高卒採用の基礎知識

ハローワーク求人だけでは採用できない|高卒採用の3つの落とし穴

著者: 株式会社ゆめスタ
ハローワーク求人だけでは採用できない|高卒採用の3つの落とし穴

「ハローワークに求人票を出したのに、高校生からの応募が全く来ない」「求人票さえ出せば採用できると思っていたのに…」そんな悩みを抱えていませんか?

実は、ハローワークに求人票を出すだけでは、高卒採用は成功しません。多くの中小企業経営者が「ハローワーク求人だけで採用できる」と誤解していることが、採用ゼロの原因となっています。

高卒採用には、ハローワークの求人票提出だけでは乗り越えられない3つの大きな落とし穴があります。

この記事では、ハローワーク求人に頼るだけでは高校生を採用できない理由と、実際に採用を成功させるために必要な具体的な行動を解説します。

この記事で分かること

  • ハローワーク求人だけでは採用できない3つの理由
  • 求人票と学校訪問の決定的な違い
  • 高校生が実際に企業を知る仕組み
  • 採用成功に必要な5つのステップ
  • ハローワーク手続きの実務ポイント

読了時間: 約5分


目次

  1. ハローワーク求人の実態と誤解
  2. 落とし穴1: 求人票を出しても学校に届かない
  3. 落とし穴2: 求人票だけでは企業の魅力が伝わらない
  4. 落とし穴3: 事務手続きに時間がかかり初動が遅れる
  5. 採用成功に必要な5つのステップ
  6. まとめ

ハローワーク求人の実態と誤解

ハローワークは「必須」だが「十分」ではない

高卒採用において、ハローワークへの求人票提出は法的に必須です。企業が独自に高校や生徒に直接アプローチすることは認められていません。

しかし、「ハローワークに求人票を出せば採用できる」という考えは大きな誤解です。

実際には、ハローワークは求人票の受付と管理を行う事務手続きの窓口であり、企業と高校生をつなぐマッチング機能は限定的です。

高卒採用の求人倍率3.70倍の現実

2025年3月卒の高卒求人倍率は3.70倍です。求職者1人に対して3.70社が競合する激戦市場で、求人票を出すだけで採用できる時代は完全に終わっています。

求人票は「採用活動のスタートライン」に過ぎず、そこから先の学校との関係構築こそが採用成功の鍵となります。

多くの経営者が陥る誤解

中小企業の経営者から、こんな声をよく聞きます:

  • 「ハローワークに求人を出せば、高校に情報が行くんでしょ?」
  • 「毎年求人票を出してるけど、応募が来ないのはなぜ?」
  • 「大卒採用と同じように、待っていればいいと思っていた」

これらはすべて、高卒採用の仕組みを正しく理解していないことから生まれる誤解です。


落とし穴1: 求人票を出しても学校に届かない

求人票は自動的に学校に届かない

ハローワークに求人票を提出しても、それが自動的に高校の進路指導室に届くわけではありません。

実際の流れ:

  1. 企業がハローワークに求人票を提出
  2. ハローワークが求人票を受理・公開
  3. 企業自身が求人票を持って学校を訪問する
  4. 進路指導の先生が求人票を受け取る
  5. 先生が生徒に求人情報を紹介する

この流れの中で、ステップ3の「学校訪問」を行わなければ、求人情報は高校生に届きません。

学校は膨大な求人票の中から選別している

高校の進路指導室には、毎年数百枚から数千枚の求人票が届きます。

愛知県内の工業高校では、1校あたり平均800社以上の求人票が届いているという調査結果もあります。この膨大な求人票の中から、先生は生徒に紹介する企業を選別しています。

先生が優先的に紹介する企業:

  • 直接訪問して顔を合わせている企業
  • 毎年継続的に訪問している企業
  • インターンシップで生徒を受け入れている企業
  • 卒業生が活躍している企業

単にハローワーク経由で求人票が届いただけの企業は、この選別の中で埋もれてしまうのが現実です。

データが示す学校訪問の重要性

株式会社ゆめスタが運営するゆめアカで支援した企業のデータでは、学校訪問を行った企業の採用成功率は、行わなかった企業の約5倍という結果が出ています。

2025年度に14名の採用実績を達成した企業のすべてが、定期的な学校訪問とインターンシップの実施を行っていました。


落とし穴2: 求人票だけでは企業の魅力が伝わらない

求人票の限界

ハローワークの求人票は、定められたフォーマットに沿って記入する書類です。記入できる情報には制約があり、企業の本当の魅力を伝えることは困難です。

求人票に書けること:

  • 職種、仕事内容(簡潔に)
  • 給与、勤務時間、休日
  • 福利厚生
  • 会社の基本情報

求人票では伝わらないこと:

  • 職場の雰囲気
  • 先輩社員の人柄
  • 成長できる環境
  • 技術継承の仕組み
  • 経営者の想い
  • 実際の仕事のやりがい

高校生が知りたい「本当の情報」

高校生が企業を選ぶ際に重視するのは、給与や休日だけではありません。

高校生が知りたいこと:

  1. どんな先輩がいるのか
  2. 自分が成長できる環境か
  3. 優しく教えてもらえるか
  4. 長く働けそうか
  5. 会社の雰囲気は良いか

これらの情報は、求人票だけでは絶対に伝わりません。学校訪問、職場見学、インターンシップを通じて、実際に触れてもらうことで初めて伝わります。

競合他社との差別化ができない

求人倍率3.70倍の市場では、同じような求人票が数百枚並ぶ中で、自社を選んでもらう必要があります。

求人票のフォーマットは全社共通のため、給与や休日などの条件面でしか差別化できません。しかし、中小企業が大手企業と条件面で勝負するのは非常に困難です。

中小企業が差別化すべきポイントは、「人の温かさ」「成長できる環境」「技術継承の丁寧さ」といった、数字では表せない部分です。そして、それを伝える手段が学校訪問とインターンシップなのです。


落とし穴3: 事務手続きに時間がかかり初動が遅れる

厳格なスケジュール制約

高卒採用には、厳格なスケジュールが設定されています。

2025年3月卒のスケジュール:

  • 4-5月: ハローワーク説明会(必須出席)
  • 6月1日: 求人票提出開始
  • 7月1日: 求人票公開、学校訪問開始
  • 9月16日: 応募・選考開始

ハローワークの説明会を欠席すると、その後の手続きが大幅に遅れる可能性があります。特に5月の説明会を欠席した場合、求人票の提出が遅れ、7月の学校訪問シーズンに間に合わないケースもあります。

継続的な事務負担

ハローワークを通じた高卒採用には、継続的な事務負担が発生します。

主な事務作業:

  • 求人票の作成(職種ごとに複数枚)
  • 月次の採用状況報告(9月以降、FAX提出)
  • 求人票の更新・修正対応
  • ハローワークへの各種届出

初めて高卒採用に取り組む企業では、求人票の記入に数時間から1日かかることも珍しくありません。記入内容に不備があると、ハローワークで受理されず、再提出が必要になります。

6月提出では遅すぎる現実

ハローワークへの求人票提出は6月1日から可能ですが、この時点で初めて動き出しても、すでに遅いのが実情です。

採用成功企業のスケジュール:

  • 1-3月: 前年度の採用活動の振り返り、次年度計画の策定
  • 4-5月: ハローワーク説明会出席、求人票準備、学校へのアポイント取り
  • 6月: 求人票提出、インターンシップ受け入れ準備
  • 7月: 学校訪問開始、インターンシップ実施
  • 8-9月: フォローアップ、選考準備

採用成功企業は、ハローワークの手続きと並行して、学校との関係構築を前年度から進めています。


採用成功に必要な5つのステップ

ステップ1: ハローワーク手続きは「前提条件」と理解する

まず、ハローワークへの求人票提出は「採用活動の一部」ではなく「法的に必須の前提条件」と理解しましょう。

やるべきこと:

  • 4-5月のハローワーク説明会に必ず出席
  • 6月1日に求人票を提出できるよう、5月中に準備完了
  • 求人票の記入内容は進路指導の先生の視点でチェック

求人票の書き方に迷ったら、ハローワークの担当者や高卒採用支援サービスに相談することをお勧めします。

ステップ2: 学校訪問を採用活動の中心に据える

学校訪問こそが、高卒採用の成否を決める最重要活動です。

学校訪問の目的:

  1. 進路指導の先生に会社と自分を知ってもらう
  2. 求人票を直接手渡しで届ける
  3. 自社の魅力を口頭で伝える
  4. 過去の卒業生の様子を報告する
  5. インターンシップ受け入れの意向を伝える

訪問のタイミング:

  • 7月: 求人票持参での訪問
  • 11月-2月: 次年度に向けた関係構築訪問
  • 翌年4-6月: インターンシップ打診訪問

年3回程度の定期訪問を、最低3年間継続することで、先生との信頼関係が構築されます。

ステップ3: インターンシップを必ず実施する

インターンシップは、高校生に自社を深く知ってもらう最高の機会です。

インターンシップの効果:

  • 職場の雰囲気を実際に体験してもらえる
  • 先輩社員と交流できる
  • 仕事のやりがいを感じてもらえる
  • 学校からの信頼が大きく向上する
  • 離職率が大幅に低下する(一般40.8% → インターン経由16.5%)

東海3県40校とのネットワークを持つゆめアカでは、インターンシップの設計から実施サポートまで、一貫して支援しています。

ステップ4: 「顔が見える関係」を作る

高卒採用で成功している企業に共通するのは、進路指導の先生との「顔が見える関係」を作っていることです。

信頼関係を築くポイント:

  • 訪問時は必ず同じ担当者が行く
  • 過去の卒業生の近況を定期的に報告する
  • インターンシップ後に感想と感謝を伝える
  • 学校のイベント(企業説明会など)に積極的に参加する
  • 採用できなかった年も訪問を継続する

この継続的な関係構築により、「この会社なら安心して生徒を紹介できる」という信頼が生まれます。

ステップ5: 専門家の支援を活用する

高卒採用の仕組みは複雑で、初めて取り組む企業が単独で成功するのは極めて困難です。

支援サービスを活用するメリット:

  • 既存の学校ネットワークにアクセスできる
  • 求人票の書き方をサポートしてもらえる
  • 学校訪問に同行してもらえる
  • インターンシップの設計を支援してもらえる
  • ハローワーク手続きのアドバイスを受けられる

ゆめアカでは、2025年度に3社で14名の採用実績を達成しており、その中には3年間採用ゼロだった企業が4名採用に成功した事例もあります。東海3県40校とのネットワークを活かし、学校訪問からインターンシップ実施まで、採用のすべての段階でサポートしています。


まとめ

重要ポイント

  • ハローワーク求人票は必須だが、それだけでは採用できない
  • 求人票を出しても、学校訪問をしなければ高校生に情報は届かない
  • 求人票だけでは企業の魅力を伝えられない
  • 事務手続きに時間がかかり、初動が遅れやすい
  • 学校訪問とインターンシップが採用成功の鍵

次にすべきこと

  1. ハローワーク説明会の日程を確認する: 4-5月の説明会を絶対に逃さない
  2. 訪問する高校をリストアップする: 地域の工業高校、商業高校を調査
  3. 学校訪問の準備を始める: 会社紹介資料、求人票、名刺を用意
  4. インターンシップ受け入れを検討する: 1日型でも効果あり
  5. 専門家に相談する: 自社だけで悩まず、実績ある支援サービスを活用

ゆめアカへのご相談はこちら

「ハローワークに求人票を出せば採用できる」という誤解を解くことが、採用成功への第一歩です。求人票はあくまでスタートラインであり、そこから先の学校との関係構築こそが本当の採用活動です。

ゆめアカでは、ハローワーク手続きのサポートから、学校訪問、インターンシップ実施まで、採用成功に必要なすべてのステップを支援します。東海3県40校との既存ネットワークを活用することで、通常3年かかる学校との関係構築期間を大幅に短縮できます。

「今年こそ高校生を採用したい」とお考えの経営者の方は、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事は、株式会社ゆめスタが運営するゆめスタアカデミー(ゆめアカ)が提供しています。 高卒採用・インターンシップ支援の実績とノウハウをもとに、 中小企業の採用成功をサポートしています。

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よくある質問

この記事に関連するよくある質問

いいえ、ハローワークに求人票を出すだけでは高校生を採用できません。ハローワークは求人票の受付と管理を行う事務手続きの窓口であり、求人票を出しても自動的に高校に届くわけではありません。企業自身が求人票を持って学校を訪問し、進路指導の先生に直接手渡す必要があります。求人票の提出は「採用活動のスタートライン」に過ぎません。

はい、学校訪問は高卒採用を成功させるために必須です。高校の進路指導室には毎年数百枚から数千枚の求人票が届き、先生は直接訪問して顔を合わせている企業、毎年継続的に訪問している企業、インターンシップで生徒を受け入れている企業を優先的に紹介します。学校訪問を行った企業の採用成功率は、行わなかった企業の約5倍というデータもあります。

ハローワークへの求人票提出は6月1日から可能です。ただし、6月提出では遅すぎるのが実情です。採用成功企業は4-5月にハローワーク説明会に出席し、5月中に求人票を準備完了させ、6月1日に提出できる状態にしています。また、学校訪問の開始は7月1日からですが、前年度から学校との関係構築を進めることが重要です。

いいえ、求人票だけでは企業の魅力は十分に伝わりません。ハローワークの求人票は定められたフォーマットに沿って記入する書類で、職場の雰囲気、先輩社員の人柄、成長できる環境、技術継承の仕組み、経営者の想い、実際の仕事のやりがいといった重要な情報は伝えられません。これらは学校訪問、職場見学、インターンシップを通じて、実際に触れてもらうことで初めて伝わります。

学校訪問は年3回程度、以下のタイミングで実施するのが効果的です。1回目は7月に求人票持参での訪問、2回目は11月-2月に次年度に向けた関係構築訪問、3回目は翌年4-6月にインターンシップ打診訪問です。この定期訪問を最低3年間継続することで、先生との信頼関係が構築されます。1年で結果を求めず、長期的な視点で取り組むことが重要です。

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