学校連携・一者二社制

一人二社制を味方にする|学校推薦を勝ち取る企業の条件

著者: 株式会社ゆめスタ
一人二社制を味方にする|学校推薦を勝ち取る企業の条件

「学校推薦がもらえない」「学校訪問しても生徒を紹介してもらえない」—そんな悩みを抱えていませんか?

高卒採用において、学校からの推薦は採用成功の生命線です。しかし、2025年3月卒業生から複数の府県で「一人二社制」が導入され、高卒採用のルールが大きく変わりつつあります。

実際に、2025年は秋田、茨城、大阪、和歌山、沖縄の5府県が9月から一人二社制を導入し、企業には新たな対応が求められています。この変化を理解し、学校から推薦をもらい続ける企業になることが、今後の採用成功の鍵です。

この記事では、一人二社制の最新動向と、学校推薦を勝ち取るために企業が取るべき具体的な対策を解説します。

一人二社制を味方にする

この記事で分かること

  • 一人二社制の仕組みと2025年の最新状況
  • 学校推薦が採用成功に不可欠な理由
  • 学校から信頼される企業の5つの条件
  • 一人二社制時代に企業が取るべき具体的な対策

読了時間: 約8分


目次

  1. 一人二社制とは?高卒採用の新ルールを理解する
  2. 学校推薦の仕組みと重要性
  3. 学校から信頼される企業の5つの条件
  4. 一人二社制時代に企業が取るべき対策
  5. 学校推薦を勝ち取るための具体的アクション
  6. まとめ

一人二社制とは?高卒採用の新ルールを理解する

一人一社制から一人二社制への移行

高卒採用には、大卒採用にはない独自のルール「一人一社制」があります。

一人一社制とは:応募解禁日から一定期間、一人の高校生が応募できる企業を一社に限定する制度です。

この制度は「高校生を守る」という考え方に基づいており、過度な就職活動や企業間競争により、学業に支障が出ないようにという配慮から設けられています。

しかし近年、この制度には以下のような課題が指摘されてきました:

  • 採用ミスマッチが起こりやすい:企業も生徒もお互いへの理解を深められないまま内定・入社してしまう
  • 高卒3年離職率40%の一因:ミスマッチによる早期離職が多発
  • 生徒の選択肢が限定される:一社しか受けられないため、自分に合った企業を見つけにくい

こうした背景から、一部の都道府県では「一人二社制」への移行が進んでいます。

2025年の最新状況:5府県が9月から導入

2025年3月卒業生に関して、以下の5府県が9月の選考開始日から一人二社制を導入しています:

  1. 秋田県
  2. 茨城県
  3. 大阪府
  4. 和歌山県
  5. 沖縄県

他の多くの都道府県では、10月または11月から一人二社制に移行する形をとっています。

一人二社制の特徴

  • 高校生が同時に2社まで応募・推薦を受けられる
  • 選考期間が長期化する可能性
  • 内定辞退のリスクが増加

出典: 高卒採用Lab「高卒採用の『一人一社制』ってどんなルールなの?」(2024年)

企業への影響

一人二社制の導入により、企業には以下の影響があります:

メリット

  • より多くの生徒と接触できる:応募者数が増える可能性
  • 生徒の納得感が高まる:複数社を比較検討できるため、入社後のミスマッチが減少

デメリット

  • 内定辞退のリスク増加:生徒が2社から内定を得た場合、どちらかを辞退する
  • 選考期間の長期化:生徒の判断に時間がかかる
  • 競合他社との比較が激化:企業の魅力を明確に伝える必要性が高まる

特に採用難に直面している地方・中小企業にとっては、これまで「決まった学校から、決まった数の若者を確保できる」というメリットが薄れ、より戦略的な採用活動が求められる時代になっています。


学校推薦の仕組みと重要性

学校推薦とは何か

学校推薦とは、高校の進路指導の先生が「この生徒は真面目で能力もあるので、ぜひ採用をご検討ください」と企業に自信を持って紹介する制度です。

学校推薦には以下の特徴があります:

  1. 限られた生徒にのみ与えられる:成績や日常の評価が優秀な生徒が対象
  2. 学校の信頼がかかっている:推薦した生徒が問題を起こせば、学校の評判が傷つく
  3. 企業にとって信頼性が高い:学校が太鼓判を押した生徒なので、採用リスクが低い

なぜ学校推薦が採用成功の鍵なのか

高卒採用において、学校推薦は採用成功率を劇的に高める最も重要な要素です。

学校推薦がある企業とない企業の違い

項目 学校推薦あり 学校推薦なし
応募者数 安定的に確保 応募が来ない
生徒の質 成績・人物ともに優秀 不確定
内定承諾率 高い(80%以上) 低い(50%以下)
定着率 高い 低い

学校から推薦をもらえる企業は、毎年安定的に優秀な高校生を採用できるのに対し、推薦がない企業は応募すら来ない状況に陥ります。

学校推薦がないと採用できない理由

高卒採用市場では、以下の理由から学校推薦が不可欠です:

理由①:高校生は学校の指導に従う

高校生の就職活動は、学校主導で進められます。進路指導の先生が「この企業はおすすめ」と言えば、生徒はその企業を志望します。逆に、先生が推薦しない企業には、応募しないことが一般的です。

理由②:求人倍率4.67倍の厳しい市場

2024年3月卒業生の高卒求人倍率は4.67倍と、大卒の1.7倍を大きく上回っています。つまり、1人の高校生に対して4.67社が求人を出している超売り手市場です。

この環境下では、学校推薦がない企業は選ばれる土俵にすら立てないのが現実です。

理由③:学校ネットワークの壁

高校と企業の関係は、長年の信頼関係で構築されています。新規企業が学校に訪問しても、すぐに推薦をもらうことは困難です。

株式会社ゆめスタのゆめアカが東海3県40校とのネットワークを持っているのは、長年にわたる地道な関係構築の結果です。

出典: 厚生労働省「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」(2024年)


学校から信頼される企業の5つの条件

学校推薦を勝ち取るには、学校から「この企業なら安心して生徒を送り出せる」と信頼される必要があります。

以下、学校から信頼される企業の5つの条件を解説します。

条件①:継続的な学校訪問

単発の学校訪問では推薦はもらえません。

学校との信頼関係構築には、最低3年かかると言われています。毎年、計画的に学校訪問を続け、進路指導の先生と顔の見える関係を作ることが重要です。

効果的な学校訪問のポイント

  • 年に最低2回(求人票提出時と夏頃の挨拶)
  • 採用担当者だけでなく経営者も訪問(本気度を示す)
  • 前年度採用した生徒の様子を報告(安心感を与える)
  • 押し売りはしない(あくまで関係構築が目的)

条件②:充実した職場見学・インターンシップ

一人二社制時代において、職場見学とインターンシップの質が採用成功を左右します。

学校は、生徒に「本当にこの会社で働きたいか」を見極める機会を重視します。充実した職場見学やインターンシップを提供する企業は、学校から高く評価されます。

充実した職場見学の条件

  • 半日以上の時間を確保(2-3時間が理想)
  • 実際の作業現場を見せる(オフィスツアーだけではダメ)
  • 若手社員と話す時間を設ける(年齢が近い先輩の声が重要)
  • 質問時間を十分に取る(生徒の疑問を解消する)

インターンシップの効果

  • インターンシップ参加者の3年離職率は16.5%(一般的な40%の半分以下)
  • 入社後のミスマッチが大幅に減少
  • 学校からの信頼度が飛躍的に向上

ゆめアカでは、学校と連携したインターンシップの設計から実施まで一貫してサポートし、企業の採用成功を後押ししています。

条件③:求人票の正確性と魅力的な内容

学校推薦を得るには、正確で魅力的な求人票が必須です。

進路指導の先生は、求人票を見て「この企業を生徒に勧めるべきか」を判断します。誤解を招く表現や不正確な情報があれば、推薦対象から外されます。

求人票で重視されるポイント

  • 給与・労働条件が明確(曖昧な表現は避ける)
  • 仕事内容が具体的(「その他業務全般」だけでは不十分)
  • キャリアパスが示されている(将来の成長イメージを提示)
  • 福利厚生が充実(住宅手当、資格取得支援など)
  • 写真や図を活用(文字だけではなく視覚的に魅力を伝える)

条件④:採用後の定着実績

学校が最も重視するのは、**「採用した生徒が辞めずに働き続けているか」**です。

過去に採用した生徒がすぐに辞めてしまった企業は、学校から推薦をもらいにくくなります。逆に、採用した生徒が長く働き、成長している企業には、継続的に推薦が来ます。

定着実績をアピールする方法

  • 学校訪問時に卒業生の近況を報告(「〇〇君は今、リーダーとして活躍しています」)
  • 卒業生が母校を訪問する機会を設ける(後輩へのメッセージ)
  • 離職率データを開示(3年定着率80%など具体的な数字)

条件⑤:卒業生の活躍

学校にとって、卒業生が社会で活躍することは何よりの誇りです。

採用した卒業生が企業で成長し、表彰されたり昇進したりすれば、学校は「あの企業に送り出して良かった」と確信します。その結果、次年度も積極的に推薦してくれるようになります。

卒業生の活躍を学校に伝える方法

  • 表彰・昇進の報告(「〇〇さんが優秀社員賞を受賞しました」)
  • 学校の広報誌への寄稿(卒業生インタビュー記事を提供)
  • 会社見学に卒業生を同行(後輩に先輩の姿を見せる)

一人二社制時代に企業が取るべき対策

一人二社制の導入により、企業には新たな対応が求められます。以下、具体的な対策を解説します。

対策①:内定辞退リスクへの対応

一人二社制では、生徒が2社から内定を得た場合、どちらか一方を辞退することになります。

内定辞退を防ぐための施策

  1. 内定者フォローの強化

    • 内定から入社までの期間、定期的に連絡を取る
    • 会社見学や先輩社員との交流会を開催
    • 保護者向け説明会を実施(保護者の安心感が重要)
  2. 入社前研修の実施

    • 社会人としての基礎知識を学ぶ機会を提供
    • 同期との絆を作る(仲間意識が定着を促す)
  3. 内定承諾の早期獲得

    • 選考期間を短縮し、スピーディに内定を出す
    • 「あなたをぜひ採用したい」という熱意を伝える

対策②:職場見学の質の向上

一人二社制では、生徒が複数の企業を比較検討します。そのため、職場見学の印象が採用成功を左右します。

職場見学の質を高める工夫

  • 若手社員の声を聞かせる:実際に働く先輩の生の声が最も響く
  • 作業体験を取り入れる:見るだけでなく、実際に手を動かす
  • 経営者との対話時間を設ける:会社の理念やビジョンを直接伝える
  • 保護者同伴を歓迎:保護者の不安を解消することが内定承諾につながる

対策③:学校との関係強化

一人二社制時代でも、学校推薦の重要性は変わりません。むしろ、2社のうち1社に選ばれるためには、学校からの強い推薦が不可欠です。

学校との関係を強化する方法

  1. 定期的な情報交換

    • 求人票提出だけでなく、年間を通じて連絡を取る
    • 学校のイベント(文化祭、体育祭など)に参加
  2. インターンシップの積極受け入れ

    • 学校が求めるインターンシップ内容を把握
    • 1日型から5日型まで、柔軟に対応
  3. 卒業生の成長を報告

    • 年に1回、卒業生の近況報告書を学校に提出
    • 卒業生が母校を訪問する機会を設定

対策④:インターンシップの戦略的活用

一人二社制時代において、インターンシップは最強の採用ツールです。

インターンシップ参加者は、企業のことを深く理解した上で応募するため、内定辞退率が低く、入社後の定着率も高くなります。

インターンシップの戦略的活用方法

  1. 採用直結型インターンシップ

    • インターンシップ参加者を優先的に採用選考へ案内
    • 「インターンシップ→職場見学→応募」の流れを作る
  2. 学校との共同設計

    • 学校のカリキュラムに合わせたプログラム設計
    • 教育効果の高い内容にすることで学校から評価される
  3. 長期インターンシップの実施

    • 5日型や1週間型のインターンシップで、深い相互理解を実現
    • 生徒の適性を見極め、ミスマッチを防ぐ

株式会社ゆめスタでは、2025年度に3社で14名の高卒採用を成功させており、その多くがインターンシップ経由の採用です。中には3年間ゼロだった企業が4名採用に成功した事例もあります。


学校推薦を勝ち取るための具体的アクション

ここまで、一人二社制の仕組みと学校推薦の重要性を解説してきました。最後に、学校推薦を勝ち取るために今すぐ実行できる具体的なアクションをご紹介します。

今すぐできる3つのステップ

ステップ1:ターゲット校をリストアップする(1週間以内)

まず、自社が採用したい学校をリストアップします。

選定基準

  • 通勤可能圏内の高校(片道1時間以内が理想)
  • 学科が自社の職種に合致(工業高校の機械科、電気科など)
  • 過去に採用実績がある、または学校の雰囲気が良い

リストアップする情報

  • 学校名、所在地、連絡先
  • 進路指導担当の先生の名前(わかる範囲で)
  • 学科構成と卒業生数
  • 過去の求人実績

ステップ2:学校訪問の計画を立てる(2週間以内)

リストアップした学校に、計画的に訪問します。

初回訪問のポイント

  • アポイントを取る(突然訪問はNG)
  • 会社案内と求人票を持参(視覚的に分かりやすい資料)
  • 20-30分程度で簡潔に(長居は避ける)
  • 「継続的に訪問させてください」と伝える(1回で終わらせない)

訪問時の話題

  • 会社の事業内容と特徴
  • 求める人物像
  • 職場見学・インターンシップの受け入れ体制
  • 過去の採用実績(あれば)

ステップ3:インターンシップ受け入れ体制を整える(1ヶ月以内)

学校推薦を得るための最短ルートは、インターンシップの積極的な受け入れです。

受け入れ体制の整備項目

  • 受け入れ人数の設定(1回あたり1-3名が目安)
  • プログラム内容の設計(何を体験させるか)
  • 担当者の決定(若手社員が理想)
  • 安全対策と保険の確認(事故防止対策)

プログラム例(5日型)

  • 1日目:会社説明、工場見学、先輩社員との交流
  • 2-4日目:実際の作業体験(簡単な業務から)
  • 5日目:成果発表、振り返り、質疑応答

ゆめアカの学校ネットワークを活用する

学校との関係構築には通常3年以上かかりますが、すでに学校ネットワークを持つゆめアカを活用することで、スタート地点を大幅に短縮できます。

ゆめアカの強み

  • 東海3県40校との強固なネットワーク:長年の信頼関係
  • 2025年度14名の採用実績:3社で14名(うち1社は3年間ゼロから4名採用成功)
  • インターンシップ支援:設計から実施、フォローまで一貫サポート
  • 学校訪問の同行:学校への紹介と推薦依頼をサポート

高卒採用やインターンシップの導入でお悩みの企業様は、ぜひゆめアカにご相談ください。貴社の採用成功を全力でサポートします。

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まとめ

重要ポイント

  • 一人二社制は2025年から拡大中:5府県が9月から導入、他県も10月以降移行
  • 学校推薦は採用成功の生命線:推薦がないと応募すら来ない
  • 学校から信頼される5つの条件:継続的な学校訪問、充実した職場見学・インターンシップ、正確な求人票、定着実績、卒業生の活躍
  • 一人二社制時代の対策:内定辞退リスクへの対応、職場見学の質向上、学校との関係強化、インターンシップの戦略的活用
  • 学校ネットワークが重要:ゆめアカの東海3県40校のネットワークを活用し、採用成功を加速

次にすべきこと

  1. ターゲット校をリストアップする:採用したい高校を5-10校選定
  2. 学校訪問の計画を立てる:アポイントを取り、継続訪問の準備
  3. インターンシップ受け入れ体制を整える:プログラム設計と担当者決定
  4. ゆめアカに相談する:学校ネットワークを活用し、採用成功を加速

ゆめアカへのご相談はこちら

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この記事は、株式会社ゆめスタが運営するゆめスタアカデミー(ゆめアカ)が提供しています。 高卒採用・インターンシップ支援の実績とノウハウをもとに、 中小企業の採用成功をサポートしています。

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よくある質問

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高校生が複数社を比較して選びたいというニーズの高まり、3年離職率40%超の現状を改善するためのミスマッチ削減、企業側の採用難緩和が理由です。2025年3月卒から秋田、茨城、大阪、和歌山、沖縄の5府県が9月から一人二社制を導入しました。

競合が増えるため、企業の魅力をより明確に伝える必要があります。高校生が2社を比較するため、学校推薦を得るだけでなく、職場見学や面接で他社との差別化を図ることが重要です。内定後の辞退リスクも高まるため、内定者フォローも強化する必要があります。

定期的な学校訪問です。年2~3回訪問して進路指導の先生との信頼関係を構築し、求人票を手渡し、企業の魅力を直接伝えます。学校との信頼関係構築には通常3年以上かかりますが、継続的な訪問が最も重要です。1回だけの訪問では効果はありません。

①若手社員との交流時間(先輩はどんな人か)、②実際の仕事の様子(リアルな現場)、③成長できる環境(教育制度、キャリアパス)、④職場の雰囲気(働きやすさ)の4つです。会議室での説明だけでなく、現場を見せて体験してもらうことが重要です。

内定後も定期的にコミュニケーションを取り、不安を解消することが重要です。月1回程度の面談(本人と保護者)、会社行事への招待、先輩社員との交流機会、入社前研修などを実施します。高校生は入社までの期間に不安を感じやすいため、継続的なフォローが必要です。

中小企業の強み(経営者との距離の近さ、幅広い業務経験、柔軟な対応)を活かすことです。社長が直接話す、複数部署を経験できる、個別の希望に対応するなど、大手にはできない魅力を伝えます。また、インターンシップを活用して事前に関係を築くことも効果的です。

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