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教育訓練給付金を活用した若手社員の資格取得支援

著者: 株式会社ゆめスタ
教育訓練給付金を活用した若手社員の資格取得支援

「若手社員に資格を取得させたいが、教育コストが負担」「高卒社員のスキルアップを支援したいが、どう始めればいいか分からない」そんな悩みを抱えていませんか?

実際に、教育訓練給付金制度を活用することで、従業員の資格取得にかかる費用の20-70%を国が支援してくれます。しかし、この制度の存在を知っていても、具体的な活用方法が分からず、利用していない企業が多いのが現状です。

この記事では、教育訓練給付金制度を活用して若手社員の資格取得を支援する方法を、実践的に解説します。高卒社員の定着率向上と企業の成長につなげるヒントが見つかります。

この記事で分かること

  • 教育訓練給付金制度の基本と3つの種類
  • 若手社員・高卒社員におすすめの対象資格
  • 企業としての支援方法と具体的な活用ステップ
  • 2025年10月開始の新制度「教育訓練休暇給付金」
  • 資格取得支援がもたらす定着率向上効果

読了時間: 約9分


目次

  1. 教育訓練給付金制度とは
  2. 3つの給付金の種類と支給額
  3. 若手社員・高卒社員におすすめの対象資格
  4. 企業としての活用方法
  5. 2025年10月開始の新制度「教育訓練休暇給付金」
  6. 資格取得支援がもたらす効果
  7. まとめ

教育訓練給付金制度とは

制度の概要

教育訓練給付金とは、働く方々の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図ることを目的として、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、教育訓練経費の一部が支給される制度です。

制度の目的:

  • 働く方のスキルアップ支援
  • キャリア形成の促進
  • 雇用の安定
  • 就職・再就職の促進

対象者

以下の条件を満たす方が対象となります:

在職者の場合:

  • 雇用保険の被保険者であること
  • 被保険者期間が一定期間以上あること(給付金の種類により異なる)

離職者の場合:

  • 離職日の翌日から受講開始日までが1年以内であること
  • 雇用保険の被保険者期間が一定期間以上あること

高卒新入社員の場合: 入社後、雇用保険に加入していれば、一定期間経過後に対象となります。

申請手続き

申請先: 住所地を管轄するハローワーク

手続きの流れ:

  1. 対象講座の受講開始
  2. 講座を修了
  3. 修了後1ヶ月以内にハローワークへ申請
  4. 審査後、指定口座に給付金が振り込まれる

3つの給付金の種類と支給額

教育訓練給付金には、教育訓練のレベルに応じて3つの種類があります。

1. 一般教育訓練給付金

概要: 比較的取り組みやすい資格・スキルを対象とした給付金です。

支給額:

  • 給付率: 受講費用の20%
  • 上限額: 10万円
  • 支給時期: 訓練修了後

対象となる被保険者期間:

  • 初回受給: 1年以上
  • 2回目以降: 前回受給から3年以上

対象資格の例:

  • 日商簿記検定(2級・3級)
  • TOEIC、TOEFL
  • ITパスポート
  • 宅地建物取引士
  • 医療事務
  • ファイナンシャルプランナー
  • 介護職員初任者研修
  • 危険物取扱者

2. 特定一般教育訓練給付金

概要: 速やかな再就職や早期のキャリア形成に役立つ資格を対象とした給付金です。

支給額:

  • 給付率: 受講費用の40%
  • 上限額: 20万円
  • 追加給付: 訓練修了後1年以内に被保険者として雇用された場合、受講費用の10%(上限5万円)を追加支給(2024年10月以降)
  • 支給時期: 訓練修了後

対象となる被保険者期間:

  • 初回受給: 1年以上
  • 2回目以降: 前回受給から3年以上

対象資格の例:

  • 社会保険労務士
  • 行政書士
  • 税理士科目合格
  • 大型自動車免許
  • 中型自動車免許
  • 准看護師
  • 介護職員実務者研修
  • 介護支援専門員(ケアマネジャー)

3. 専門実践教育訓練給付金

概要: 中長期的なキャリア形成を支援する専門的・実践的な教育訓練を対象とした給付金です。

支給額:

  • 給付率(受講中): 受講費用の50%
  • 上限額: 年間40万円(最長3年で120万円)
  • 追加給付: 資格取得後1年以内に被保険者として雇用された場合、受講費用の20%を追加支給(合計70%)
  • 支給時期: 6ヶ月ごとに分割支給

対象となる被保険者期間:

  • 初回受給: 2年以上(2024年4月以降は1年以上に短縮予定)
  • 2回目以降: 前回受給から10年以上

対象講座の例:

  • 看護師
  • 美容師
  • 保育士
  • 調理師
  • 専門学校の専門課程
  • 大学院の修士・博士課程
  • 職業実践専門課程
  • デジタル関連の専門教育

給付金の比較表

項目 一般教育訓練 特定一般教育訓練 専門実践教育訓練
給付率 20% 40%(+10%) 50%(+20%)
上限額 10万円 20万円(+5万円) 年40万円(最長3年)
被保険者期間 1年以上 1年以上 2年以上
対象レベル 基礎的 中級 専門的・実践的

実際に、株式会社ゆめスタが運営するゆめアカでは、若手社員の資格取得を支援する企業様に対して、この制度の活用方法をアドバイスしています。


若手社員・高卒社員におすすめの対象資格

製造業におすすめの資格

フォークリフト運転技能講習

  • 分類: 一般教育訓練
  • 費用: 約3-5万円
  • 給付額: 約6,000-10,000円
  • 期間: 5日程度
  • メリット: 即戦力として活躍できる

危険物取扱者(乙種第4類)

  • 分類: 一般教育訓練
  • 費用: 約3-5万円
  • 給付額: 約6,000-10,000円
  • 期間: 1-3ヶ月
  • メリット: 化学工場・ガソリンスタンドなどで必須

技能検定(機械加工・溶接など)

  • 分類: 一般教育訓練
  • 費用: 約5-10万円
  • 給付額: 約1-2万円
  • 期間: 3-6ヶ月
  • メリット: 技術力の証明になる

第二種電気工事士

  • 分類: 一般教育訓練
  • 費用: 約5-8万円
  • 給付額: 約1-1.6万円
  • 期間: 3-6ヶ月
  • メリット: 電気工事業で必須資格

事務・営業職におすすめの資格

日商簿記検定2級・3級

  • 分類: 一般教育訓練
  • 費用: 約3-6万円
  • 給付額: 約6,000-12,000円
  • 期間: 2-6ヶ月
  • メリット: 経理業務の基礎を習得

TOEIC・TOEFL

  • 分類: 一般教育訓練
  • 費用: 約3-10万円
  • 給付額: 約6,000-20,000円
  • 期間: 3-12ヶ月
  • メリット: 英語力の証明、キャリアアップ

ITパスポート

  • 分類: 一般教育訓練
  • 費用: 約3-5万円
  • 給付額: 約6,000-10,000円
  • 期間: 1-3ヶ月
  • メリット: IT基礎知識の習得

宅地建物取引士

  • 分類: 一般教育訓練
  • 費用: 約10-20万円
  • 給付額: 2-4万円
  • 期間: 6-12ヶ月
  • メリット: 不動産業で活躍

物流・運送業におすすめの資格

大型自動車免許

  • 分類: 特定一般教育訓練
  • 費用: 約25-35万円
  • 給付額: 約10-14万円(40%)
  • 期間: 10-15日
  • メリット: 大型トラック運転が可能

中型自動車免許

  • 分類: 特定一般教育訓練
  • 費用: 約15-20万円
  • 給付額: 約6-8万円(40%)
  • 期間: 5-10日
  • メリット: 4トン車運転が可能

介護・福祉業におすすめの資格

介護職員初任者研修

  • 分類: 一般教育訓練
  • 費用: 約5-10万円
  • 給付額: 約1-2万円
  • 期間: 1-4ヶ月
  • メリット: 介護業界への入口

介護職員実務者研修

  • 分類: 特定一般教育訓練
  • 費用: 約10-15万円
  • 給付額: 約4-6万円(40%)
  • 期間: 6ヶ月
  • メリット: サービス提供責任者になれる

キャリアアップにつながる資格

社会保険労務士

  • 分類: 特定一般教育訓練
  • 費用: 約20-30万円
  • 給付額: 約8-12万円(40%)
  • 期間: 6-12ヶ月
  • メリット: 人事・労務のスペシャリスト

行政書士

  • 分類: 特定一般教育訓練
  • 費用: 約15-25万円
  • 給付額: 約6-10万円(40%)
  • 期間: 6-12ヶ月
  • メリット: 独立開業も可能

企業としての活用方法

企業が従業員の資格取得を支援するメリット

1. 従業員のスキルアップ

資格取得を通じて、従業員の専門知識と技術が向上します。

2. 定着率の向上

会社が自分の成長を支援してくれると感じることで、帰属意識が高まります。

3. 企業の競争力強化

有資格者が増えることで、対応できる業務範囲が広がり、企業の競争力が向上します。

4. 採用力の向上

「資格取得支援制度あり」は、求人の魅力を高める要素になります。


企業としての具体的な支援方法

企業は以下のような形で従業員の資格取得を支援できます。

1. 受講料の全額または一部負担

従業員が支払った受講料を、会社が全額または一部負担する方法です。

例:

  • 会社負担: 70%
  • 従業員負担: 30%
  • 教育訓練給付金: 20%(従業員に支給)

この場合、従業員の実質負担は10%になります。

2. 資格取得祝い金の支給

資格を取得した従業員に対して、祝い金を支給する方法です。

例:

  • 日商簿記2級: 3万円
  • 危険物取扱者: 2万円
  • 大型免許: 5万円

3. 資格手当の支給

資格を持っている従業員に対して、毎月の給与に手当を加算する方法です。

例:

  • 第二種電気工事士: 月5,000円
  • フォークリフト免許: 月3,000円
  • 宅建士: 月10,000円

4. 受講時間の配慮

講座受講のために、勤務時間の調整や特別休暇を認める方法です。

例:

  • 土日の講座受講を推奨
  • 平日夜間の早退を認める
  • 試験前の特別休暇を付与

資格取得支援制度の導入ステップ

ステップ1: 支援対象資格の選定

自社の事業内容や従業員のキャリアパスに合わせて、支援対象とする資格を選定します。

ポイント:

  • 業務に直結する資格を優先
  • 従業員のキャリアアップにつながる資格
  • 取得難易度と期間を考慮

ステップ2: 支援制度の設計

支援の内容と条件を明確にします。

決めるべき項目:

  • 支援額(全額 or 一部)
  • 支給条件(合格後 or 受講後)
  • 対象者の範囲(全社員 or 特定部門)
  • 退職時の返金規定

ステップ3: 社内規程の整備

資格取得支援制度を社内規程として文書化します。

規程に含めるべき内容:

  • 制度の目的
  • 対象資格と支援額
  • 申請手続き
  • 支給条件
  • 退職時の取り扱い

ステップ4: 従業員への周知

制度を従業員に周知し、利用を促します。

周知方法:

  • 全体会議での説明
  • 社内掲示板への掲載
  • 個別面談での案内

ステップ5: 運用開始と管理

制度の運用を開始し、申請受付・審査・支給を行います。

管理のポイント:

  • 申請書類の保管
  • 支給実績の記録
  • 制度利用状況の把握

教育訓練給付金と企業支援の併用例

ケース1: 製造業A社(従業員50名)

制度内容:

  • 危険物取扱者の取得を推奨
  • 受講料: 50,000円
  • 会社負担: 30,000円(60%)
  • 従業員負担: 20,000円(40%)

従業員の実質負担:

  • 受講料: 50,000円
  • 会社支援: -30,000円
  • 教育訓練給付金: -10,000円(20%)
  • 実質負担: 10,000円

企業の負担:

  • 会社支援: 30,000円

ケース2: 物流業B社(従業員100名)

制度内容:

  • 大型自動車免許の取得を推奨
  • 受講料: 300,000円
  • 会社負担: 150,000円(50%)
  • 従業員負担: 150,000円(50%)

従業員の実質負担:

  • 受講料: 300,000円
  • 会社支援: -150,000円
  • 教育訓練給付金: -120,000円(40%)
  • 実質負担: 30,000円

企業の負担:

  • 会社支援: 150,000円

2025年10月開始の新制度「教育訓練休暇給付金」

新制度の概要

2025年10月1日から、「教育訓練休暇給付金」という新たな給付金制度がスタートします。

制度の目的: 働く方々のリスキリング・スキルアップを支援するため、教育訓練を受けるために長期の休暇を取得した場合に、賃金を補償する制度です。

対象者: 雇用保険の被保険者で、教育訓練を受けるために30日以上の無給休暇を自発的に取得した方

支給額: 賃金の50-80%程度(詳細は今後決定)

支給期間: 最長1年間


企業にとってのメリット

1. 従業員のリスキリング促進

長期的なスキルアップを支援できます。

2. 人件費の軽減

休暇期間中は無給のため、企業の人件費負担が軽減されます。

3. 優秀な人材の確保

スキルアップの機会を提供することで、優秀な人材の定着につながります。


活用が想定されるケース

ケース1: 若手社員のキャリアチェンジ支援

営業職の若手社員が、プログラミングスクールに3ヶ月通学し、エンジニアへキャリアチェンジ。

ケース2: 中堅社員の専門資格取得

製造現場の中堅社員が、6ヶ月の専門学校に通い、技術士資格を取得。

ケース3: 管理職候補のMBA取得

管理職候補の従業員が、1年間ビジネススクールに通い、MBA(経営学修士)を取得。


資格取得支援がもたらす効果

定着率向上効果

データ:

  • 資格取得支援制度がある企業: 3年離職率25%
  • 制度がない企業: 3年離職率40%

削減効果: 約15ポイント

資格取得支援制度は、従業員の定着率向上に大きく貢献します。


モチベーション向上効果

従業員の声:

  • 「会社が自分の成長を応援してくれている」
  • 「資格を取ることで給与が上がった」
  • 「キャリアの選択肢が広がった」

会社からの支援を受けることで、従業員のモチベーションが高まります。


採用力向上効果

求人での訴求ポイント:

  • 「資格取得支援制度あり」
  • 「教育訓練給付金対象講座の受講料全額負担」
  • 「資格手当充実」

これらは求職者にとって魅力的な条件であり、応募者数の増加につながります。


企業の競争力強化

有資格者が増えることで、以下のメリットがあります:

1. 対応業務の拡大

新たな資格者が増えることで、対応できる業務範囲が広がります。

2. 技術力の向上

専門知識を持つ従業員が増えることで、企業全体の技術力が向上します。

3. 顧客からの信頼向上

有資格者が多い企業は、顧客からの信頼が高まります。


まとめ

重要ポイント

教育訓練給付金を活用した若手社員の資格取得支援について、以下のポイントを押さえておきましょう:

  • 教育訓練給付金は受講費用の20-70%を支援する制度
  • 3種類の給付金があり、資格のレベルに応じて選択
  • 高卒社員におすすめの資格は製造業なら危険物取扱者、フォークリフト免許など
  • 企業は受講料負担・資格手当・祝い金で支援できる
  • 2025年10月から教育訓練休暇給付金がスタート
  • 資格取得支援は定着率を約15ポイント改善する効果がある

資格取得支援のメリット

  1. 従業員のスキルアップと成長
  2. 定着率の向上(離職率15%削減)
  3. 企業の競争力強化
  4. 採用力の向上
  5. 従業員満足度の向上

次にすべきこと

  1. 自社で必要な資格をリストアップする
  2. 対象講座が給付金対象か確認する(厚生労働省の検索システム)
  3. 資格取得支援制度を設計する
  4. 社内規程を整備する
  5. 従業員に制度を周知する

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