就職を強く希望するなど、生徒の意思だけでは決められない現実があります。
壁②:生徒の進路決定能力の欠如(24.3%)
「自分が何をしたいか分からない」「将来のビジョンが描けない」という生徒が増加しています。先生は生徒の適性を見極めながら、自己理解を深めるサポートをする必要がありますが、時間も人手も限られています。
壁③:学習意欲の低下(22.2%)
学業に対するモチベーションが低く、将来について真剣に考えない生徒への対応も課題です。就職活動にも意欲的に取り組めず、企業とのミスマッチが生じやすくなります。
企業への期待と不安
こうした課題を抱える中で、先生方が企業に求めるのは以下の点です:
期待していること:
- 生徒が安心して働ける環境:労働条件が明確で、福利厚生が充実している
- 成長できる職場:人材育成に力を入れ、若手をしっかり育てる体制がある
- 定着できる企業:離職率が低く、長く働き続けられる
不安に思っていること:
- 求人票と実態のギャップ:記載内容と実際の労働環境が違う
- 早期離職のリスク:採用しても すぐに辞めてしまう
- 連絡が途絶える:採用後、企業から何の報告もない
先生は「この企業に送り出して本当に大丈夫か?」と常に不安を抱えながら、生徒の人生を左右する判断をしています。
先生が企業選びで最も重視する5つのポイント
進路指導の先生が企業を評価する際、特に重視する5つのポイントがあります。
ポイント①:労働条件の透明性
先生が最初に確認するのは、労働条件が明確に示されているかです。
重視される項目:
- 給与:初任給だけでなく、昇給制度や賞与の有無
- 労働時間:実労働時間、残業の実態、休憩時間
- 休暇制度:年間休日数、有給休暇の取得率
- 福利厚生:社会保険完備(最低条件)、住宅手当、資格取得支援など
- 勤務地:配置転換の可能性、通勤時間
曖昧な表現や「詳細は面接時に」といった記載は、先生から警戒されます。透明性が高く、具体的な数字で示されている企業が信頼されます。
ポイント②:離職率と定着実績
「採用した生徒がすぐ辞めないか?」—これは先生が最も気にする点です。
学校にとって、紹介した生徒が早期離職すると以下の問題が生じます:
- 学校の評判が傷つく
- 翌年以降、その企業への推薦が難しくなる
- 後輩への悪影響(「あの会社はすぐ辞めたくなる」という口コミ)
先生が知りたい情報:
- 3年定着率(高卒新卒の3年離職率は平均40%)
- 過去に採用した生徒の在籍状況
- 離職理由(やむを得ない事情か、職場環境の問題か)
定着率80%以上の企業は、学校から高く評価されます。
ポイント③:人材育成体制とキャリア開発支援
高校生は社会人経験がゼロです。そのため、**「未経験者を一人前に育てる仕組み」**があるかが重要視されます。
先生が評価する育成体制:
- OJT制度:先輩社員がマンツーマンで指導
- メンター制度:相談できる先輩が付く
- 研修プログラム:入社前研修、新入社員研修、フォローアップ研修
- 資格取得支援:業務に必要な資格の取得をサポート
- キャリアパス:5年後、10年後の成長イメージが描ける
株式会社ゆめスタでは、インターンシップを通じて高校生に仕事の基礎を学んでもらい、入社後もスムーズに成長できる環境づくりをサポートしています。
ポイント④:職場環境と会社の雰囲気
求人票だけでは分からない**「職場の雰囲気」**を、先生は非常に重視します。
先生が見ているポイント:
- 若手社員の表情:活き活きと働いているか
- 上司と部下の関係:風通しの良いコミュニケーションがあるか
- 職場の整理整頓:清潔で安全な環境か
- 残業の実態:定時で帰れる雰囲気があるか
職場見学やインターンシップで、先生や生徒が実際に職場を訪れる機会を設けることが、信頼構築の第一歩です。
ポイント⑤:具体的な仕事内容と成長イメージ
「どんな仕事をするのか」「どう成長できるのか」が具体的にイメージできることが重要です。
先生が求める情報:
- 1日の業務の流れ:朝から夕方まで何をするのか
- 最初の1年で任される仕事:研修後、どんな業務を担当するか
- 3年後、5年後の成長モデル:先輩社員の成長事例
- やりがい・達成感:この仕事の魅力は何か
抽象的な「製造業務全般」ではなく、「製品の組立→検査→梱包」のように具体的に示すことで、生徒も先生も安心します。
学校から信頼される企業の5つの特徴
では、実際に学校から「この企業なら安心して生徒を送り出せる」と信頼される企業には、どんな特徴があるのでしょうか。
特徴①:継続的な学校訪問と誠実なコミュニケーション
信頼される企業は、求人票を送るだけでなく、継続的に学校を訪問しています。
効果的な学校訪問の特徴:
- 年に最低2回訪問:求人票提出時(7月頃)と夏季(8-9月)
- 経営者も同行する:採用担当者だけでなく、社長や役員も訪問することで本気度が伝わる
- 採用実績の報告:前年度採用した生徒の成長を報告(「〇〇君は今、リーダーとして活躍しています」)
- 押し売りしない:あくまで関係構築が目的。無理に生徒を紹介してもらおうとしない
重要なのは継続性です。1回だけの訪問では信頼は築けません。毎年、顔を合わせて関係を深めることで、「この企業は本気で高卒採用に取り組んでいる」と認識されます。
特徴②:充実した職場見学と透明性の高い情報提供
信頼される企業は、職場見学を積極的に受け入れ、ありのままの職場を見せます。
充実した職場見学の条件:
- 半日以上の時間を確保(2-3時間が理想)
- 実際の作業現場を見せる:事務所だけでなく、工場や作業現場も案内
- 若手社員と話す時間を設ける:年齢が近い先輩の生の声が最も響く
- 質問時間を十分に取る:生徒や先生の疑問を丁寧に解消
- 保護者同伴を歓迎:保護者が安心することが内定承諾につながる
透明性の高い情報提供:
- 良い面だけでなく、大変な面も正直に伝える
- 離職率や残業時間など、聞きにくい情報も開示する
- 「実際に働いてみないと分からない」ではなく、できる限り事前に情報を提供する
特徴③:過去の採用実績と定着率の開示
信頼される企業は、採用実績と定着率を積極的に開示しています。
開示すべき情報:
- 過去3年間の採用人数:毎年安定的に採用しているか
- 3年定着率:何%が3年以上在籍しているか
- 在籍している卒業生の状況:どの学校の卒業生が何名働いているか
- 昇進・表彰の実績:若手社員の成長事例
例: 「〇〇工業高校からは過去3年で5名採用し、全員が在籍中です。うち1名は入社3年目で班長に昇格し、優秀社員賞を受賞しました。」
このような具体的な実績を示すことで、先生は「この企業なら安心」と確信します。
特徴④:卒業生の成長報告と母校訪問のサポート
信頼される企業は、卒業生の成長を定期的に学校に報告しています。
効果的な報告方法:
- 年に1回、成長報告書を提出:卒業生の業務内容、成長した点、表彰実績などを記載
- 卒業生が母校を訪問する機会を設定:後輩に仕事の魅力を直接伝える
- 学校の広報誌に寄稿:卒業生インタビュー記事を提供
- 文化祭や体育祭に卒業生が参加:母校とのつながりを維持
卒業生が活躍している姿を見ることで、先生は「あの企業に送り出して良かった」と確信し、翌年以降も積極的に推薦してくれます。
特徴⑤:学校の教育方針への理解と協力
信頼される企業は、学校の教育方針を理解し、協力的です。
具体的な協力例:
- インターンシップの積極的な受け入れ:学校のカリキュラムに合わせたプログラム設計
- 職業講話への講師派遣:生徒にキャリア教育の機会を提供
- デュアルシステムへの参加:工業高校との長期的な連携
- 学校行事への参加:文化祭での企業ブース出展など
学校にとって、企業は「生徒を採用する相手」だけでなく、**「キャリア教育のパートナー」**です。教育に協力的な企業は、学校から深い信頼を得られます。
先生が「紹介したくない」と思う企業の特徴
逆に、どんな企業が先生から敬遠されるのでしょうか。以下のような特徴を持つ企業は、推薦対象から外されます。
NG特徴①:求人票と実態が違う
先生が最も警戒するのは、求人票の内容と実際の労働環境が異なる企業です。
よくあるギャップ:
- 求人票では「残業なし」→実際は毎日2時間の残業
- 「土日休み」→実際は土曜出勤が常態化
- 「初任給20万円」→実際は各種手当込みで、基本給は低い
- 「未経験者歓迎」→実際は即戦力を期待され、研修なし
一度でもこのようなギャップが発覚すると、学校からの信頼は完全に失われ、翌年以降の推薦は得られなくなります。
NG特徴②:採用した生徒がすぐ辞める
3年以内に辞めた生徒が複数いる企業は、学校から警戒されます。
特に、以下のような離職は問題視されます:
- 入社3ヶ月以内の離職:職場環境や人間関係に問題があると判断される
- 複数名が同時期に離職:組織的な問題があると疑われる
- 「パワハラ」「長時間労働」が離職理由:生徒の心身に悪影響を与えたと見なされる
離職は完全にゼロにはできませんが、定着支援に力を入れ、離職率を下げる努力をしている企業は評価されます。
NG特徴③:学校への報告・連絡がない
採用後、一切の連絡がない企業は、学校から「無責任」と判断されます。
先生が不満に思う企業の行動:
- 採用した生徒の様子を一度も報告しない
- 生徒が辞めたことを学校に連絡しない
- 求人票だけ送って、その後音沙汰なし
- 学校訪問を約束したのに、来ない
学校は「送り出した生徒がどうしているか」を気にかけています。定期的な報告があるだけで、学校からの信頼は大きく高まります。
NG特徴④:過度な営業姿勢
「とにかく生徒を紹介してください」という押しの強い企業も敬遠されます。
先生が嫌がる営業行動:
- 何度も電話をかけてくる
- アポなしで突然訪問する
- 「何名紹介してもらえますか?」と詰め寄る
- 他社の悪口を言う
学校訪問の目的は「営業」ではなく、**「信頼関係の構築」**です。焦らず、長期的な視点で関係を深める姿勢が求められます。
今日から実践できる信頼構築の3ステップ
では、学校から信頼される企業になるために、今日から何をすべきでしょうか。具体的な3ステップをご紹介します。
ステップ1:現状を正直に棚卸しする(今週中)
まず、自社の採用・育成体制を正直に見直しましょう。
チェック項目:
- 求人票の内容は実態と一致しているか?
- 過去3年間の採用人数と定着率は?
- 離職した生徒の離職理由は何か?
- OJT・研修制度は整っているか?
- 若手社員は活き活きと働いているか?
- 過去に採用した学校への報告はしているか?
良い点を伸ばし、問題点を改善する。まずは現状を把握することから始めましょう。
ステップ2:学校訪問の計画を立て、実行する(1ヶ月以内)
現状把握ができたら、学校訪問の計画を立てます。
訪問準備:
-
ターゲット校をリストアップ(5-10校が目安)
- 通勤可能圏内の高校
- 学科が自社の職種に合致(工業高校の機械科など)
- 過去に採用実績がある、または学校の雰囲気が良い
-
アポイントを取る
- 進路指導室に電話し、訪問日時を調整
- 「御校の卒業生の採用を検討しており、ご挨拶に伺いたい」と伝える
-
訪問時の準備物
- 会社案内(視覚的に分かりやすい資料)
- 求人票(最新版)
- 名刺
- 手土産(必須ではないが、印象が良くなる)
-
訪問時の話題
- 会社の事業内容と特徴
- 求める人物像
- 職場見学・インターンシップの受け入れ体制
- 過去の採用実績(あれば)
- 「継続的に訪問させてください」と伝える
ステップ3:職場見学・インターンシップ受け入れ体制を整える(2ヶ月以内)
学校訪問と並行して、職場見学・インターンシップの受け入れ体制を整えます。
受け入れ体制の整備項目:
- 受け入れ人数の設定(1回あたり1-3名が目安)
- プログラム内容の設計(何を体験させるか)
- 担当者の決定(若手社員が理想)
- 安全対策と保険の確認(事故防止対策)
プログラム例(1日型):
- 9:00-9:30:会社説明、施設案内
- 9:30-11:00:作業現場見学、簡単な作業体験
- 11:00-12:00:若手社員との交流(ランチ)
- 13:00-14:00:経営者との対話
- 14:00-15:00:質疑応答、振り返り
プログラム例(5日型):
- 1日目:会社説明、工場見学、先輩社員との交流
- 2-4日目:実際の作業体験(簡単な業務から)
- 5日目:成果発表、振り返り、質疑応答
重要なポイント:
- 生徒が「この会社で働きたい」と思えるプログラムにする
- 失敗を恐れず、手を動かす体験を重視
- 若手社員との対話時間をたっぷり取る
ゆめアカの学校ネットワークを活用する
学校との関係構築には通常3年以上かかりますが、すでに学校ネットワークを持つゆめアカを活用することで、スタート地点を大幅に短縮できます。
ゆめアカの強み:
- 東海3県40校との強固なネットワーク:長年の信頼関係
- 2025年度14名の採用実績:3社で14名採用成功(うち1社は3年間ゼロから4名採用)
- 学校訪問の同行:学校への紹介と推薦依頼をサポート
- インターンシップ支援:設計から実施、フォローまで一貫サポート
高卒採用やインターンシップの導入でお悩みの企業様は、ぜひゆめアカにご相談ください。貴社の採用成功を全力でサポートします。
まとめ
重要ポイント
- 91.2%の先生が進路指導を「困難」と感じている:生徒の将来を真剣に考える先生は、企業に明確な期待と不安を抱いている
- 先生が重視する5つのポイント:労働条件の透明性、離職率と定着実績、人材育成体制、職場環境、具体的な仕事内容
- 信頼される企業の5つの特徴:継続的な学校訪問、充実した職場見学、採用実績の開示、卒業生の成長報告、学校の教育方針への協力
- 先生が敬遠する企業:求人票と実態が違う、生徒がすぐ辞める、報告・連絡がない、過度な営業姿勢
- 3ステップで信頼構築:現状の棚卸し、学校訪問の計画と実行、職場見学・インターンシップ受け入れ体制の整備
次にすべきこと
- 自社の採用・育成体制を正直に棚卸しする:求人票と実態の一致、定着率、研修制度を確認
- 学校訪問の計画を立て、実行する:ターゲット校をリストアップし、アポイントを取る
- 職場見学・インターンシップ受け入れ体制を整える:プログラム設計と担当者決定
- ゆめアカに相談する:東海3県40校のネットワークを活用し、採用成功を加速
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この記事は、株式会社ゆめスタが運営するゆめスタアカデミー(ゆめアカ)が提供しています。 高卒採用・インターンシップ支援の実績とノウハウをもとに、 中小企業の採用成功をサポートしています。




