離職率削減・定着支援

メンター制度の導入方法|高卒新人の孤立を防ぐ仕組みづくり

著者: 株式会社ゆめスタ
メンター制度の導入方法|高卒新人の孤立を防ぐ仕組みづくり

「採用した高校生が職場に馴染めず、辞めてしまう」「新人が孤立して誰にも相談できない環境になっている」そんな悩みを抱えていませんか?

実際に、高卒新人の約38%が3年以内に離職しており、その主な理由の一つが「仕事の悩みを気軽に相談できる先輩社員がいない」という孤立感です。

しかし、メンター制度を導入することで、新人の孤立を防ぎ、離職率を大幅に下げることができます。

この記事では、高卒新人の定着率を向上させるメンター制度の具体的な導入方法と、成功させるための仕組みづくりを解説します。

この記事で分かること

  • メンター制度が離職防止に効果的な理由
  • メンター制度の具体的な導入ステップ
  • メンターとメンティのペア選定のコツ
  • 制度を機能させるための運用ルール
  • メンター制度導入に成功した企業事例

読了時間: 約5分


目次

  1. メンター制度とは?離職防止への効果
  2. 高卒新人が孤立する3つの理由
  3. メンター制度導入の7つのステップ
  4. メンターとメンティのペア選定のコツ
  5. 制度を機能させる運用ルール
  6. メンター制度の落とし穴と対策
  7. メンター制度導入に成功した企業事例
  8. まとめ

メンター制度とは?離職防止への効果

メンター制度の定義

メンター制度とは、新入社員などの育成対象(メンティ)に対して、先輩社員(メンター)が定期的な面談を行い、仕事の悩みやキャリアの相談に乗る仕組みのことです。

メンターとメンティの関係:

  • メンター: 「良き指導者」「優れた助言者」として、後輩をサポートする先輩社員
  • メンティ: 指導や助言を受ける新人や若手社員
  • メンタリング: メンターとメンティの定期的な面談や対話

OJT(業務指導)とは異なり、メンター制度は「心理的サポート」や「キャリア相談」が中心となります。

離職防止への効果

労働人口が減少する中、若手社員の離職は企業にとって大きな痛手です。メンター制度には以下の効果があります。

効果1: 孤立感の解消

  • 「気軽に相談できる先輩がいる」という安心感
  • 心理的安全性が高まる
  • 職場への帰属意識が向上

効果2: 早期離職の防止

  • 悩みを抱え込まず、早期に解決できる
  • ストレスが軽減される
  • 「辞めたい」と思う前に相談できる

効果3: 組織への定着促進

  • 組織文化を理解しやすくなる
  • 人間関係が構築される
  • 長期的なキャリアビジョンを描ける

株式会社ゆめスタが支援するインターンシップ経由採用では、メンター制度を含む手厚いフォロー体制により、3年離職率16.5%という低水準を実現しています。


高卒新人が孤立する3つの理由

理由1:相談できる先輩がいない

高卒新人は社会人経験がないため、小さなことでも悩みます。

  • 「こんなことを聞いたら怒られるかも」と不安になる
  • 誰に聞けばいいか分からない
  • 忙しそうな先輩に声をかけづらい

相談相手がいないと、悩みを一人で抱え込み、孤立してしまいます。

理由2:年上の社員とのコミュニケーションが難しい

高校を卒業したばかりの18歳と、30代〜50代の社員では世代が大きく離れています。

  • 話題が合わない
  • 敬語の使い方が分からない
  • 距離感が掴めない

世代間のギャップが、孤立感を生み出します。

理由3:競争・ライバル意識による壁

年功序列がなくなりつつある現在、先輩社員が新人に対して「競争・ライバル意識」を持ってしまうケースがあります。

  • 「新人に抜かれたくない」という意識
  • 「教えたら自分の立場が危うくなる」という不安
  • サポートより競争を優先してしまう

このような環境では、新人が孤立しやすくなります。


メンター制度導入の7つのステップ

ステップ1:制度の目的を明確にする

まず、「何のためにメンター制度を導入するのか」を明確にします。

よくある目的:

  • 若手の離職率を下げる
  • 新人の早期戦力化
  • 組織への定着率向上
  • 社員間のコミュニケーション活性化

目標を数値化する:

  • 「1年以内の離職率を20%から10%に下げる」
  • 「新人の定着率を80%以上にする」

明確な目標があることで、制度の効果を測定しやすくなります。

ステップ2:メンター候補者を選定する

メンターに適した社員を選びます。

選定基準:

  • 入社3〜5年目の若手〜中堅社員
  • コミュニケーション能力が高い
  • 寛容で忍耐力がある
  • 自分の業務に余裕がある
  • ポジティブで前向き

NG例:

  • 自分の仕事で手一杯の社員
  • 人に教えるのが苦手な社員
  • ネガティブな発言が多い社員

ステップ3:メンターを育成する

メンターに任命する前に、必ず研修を実施します。

研修内容:

  1. メンター制度の目的と役割の理解
  2. 傾聴スキルの習得
  3. フィードバックの方法
  4. 面談の進め方
  5. 守秘義務とコンプライアンス

研修を行うことで、メンターの質が向上し、制度の成功率が高まります。

ステップ4:メンターとメンティのペアを決める

相性を考慮してペアを組みます。

ペア選定のポイント:

  • 同じ部署ではない「斜めの関係」が理想
  • 年齢が近い方が話しやすい
  • 趣味や出身地が近いと親近感が湧く
  • 性別の組み合わせも考慮

詳細は次の章で解説します。

ステップ5:運用ルールを決める

制度を継続させるため、明確なルールを設定します。

運用ルール例:

  • 面談頻度:月1回、1回30分〜1時間
  • 実施時間:就業時間内(原則)
  • 実施場所:会議室や外部のカフェ
  • 報告義務:面談後に簡単な報告書を提出

ルールを明確にすることで、メンターもメンティも動きやすくなります。

ステップ6:キックオフミーティングを開催

制度スタート時に、全員でキックオフミーティングを行います。

目的:

  • 制度の目的と期待を共有
  • メンターとメンティの顔合わせ
  • 質問や不安の解消

初対面の緊張をほぐし、良いスタートを切るために重要です。

ステップ7:定期的にフォローアップする

制度を導入して終わりではなく、定期的にフォローアップします。

フォローアップ内容:

  • メンター同士の情報交換会(月1回)
  • 人事担当者との振り返り面談(3ヶ月に1回)
  • 制度の改善点の収集と反映

「中だるみ」を防ぎ、制度を継続させるために欠かせません。


メンターとメンティのペア選定のコツ

「斜めの関係」を作る

メンターとメンティは、同じ部署ではなく、別の部署や異なるチームから選ぶのが理想です。

理由:

  • 直属の上司や先輩には言いにくい悩みも相談しやすい
  • 客観的なアドバイスがもらえる
  • 利害関係がないため、心理的安全性が高い

年齢差は5〜10歳が理想

メンターとメンティの年齢差は、5〜10歳程度が適切です。

理由:

  • 近すぎると「先輩」として尊敬されにくい
  • 離れすぎると世代間ギャップが生まれる
  • 「少し年上の頼れる先輩」が理想的

性別の組み合わせを考慮

男性メンター×女性メンティ、女性メンター×男性メンティの場合、以下の点に注意が必要です。

注意点:

  • プライベートな話題には慎重に
  • 面談場所は開けた場所にする
  • 誤解を避けるため、面談後は簡単な報告を

同性同士のペアの方が、心理的な距離が縮まりやすい傾向があります。

趣味や出身地で親近感を作る

共通点があると、会話が弾みやすくなります。

:

  • 同じスポーツが好き
  • 同じ地域出身
  • 同じ学校卒業

事前アンケートで趣味や出身地を聞いておき、ペア選定に活用しましょう。


制度を機能させる運用ルール

面談の頻度と時間

推奨頻度: 月1回、1回30分〜1時間

理由:

  • 週1回だと負担が大きい
  • 2ヶ月に1回だと間隔が空きすぎる
  • 月1回が継続しやすい

初めの3ヶ月は月2回にし、その後は月1回に調整するのも効果的です。

就業時間内に実施する

面談は原則として就業時間内に行います。

理由:

  • プライベート時間を使わせると負担になる
  • 会社が公式にサポートしている姿勢を示せる
  • 継続しやすい

就業時間外に実施する場合は、残業代や手当を支給しましょう。

面談内容は自由だが、テーマを用意

面談内容は基本的に自由ですが、話すことがないときのためにテーマリストを用意します。

テーマ例:

  • 最近の仕事で困っていること
  • 職場の人間関係
  • 将来のキャリアプラン
  • プライベートの過ごし方

テーマがあることで、会話が途切れず、有意義な時間になります。

守秘義務を徹底する

メンティがメンターに話した内容は、原則として他言しないことをルール化します。

例外:

  • メンティが自傷行為や退職を考えている場合
  • ハラスメントが疑われる場合
  • 法令違反が疑われる場合

これらの場合は、メンティに了承を得た上で、人事担当者に報告します。

簡単な報告書を提出

面談後、メンターは簡単な報告書を人事担当者に提出します。

報告書の内容:

  • 実施日時と場所
  • 面談時間
  • 話したテーマ
  • メンティの様子(3段階評価:良好/普通/注意)
  • 特記事項(あれば)

これにより、人事担当者が新人の状況を把握でき、早期に問題をキャッチできます。


メンター制度の落とし穴と対策

落とし穴1:メンターの負担が大きい

メンター業務が負担になり、疲弊してしまうケースがあります。

対策:

  • メンターの業務を一時的に調整する
  • メンター手当を支給する(月3,000〜5,000円)
  • メンター同士で悩みを共有する場を設ける

落とし穴2:ペアの相性が悪い

どんなに慎重に選んでも、相性が合わないペアが発生します。

対策:

  • 3ヶ月後に相性をチェックする
  • 相性が悪い場合は、ペアを変更する
  • 「変更は悪いことではない」と伝える

落とし穴3:形骸化してしまう

最初は熱心だったのに、だんだんと形骸化するケースも多いです。

対策:

  • 定期的にフォローアップする
  • 成功事例を社内で共有する
  • 表彰制度を設ける(優秀メンター賞など)

メンター制度導入に成功した企業事例

A社(製造業・従業員100名)

課題: 高卒新人の1年以内離職率が35%

実施した施策:

  • 入社2〜4年目の社員10名をメンターに選定
  • メンター研修を実施(2日間)
  • 月1回の面談を義務化
  • メンター手当(月5,000円)を支給

結果: 1年以内離職率が35%→8%に激減

メンターがいることで、新人が「困ったときに相談できる」と安心し、孤立感がなくなりました。

B社(建設業・従業員60名)

課題: 新人が職場に馴染めず、3ヶ月以内に辞めるケースが多い

実施した施策:

  • 他部署の先輩をメンターに配置(斜めの関係)
  • 面談を就業時間内に実施
  • 月1回のメンター情報交換会

結果: 3ヶ月定着率が60%→92%に向上

「直属の上司には言えない悩み」もメンターに相談でき、早期に解決できるようになりました。


まとめ

重要ポイント

  • メンター制度は高卒新人の孤立を防ぎ、離職率を下げる効果がある
  • 「斜めの関係」(他部署の先輩)がメンターに最適
  • 月1回、就業時間内の面談が継続の秘訣
  • メンターへのサポート(研修・手当・業務調整)が不可欠
  • 定期的なフォローアップで形骸化を防ぐ

次にすべきこと

  1. 制度の目的を明確にする: 何のためにメンター制度を導入するのかを決める
  2. メンター候補者を選定する: コミュニケーション能力が高く、余裕のある社員を選ぶ
  3. メンター研修を実施する: 傾聴スキルや面談の進め方を学ぶ
  4. 運用ルールを決める: 面談頻度、時間、場所、報告方法を明確に
  5. キックオフミーティングを開催: 全員で顔合わせし、制度をスタート
  6. 定期的にフォローアップ: 3ヶ月ごとに振り返り、改善点を反映

ゆめアカへのご相談はこちら

メンター制度の導入や新人育成体制の構築でお悩みの企業様は、ぜひゆめアカにご相談ください。東海3県40校とのネットワークを活かし、インターンシップ経由で採用した若手社員の3年離職率16.5%という実績をもとに、貴社の定着支援を全力でサポートします。

お問い合わせ


関連記事

この記事は、株式会社ゆめスタが運営するゆめスタアカデミー(ゆめアカ)が提供しています。 高卒採用・インターンシップ支援の実績とノウハウをもとに、 中小企業の採用成功をサポートしています。

高卒採用・インターンシップのご相談は
ゆめアカにお任せください

東海3県40校との強固なネットワーク

2025年度14名の採用実績(3社合計)

インターンシップ経由の離職率16.5%(通常40%)

実績ある経営陣による手厚いサポート

お電話でのお問い合わせ:090-4264-9939(平日 9:00-18:00)

よくある質問

この記事に関連するよくある質問

基本的に同じ仕組みで、呼び方が異なるだけです。どちらも先輩社員が新人をマンツーマンでサポートする制度です。メンター制度、ブラザーシスター制度、バディ制度など企業によって呼び方が異なりますが、目的は新人の孤立を防ぎ、早期戦力化と定着を促進することです。

入社2~3年目の若手社員が最適です。新人との年齢差が小さく親しみやすく、自身の新人時代の経験が生きています。また、メンター役を通じて教える力が養われ、成長機会にもなります。ただし、メンター本人の業務負担にならないよう、上司がサポートすることが重要です。

業務サポート(OJT、質問対応)、精神的サポート(悩み相談、励まし)、社内人脈の橋渡し(他部署紹介)、定期的な1on1面談が主な役割です。直属の上司とは異なり、評価者ではないため、新人が本音を話しやすい関係を築けます。メンター自身も研修を受け、役割を理解することが重要です。

まずメンター制度の目的とルールを明確にし、社内で共有することです。次にメンター候補者を選定し、事前研修を実施します。新人とメンターのマッチングを行い、キックオフミーティングで顔合わせをします。制度導入後は定期的にモニタリングし、メンター自身のサポートも忘れないことが成功の鍵です。

メンターの業務量を調整し、メンタリングの時間を確保します。メンター自身が困った時に相談できる体制(上司やHRのサポート)を整えることも重要です。また、メンターへの評価や報酬(手当支給、人事評価での加点)を与え、負担だけでなく成長機会として認識してもらうことが効果的です。

①メンターへの事前研修を徹底する、②メンターと新人のマッチングを慎重に行う、③定期的な1on1面談のスケジュールを確保する、④メンター自身をサポートする体制を整える、⑤制度の効果を定期的にモニタリングし改善する、の5つが重要です。形だけの制度にならないよう、継続的な運用と改善が必要です。

タグ

メンター制度離職防止新人育成孤立防止