「高卒社員が3年以内に辞めてしまう」「キャリアが見えず不安を抱えている」そんな悩みを抱えていませんか?
実際に、高卒新卒者の3年以内離職率は36.9%に達しており、約3人に1人が早期離職している現実があります。その大きな原因の1つが、キャリアパスの不透明さです。
しかし、明確なキャリアパス設計と成長を実感できる環境を整えることで、若手社員の定着率を大幅に改善できます。
この記事では、高卒社員が長く働ける環境を作るためのキャリアパス設計方法を、具体的に解説します。
この記事で分かること
- 高卒社員にキャリアパスが重要な理由
- 若手社員が求めるキャリアパスの要素
- キャリアパス設計の具体的な5ステップ
- 長く働ける環境づくりの実践方法
- キャリアパス導入企業の成功事例
読了時間: 約8分
目次
高卒社員のキャリアパスが重要な理由
若手社員が抱える「将来への不安」
高卒で入社した若手社員の多くは、自分の将来像が描けず不安を抱えています。
若手社員が抱える不安:
- 「この会社で何年働けば、どんなスキルが身につくのか」
- 「先輩社員のようになれる自分の姿が想像できない」
- 「5年後、10年後の自分のキャリアが見えない」
パーソル総合研究所の調査によると、成長実感が低い若手社員は、エンゲージメントが低く離職につながりやすいことが分かっています。
キャリアパスが見えないと起こる3つの問題
問題1: モチベーションの低下
日々の業務がルーティン化し、成長実感を得られないまま働き続けると、仕事への意欲が失われます。
問題2: 早期離職
将来が見えない不安から、「このまま働いていても成長できない」と判断し、転職を選択してしまいます。
問題3: 採用・教育コストの無駄
せっかく採用し、時間をかけて育成した人材が離職すると、再び採用・教育のコストがかかります。
明確なキャリアパスがもたらす効果
一方、明確なキャリアパスを示すことで、以下の効果が得られます。
効果1: 定着率の向上
「3年後にはこのスキルを習得できる」「5年後にはリーダーになれる」という道筋が見えることで、長期的に働く意欲が生まれます。
効果2: モチベーションアップ
成長のステップが明確になることで、日々の業務に目的意識を持って取り組めます。
効果3: 計画的な人材育成
企業側も、何年目にどのスキルを習得させるべきか計画的に育成できます。
実際に、株式会社ゆめスタが支援する企業では、インターンシップ経由で採用した若手社員の3年離職率が16.5%と、一般的な36.9%と比べて大幅に低い結果が出ています。これは、入社前から企業とのマッチングが良く、キャリアパスが明確に示されているためです。
高卒社員が求めるキャリアパスの3つの要素
若手社員が「この会社で働き続けたい」と思うキャリアパスには、3つの共通要素があります。
要素1: 成長が見える「ステップの明確さ」
「1年目は〇〇を習得」「3年目には△△ができる」といった、具体的な成長ステップが示されていることが重要です。
良い例:
- 1年目: 基本業務の習得、先輩のサポート
- 2年目: 独力で業務遂行、後輩指導
- 3年目: チームリーダー、プロジェクト管理
- 5年目: 係長・主任、複数プロジェクト統括
悪い例:
- 「頑張れば昇進できる」
- 「適性を見て判断する」
要素2: 実現可能性が高い「ロールモデルの存在」
自分の数年後の姿を想像できる先輩社員がいることが、キャリアパスの説得力を高めます。
ロールモデルの示し方:
- 入社3年目の先輩社員の成長ストーリーを紹介
- 「私も最初は〇〇ができなかったが、今はリーダーとして活躍している」という実例
- 先輩社員との交流機会の創出
要素3: 本人の意思を尊重する「柔軟性」
全員が同じキャリアパスを歩むのではなく、本人の希望や適性に応じて選択できることが大切です。
柔軟なキャリアパスの例:
- 技術スペシャリストコース
- マネジメントコース
- 営業・顧客対応コース
若手社員は、自分の強みや興味に合わせたキャリア選択ができることで、長期的なモチベーションを維持できます。
キャリアパス設計の5つのステップ
ここからは、実際にキャリアパスを設計する5つのステップを解説します。
ステップ1: 会社のビジョンと照らし合わせる
まず、会社が目指す方向性と、必要な人材像を明確にします。
確認すべきポイント:
- 会社の5年後、10年後のビジョン
- そのために必要なスキル・人材
- 現在の社員のスキルギャップ
ステップ2: 職種・役職ごとのステップを設計
次に、職種や役職ごとに、どのようなステップで成長していくかを設計します。
設計例(製造業の場合):
| 年次 | 役職 | 業務内容 | 習得スキル |
|---|---|---|---|
| 1年目 | 作業員 | 基本作業の習得 | 機械操作、安全管理 |
| 2-3年目 | 中堅作業員 | 独力での作業遂行 | 品質管理、効率化 |
| 4-5年目 | リーダー候補 | 後輩指導、工程管理 | OJT指導、工程改善 |
| 6-8年目 | 班長・係長 | チーム管理、生産計画 | マネジメント、計画立案 |
| 9年目以降 | 課長・工場長 | 部門管理、経営参画 | 経営視点、戦略立案 |
ステップ3: 必要なスキルと評価基準を明確化
各ステップで習得すべきスキルと、評価基準を明文化します。
スキルマップの例:
- 技術スキル: 機械操作、品質管理、トラブル対応
- ヒューマンスキル: コミュニケーション、チームワーク、リーダーシップ
- ビジネススキル: 計画立案、改善提案、経営理解
ステップ4: 育成プログラムと連動させる
キャリアパスで示したステップを、実際の育成プログラムと連動させます。
育成プログラムの例:
- 1年目: 新入社員研修、OJT、メンター制度
- 3年目: リーダー研修、外部研修参加
- 5年目: マネジメント研修、管理職候補育成
ステップ5: 定期的な面談でフォローアップ
キャリアパスを設計しただけでは不十分です。定期的な面談で、本人の希望や成長度合いを確認します。
面談のポイント:
- 3ヶ月に1回の頻度で実施
- 現在の成長度合いを確認
- 次のステップに向けた目標設定
- 本人の希望や不安をヒアリング
長く働ける環境の作り方
キャリアパスを設計するだけでなく、それを支える環境づくりも重要です。
環境1: 成長を実感できる「小さな成功体験」
若手社員は、日々の業務の中で成長を実感できることが重要です。
実践方法:
- 1ヶ月ごとに達成可能な目標を設定
- 目標達成時には評価とフィードバック
- 成功体験を積み重ねることで自信をつける
環境2: 質問しやすい「オープンな職場風土」
分からないことを気軽に質問でき、先輩が丁寧に教えてくれる雰囲気が大切です。
実践方法:
- 「質問することは良いこと」という文化の醸成
- OJT担当者の育成
- 定期的な1on1ミーティングの実施
環境3: 努力が報われる「公平な評価制度」
頑張りが正当に評価され、給与や役職に反映される仕組みが必要です。
実践方法:
- 評価基準の明確化と公開
- 半期ごとの評価面談
- 成果に応じた昇給・昇格
環境4: 仕事と生活のバランスを取れる「働きやすさ」
長時間労働や休日出勤が常態化していては、長く働き続けることはできません。
実践方法:
- 残業時間の適正管理
- 有給休暇の取得推奨
- ワークライフバランスの尊重
環境5: 仲間との絆を深める「チームビルディング」
同期や先輩との良好な関係が、職場への愛着を生みます。
実践方法:
- 社内イベントの開催
- 部署を超えた交流機会
- メンター制度の導入
キャリアパス導入企業の成功事例
事例1: 製造業A社(従業員50名)
課題: 3年以内離職率が45%と高く、技術継承が困難
施策:
- 5年間のキャリアパスを明示
- 1年ごとの習得スキルを明確化
- 四半期面談でフォローアップ
結果: 3年以内離職率が18%に改善
事例2: 物流業B社(従業員80名)
課題: 将来が見えず、若手社員のモチベーションが低い
施策:
- 技術コースとマネジメントコースを分離
- 各コースのロールモデルとなる先輩を紹介
- スキルマップと評価基準を見える化
結果: 従業員満足度が35%向上、定着率が大幅改善
事例3: 建設業C社(従業員35名)
課題: 高卒採用がゼロから抜け出せない
施策:
- インターンシップで企業の魅力を伝える
- 入社前からキャリアパスを提示
- ゆめアカの支援で学校との関係構築
結果: 2年間で5名の高卒採用に成功、全員が定着
東海3県40校とのネットワークを持つゆめアカでは、このようなキャリアパス設計のサポートも行っています。
まとめ
重要ポイント
- 高卒社員の3年離職率36.9%の原因は、キャリアパスの不透明さ
- 明確なキャリアパス設計で、定着率を大幅に改善できる
- 成長ステップの明確化、ロールモデルの存在、柔軟性が重要
- キャリアパス設計の5ステップを実践する
- 環境づくり(成功体験、質問しやすさ、評価制度)も不可欠
次にすべきこと
- 自社の職種・役職ごとのキャリアパスを設計する
- 評価基準とスキルマップを明文化する
- 定期的な面談制度を導入する
- 若手社員に成長を実感させる仕組みを作る
- インターンシップで入社前から企業の魅力を伝える
ゆめアカへのご相談はこちら
高卒採用や若手社員の定着支援でお悩みの企業様は、ぜひゆめアカにご相談ください。東海3県40校とのネットワークを活かし、採用から定着まで一貫してサポートします。インターンシップ経由の採用では3年離職率16.5%という実績があります。
関連記事
この記事は、株式会社ゆめスタが運営するゆめスタアカデミー(ゆめアカ)が提供しています。 高卒採用・インターンシップ支援の実績とノウハウをもとに、 中小企業の採用成功をサポートしています。




