「求人票を出しても、全く応募が来ない」「他社の求人票と何が違うのか分からない」そんな悩みを抱えていませんか?
高卒採用において、求人票は企業の第一印象を決める最重要ツールです。しかし、多くの中小企業が、最低限の情報だけを記載した「そっけない求人票」を提出し、学校からスルーされています。
進路指導の先生は、数十社、場合によっては100社以上の求人票に目を通します。その中で、生徒に紹介したいと思える企業は、ほんの一握りです。つまり、求人票で差をつけなければ、推薦は獲得できないのです。
この記事では、学校に選ばれる求人票の書き方、必須記載項目、そして絶対に避けるべきNG表現を具体的に解説します。
この記事で分かること
- 高卒求人票の提出スケジュールと基本ルール
- 必須記載項目と若年者雇用情報
- 学校に選ばれる求人票の5つの要素
- 具体的な書き方のコツと事例
- 求人票で絶対にやってはいけないNG表現
読了時間: 約8分
目次
高卒求人票の基本ルール
高卒採用の求人票提出スケジュール
高卒採用の求人票には、厳格なスケジュールがあります。
4月下旬〜5月: 高卒求人申込説明会
- ハローワークで開催される説明会に参加
- 求人票の書き方、提出方法、注意事項を確認
6月1日〜: 求人申込受付開始
- ハローワークに求人申込書【高卒】を提出
- 管轄のハローワークで受付
7月1日: 求人票公開
- 学校へ求人票が公開される
- この日が採用活動のスタートライン
7月〜9月: 選考期間
- 学校推薦、職場見学、選考、内定
10月1日: 内定解禁日
- 正式に内定を出せる日
高卒求人票の特徴
高卒求人票は、大卒向けの求人とは異なる特徴があります。
特徴①: ハローワーク経由が必須 高卒採用では、ハローワークを通じた求人票の提出が義務付けられています。民間の求人サイトだけでは応募できません。
特徴②: 一者二社制 生徒が同時に応募できる企業数が制限されています(7月〜10月は1社のみ、11月以降は2社まで)。
特徴③: 学校推薦が重要 進路指導の先生の推薦がなければ、ほとんど応募は来ません。求人票の内容が推薦の判断材料になります。
特徴④: 保護者も見る 高校生の就職では、保護者の同意が重要です。求人票は保護者も読むことを前提に書く必要があります。
必須記載項目と若年者雇用情報
求人票の必須記載項目
高卒求人票には、以下の項目が必須です。
1. 事業内容
- 何を作っている会社か、どんなサービスを提供しているか
- 具体的に、分かりやすく記載
2. 職種と仕事内容
- どんな仕事を担当するのか
- 「製造業務全般」ではなく、具体的な作業内容を記載
3. 雇用形態
- 正社員、契約社員、パート・アルバイトなど
- 高卒採用では「正社員」が基本
4. 契約期間
- 正社員の場合は「期間の定めなし」
- 試用期間がある場合は明記
5. 就業場所
- 勤務地の住所
- 転勤の可能性がある場合は明記
6. 就業時間
- 始業時刻・終業時刻
- 休憩時間
- 残業の有無と平均時間
7. 休日・休暇
- 週休2日制か完全週休2日制か
- 年間休日数
- 有給休暇の取得状況
8. 賃金
- 基本給(月給または時給)
- 各種手当(残業手当、通勤手当など)
- 賞与の有無と実績
- 昇給の有無と実績
9. 加入保険
- 雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金保険
- 社会保険完備は最低条件
10. 募集人数
- 何名採用予定か
11. 採用担当者
- 氏名、連絡先(電話番号、メールアドレス)
若年者雇用情報(重要)
2015年の法改正により、若年者(35歳未満)の採用では、若年者雇用情報の提供が義務付けられています。
特に高卒採用では、以下の3つの情報を求人票に記載することが推奨されています。
①過去3年間の採用者数と離職者数
- 採用実績: 2022年2名、2023年3名、2024年2名
- 離職者数: 2022年0名、2023年1名、2024年0名
②研修内容と期間
- 入社前研修: 3日間(ビジネスマナー、安全教育)
- 新入社員研修: 1ヶ月(OJT、先輩社員によるマンツーマン指導)
- フォローアップ研修: 入社3ヶ月後、6ヶ月後に実施
③メンター制度の有無
- 先輩社員がマンツーマンでサポート
- 月1回の面談でフォローアップ
若年者雇用情報を充実させることで、先生や保護者は「この企業は若手育成に力を入れている」と安心します。
学校に選ばれる求人票の5つの要素
進路指導の先生が「この企業を生徒に紹介したい」と思う求人票には、5つの共通点があります。
要素①: 明確でシンプルな言葉で書かれている
求人票は、高校生、先生、保護者が読みます。専門用語や業界用語は避け、誰が読んでも分かる言葉で書きましょう。
NG例: 「当社はBtoB向けソリューション事業を展開し、グローバルサプライチェーンの最適化を支援しています。」
OK例: 「当社は、企業向けに在庫管理システムを提供しています。トヨタやホンダなど大手企業と取引があり、部品の在庫管理を効率化するお手伝いをしています。」
ポイント:
- 中学生でも理解できる言葉で書く
- カタカナ語、専門用語は最小限に
- 具体的な企業名(許可があれば)を出すと信頼性が高まる
要素②: 具体的な仕事内容が書かれている
「製造業務全般」「営業職」といった抽象的な表現ではなく、1日の業務の流れが分かるように書きます。
NG例: 「製造業務全般を担当していただきます。」
OK例: 「自動車部品の組立業務を担当していただきます。
【1日の流れ】
- 8:00 朝礼、作業指示の確認
- 8:30 部品の組立作業(先輩社員と一緒に)
- 12:00 休憩(昼食)
- 13:00 組立作業の続き
- 15:00 完成品の検査
- 16:45 清掃、明日の準備
- 17:00 終業
入社後3ヶ月は先輩社員がマンツーマンで指導しますので、未経験でも安心して働けます。」
ポイント:
- 時間ごとの業務内容を示す
- 「未経験でも大丈夫」という安心感を伝える
- 先輩社員のサポート体制を明記
要素③: 充実した研修・育成情報が書かれている
高校生は社会人経験ゼロです。**「どう育ててくれるのか」**が、先生も保護者も最も気にするポイントです。
記載すべき情報:
- 入社前研修: どんな内容を何日間実施するか
- 新入社員研修: OJT期間、指導担当者の有無
- フォローアップ研修: 定期的な面談やスキルアップ研修
- 資格取得支援: 会社が費用負担する資格、受験のサポート体制
- メンター制度: 先輩社員による継続的なサポート
具体例: 「【研修制度】
- 入社前研修(3日間):ビジネスマナー、会社のルール、安全教育
- 新入社員研修(1ヶ月):先輩社員によるマンツーマン指導で基礎を習得
- 資格取得支援:旋盤技能士2級、フォークリフト運転技能講習など、会社が全額負担
【メンター制度】 入社3年目の先輩社員が専属メンターとして付き、月1回の面談でフォローアップします。困ったことがあれば、いつでも相談できる環境です。」
要素④: 正直で透明性の高い労働条件が書かれている
求人票と実際の労働環境が異なると、生徒が早期離職し、学校からの信頼は完全に失われます。
正直に書くべき項目:
- 残業時間: 月平均〇〇時間(実績ベース)
- 休日: 年間休日〇〇日(会社カレンダーによる)
- 有給休暇取得率: 平均〇〇%
- 試用期間: 3ヶ月(試用期間中の給与や条件も明記)
- 転勤: 可能性の有無、頻度
NG: 「残業ほぼなし」→実際は月30時間 OK: 「残業月平均20時間(繁忙期は30時間程度)」
先生は、正直な情報を評価します。 「少しハードだけど、成長できる環境」と正直に書く方が、「残業なし」と書いて実際は違う、よりも信頼されます。
要素⑤: 会社の魅力が伝わる工夫がある
求人票の自由記述欄を活用し、会社の魅力を伝えましょう。
書くべき内容:
- 会社の強み: 業界シェア、技術力、取引先の実績
- 若手の活躍事例: 入社3年目でリーダーに昇格など
- 職場の雰囲気: アットホーム、風通しが良い、質問しやすい
- 福利厚生: 社員旅行、誕生日休暇、食事補助など
- 社長メッセージ: 「一緒に会社を成長させよう」といった熱意
具体例: 「【当社の強み】 創業50年の老舗企業で、愛知県内のトヨタグループ企業と長年取引があります。安定した経営基盤のもと、若手社員が活躍できる環境を整えています。
【若手の活躍】 昨年入社した22歳の社員は、入社2年目で班長に昇格し、後輩の指導を任されています。
【社長からのメッセージ】 『若い力が会社の未来を作ります。一人ひとりを大切に育て、長く働ける環境を目指しています。一緒に会社を成長させましょう!』」
株式会社ゆめスタが運営するゆめアカでは、求人票の添削サポートも行っています。学校に選ばれる求人票を作成したい企業様は、ぜひご相談ください。
具体的な書き方のコツと事例
コツ①: 数字を使って具体性を出す
抽象的な表現ではなく、数字で示すことで説得力が増します。
NG例: 「待遇が良いです」 OK例: 「平均年収450万円、年間休日120日、有給休暇取得率80%」
NG例: 「若手が活躍しています」 OK例: 「従業員30名のうち、20代が12名(40%)。平均年齢32歳の若い会社です」
コツ②: 生徒と保護者の不安を解消する
高校生と保護者が不安に思うことを先回りして答えましょう。
不安①: 「未経験で大丈夫か?」 回答: 「入社者全員が未経験スタートです。3ヶ月間、先輩社員がマンツーマンで指導します。」
不安②: 「すぐ辞めたくならないか?」 回答: 「過去3年間で採用した7名のうち、6名が在籍中です(定着率85%)」
不安③: 「将来が不安」 回答: 「入社5年目で主任、10年目で係長への昇進実績があります。キャリアパスが明確です。」
コツ③: 写真や動画のQRコードを活用
求人票に、会社ホームページや採用動画のQRコードを載せることで、より詳しい情報を提供できます。
効果的なコンテンツ:
- 職場の雰囲気を伝える動画
- 若手社員のインタビュー
- 1日の業務の流れを紹介する写真
求人票で絶対にやってはいけないNG表現
NG①: 曖昧な表現
NG: 「給与: 応相談」 OK: 「基本給18万円〜20万円(経験により優遇)」
NG: 「残業: ほぼなし」 OK: 「残業: 月平均15時間」
NG: 「休日: 週休2日制」(週によっては週1日休みの可能性) OK: 「休日: 完全週休2日制(土日)、年間休日120日」
NG②: 虚偽の情報
絶対にNG:
- 求人票に書いた給与より実際は低い
- 「残業なし」と書いて実際は毎日2時間残業
- 「社会保険完備」と書いて実際は加入していない
一度でも虚偽が発覚すると、学校からの信頼は完全に失われ、翌年以降の推薦は得られません。
NG③: 差別的・限定的な表現
以下のような表現は法律で禁止されています。
NG:
- 「男性のみ募集」(性別による制限)
- 「〇〇高校出身者優遇」(特定の学校への優遇)
- 「明るく元気な人」(主観的な表現は避ける)
OK:
- 「男女問わず募集」
- 「高卒以上」
- 「未経験歓迎」
NG④: ネガティブな表現
NG: 「体力に自信のある方」(= きつい仕事と受け取られる) OK: 「体を動かす仕事が好きな方歓迎」
NG: 「厳しい環境で成長したい方」(= ブラック企業と受け取られる) OK: 「チャレンジ精神のある方歓迎。先輩社員が丁寧に指導します」
まとめ
重要ポイント
- 求人票は企業の第一印象を決める最重要ツール: 学校推薦を獲得できるかが決まる
- 提出スケジュール: 6月1日から受付、7月1日公開
- 必須記載項目: 事業内容、職種、雇用形態、勤務地、労働時間、賃金、保険、採用担当者など
- 若年者雇用情報が重要: 採用・離職実績、研修内容、メンター制度を明記
- 学校に選ばれる求人票の5つの要素: 明確な言葉、具体的な仕事内容、充実した研修情報、正直な労働条件、会社の魅力
- 絶対にNG: 曖昧な表現、虚偽の情報、差別的表現、ネガティブな表現
次にすべきこと
- 現在の求人票を見直す: 5つの要素が含まれているか確認
- 若年者雇用情報を充実させる: 採用実績、研修内容、メンター制度を具体的に記載
- 数字で具体性を出す: 給与、休日、残業時間、定着率などを明確に
- 先生の立場で読み直す: 「この企業に生徒を送り出したいか?」と自問する
- 専門家に相談する: ゆめアカに求人票の添削を依頼
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