高卒採用の基礎知識

高卒採用と大卒採用の決定的な違い|求められる企業対応とは

著者: 株式会社ゆめスタ
高卒採用と大卒採用の決定的な違い|求められる企業対応とは

「大卒と同じように採用活動をしているのに、高校生からの応募が全く来ない」「高卒採用のルールが分からず、学校から断られてしまった」そんな悩みを抱えていませんか?

実際に、多くの中小企業が大卒採用のやり方をそのまま高卒採用に適用してしまい、失敗しています。高卒採用と大卒採用では、採用活動のルールやスケジュール、企業に求められる対応が根本的に異なるのです。

しかし、高卒採用特有のルールと企業に求められる対応を理解することで、採用ゼロから脱却できます。

この記事では、高卒採用と大卒採用の7つの決定的な違いと、高卒採用で成功するために必要な企業対応について詳しく解説します。

この記事で分かること

  • 高卒採用と大卒採用の7つの決定的な違い
  • 一人一社制や学校斡旋など高卒採用特有のルール
  • 高卒採用で求められる企業対応と準備
  • 採用コストと内定承諾率の違い
  • 高卒採用を成功させるための具体的なアプローチ

読了時間: 約5分


目次

  1. 高卒採用と大卒採用の7つの決定的な違い
  2. 高卒採用で求められる企業対応
  3. 高卒採用を成功させるポイント
  4. まとめ

高卒採用と大卒採用の7つの決定的な違い

高卒採用と大卒採用では、採用活動の進め方が根本的に異なります。ここでは、企業が必ず理解すべき7つの違いを解説します。

違い1: スケジュールの自由度

大卒採用は、政府からの要請はあるものの、最終的には企業の裁量でスケジュールを決められます。採用広報の開始時期や選考時期を企業が自由に設定できます。

一方、高卒採用は法令により厳格にスケジュールが定められています。

  • 7月1日: 求人票公開
  • 9月5日: 応募書類提出開始
  • 9月16日: 選考開始

このスケジュールは全国一律で、企業が独自に変更することはできません。早期選考や内々定といった概念は存在しないのです。

厚生労働省の通知により、高卒採用の選考開始日は厳密に定められており、これを守らない企業は学校からの信頼を失います。

違い2: 一人一社制

大卒採用では、学生が同時に複数の企業にエントリーし、複数社の選考を並行して受けることが当たり前です。学生1人あたりのエントリー数は平均20〜40社と言われています。

高卒採用では、多くの都道府県で「一人一社制」というルールが適用されています。これは、選考開始から一定期間、生徒が1社しか応募できないという制度です。

一人一社制の目的は、高校生が就職活動に過度な時間を取られず、学業に専念できるようにすることです。また、企業間の過度な競争を防ぎ、公平な採用機会を確保する狙いもあります。

企業にとっての意味: 応募してきた生徒は他社を受けていないため、内定を出せばほぼ確実に入社してもらえます。内定辞退はほとんど発生しません。

違い3: 採用方法(学校斡旋 vs 企業主導)

大卒採用では、企業が求人媒体やナビサイトを使って直接学生にアプローチします。企業説明会やインターンシップで学生と直接接点を持ち、採用活動を進めます。

高卒採用では、「学校斡旋」という仕組みが主流です。企業はハローワークに求人票を提出し、高校の進路指導の先生を通じて生徒に求人情報が届きます。

つまり、高校の先生が企業と生徒の間に立つゲートキーパーの役割を果たすのです。

企業が高校生を採用したい場合、まず学校との信頼関係を構築する必要があります。学校訪問を重ね、進路指導の先生に「この会社なら生徒を安心して送り出せる」と思ってもらうことが採用成功の鍵です。

株式会社ゆめスタが運営するゆめアカでは、東海3県40校とのネットワークを活かし、企業と学校をつなぐ支援を行っています。

違い4: 応募者との直接連絡

大卒採用では、企業が学生に直接メールや電話で連絡を取り、面接日程の調整や選考結果の通知を行います。

高卒採用では、生徒への直接連絡が禁止されています。面接日時の案内、選考結果の通知など、全ての連絡は書面で学校を通して行います。

企業が生徒に直接連絡することは、高卒採用のルール違反です。学校からの信頼を失い、次年度以降の推薦を受けられなくなる可能性があります。

違い5: 面接回数

大卒採用では、複数回の面接を実施するのが一般的です。1次面接、2次面接、最終面接と段階を踏み、適性を見極めます。

高卒採用では、原則として面接は1回のみとされています。生徒の学業への負担を考慮し、選考回数を最小限にする配慮が求められます。

1回の面接で採用可否を判断しなければならないため、企業は事前の準備と面接の質を高める必要があります。応募前職場見学を積極的に実施し、生徒と企業の相互理解を深めることが重要です。

違い6: 内定承諾率

大卒採用では、内定を出しても学生が辞退するケースが多く、内定承諾率は30〜40%と言われています。複数社から内定をもらい、その中から選ぶのが一般的です。

高卒採用では、一人一社制により、内定を出せばほぼ100%の確率で入社してもらえます。内定辞退はほとんど発生しません。

これは企業にとって大きなメリットです。採用計画が立てやすく、無駄な選考コストが発生しません。

違い7: 採用コスト

大卒採用では、求人広告費、説明会の開催費、選考コストなどを含め、1人あたり約70万円の採用コストがかかると言われています。

高卒採用では、ハローワークでの求人票掲載は無料で、採用コストは1人あたり10〜40万円程度に抑えられます。

求人媒体費がかからず、選考回数も少ないため、採用コストを大幅に削減できるのです。

ただし、学校との関係構築には時間がかかります。学校訪問や応募前職場見学の対応など、長期的な視点での投資が必要です。


高卒採用で求められる企業対応

高卒採用を成功させるには、大卒採用とは異なる企業対応が求められます。

1. 学校との信頼関係構築

高卒採用の成否を決めるのは、学校との信頼関係です。進路指導の先生が「この会社なら生徒を安心して送り出せる」と思わなければ、推薦をもらえません。

具体的な対応:

  • 定期的な学校訪問(年2〜3回)
  • 会社案内資料の提供
  • 過去の採用実績や定着率のデータ開示
  • 卒業生の活躍状況の報告

学校との信頼関係構築には通常3年以上かかります。しかし、すでに東海3県40校とのネットワークを持つゆめアカを活用することで、スタート地点を大幅に短縮できます。

2. ハローワーク指定フォーマットの求人票作成

高卒採用では、ハローワーク指定のフォーマットで求人票を作成する必要があります。自由な求人広告とは異なり、記載項目や表現が制限されます。

求人票作成のポイント:

  • 職務内容を具体的に記載
  • 勤務時間、休日、給与を明確に記載
  • 福利厚生や研修制度を詳しく記載
  • 高校生にも分かりやすい言葉で表現

求人票の内容が不明確だと、学校からの推薦を受けられません。

3. 応募前職場見学の実施

高卒採用では、応募前に生徒が企業を訪問する「応募前職場見学」が一般的です。生徒は職場見学を通じて、応募先を決定します。

職場見学で重要なこと:

  • 職場の雰囲気を正直に伝える
  • 若手社員との交流機会を設ける
  • 実際の業務を見せる
  • 生徒の質問に丁寧に答える

職場見学の対応が採用成否を左右します。丁寧な対応が生徒の応募意欲を高めます。

4. 1回の面接で見極める力

面接が1回しかないため、限られた時間で生徒の適性を見極める必要があります。

面接で確認すべきこと:

  • 基本的なコミュニケーション能力
  • 仕事への意欲と姿勢
  • 企業とのマッチング
  • 長く働く意思

職場見学で事前に接点を持っているため、面接では確認事項に絞って質問することが重要です。


高卒採用を成功させるポイント

高卒採用を成功させるには、以下の3つのポイントが重要です。

ポイント1: 大卒採用とは別の採用戦略を立てる

高卒採用と大卒採用は根本的に異なります。大卒採用のノウハウをそのまま適用しても成功しません。

高卒採用専用の採用計画、スケジュール、選考基準を設計しましょう。

ポイント2: 学校との長期的な関係を重視する

1年で結果を求めず、3〜5年の長期視点で学校との関係を築きます。毎年コツコツと学校訪問を重ね、信頼を積み上げることが重要です。

ゆめアカでは、2025年度に3社で14名の高卒採用を成功させており、中には3年間ゼロだった企業が4名採用に成功した事例もあります。

ポイント3: インターンシップを活用する

高校生向けインターンシップを実施することで、学校との接点が生まれ、生徒に企業を知ってもらう機会が増えます。

インターンシップ経由で採用した若手社員の3年離職率は16.5%と、一般的な40.8%と比べて大幅に低いことが分かっています。ゆめアカでは、学校と連携したインターンシップの設計から実施まで一貫してサポートします。


まとめ

重要ポイント

  • 高卒採用と大卒採用では、スケジュール、ルール、採用方法が根本的に異なる
  • 一人一社制により、内定承諾率はほぼ100%、採用計画が立てやすい
  • 学校斡旋が主流で、学校との信頼関係構築が採用成功の鍵
  • 採用コストは大卒の半額以下に抑えられる
  • 応募前職場見学と1回の面接で見極める力が必要

次にすべきこと

  1. 高卒採用専用の採用計画を立てる
  2. 地域の工業高校・商業高校をリストアップし、学校訪問を計画する
  3. ハローワークで高卒採用の求人票を作成する
  4. 応募前職場見学の受け入れ体制を整える
  5. インターンシップの導入を検討する

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よくある質問

この記事に関連するよくある質問

最も大きな違いは「学校斡旋」という仕組みです。大卒採用では企業が求人媒体を使って直接学生にアプローチしますが、高卒採用では高校の進路指導の先生を通じて生徒に求人情報が届きます。先生がゲートキーパーの役割を果たすため、企業はまず学校との信頼関係を構築する必要があります。また、高卒採用は7月1日の求人票公開、9月16日の選考開始など、スケジュールが法令により厳格に定められている点も大きな違いです。

一人一社制とは、選考開始から一定期間、高校生が1社しか応募できないというルールです。多くの都道府県で適用されており、高校生が就職活動に過度な時間を取られず学業に専念できるようにすること、企業間の過度な競争を防ぎ公平な採用機会を確保することが目的です。企業にとっては、応募してきた生徒は他社を受けていないため、内定を出せばほぼ確実に入社してもらえるというメリットがあります。

高卒採用の内定辞退はほとんど発生せず、内定承諾率はほぼ100%です。これは一人一社制により、生徒が1社しか応募できないためです。一方、大卒採用では内定を出しても学生が辞退するケースが多く、内定承諾率は30〜40%と言われています。高卒採用では採用計画が立てやすく、無駄な選考コストが発生しないという大きなメリットがあります。

高卒採用では原則として面接は1回のみです。生徒の学業への負担を考慮し、選考回数を最小限にする配慮が求められます。大卒採用では1次面接、2次面接、最終面接と段階を踏むのが一般的ですが、高卒採用では1回の面接で採用可否を判断しなければなりません。そのため、応募前職場見学を積極的に実施し、生徒と企業の相互理解を深めることが重要です。

高卒採用のコストは大卒採用よりも大幅に低く抑えられます。大卒採用では求人広告費、説明会の開催費、選考コストなどを含め1人あたり約70万円かかりますが、高卒採用ではハローワークでの求人票掲載が無料で、1人あたり10〜40万円程度です。求人媒体費がかからず選考回数も少ないため、採用コストを大幅に削減できます。ただし、学校との関係構築には時間がかかるため、長期的な視点での投資が必要です。

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