「高校生の応募が全く来ない」「大手企業に人材を取られてしまう」「求人を出しても反応がない」——中小企業の経営者なら、誰もが一度は直面する採用の悩みです。
実際に、高卒採用の求人倍率は4.67倍(2024年3月卒)と、大卒の1.7倍を大きく上回っています。つまり、1人の高校生を5社近くで奪い合う超売り手市場です。
しかし、大手企業との採用競争に勝てないと諦める必要はありません。インターンシップを導入することで、中小企業でも採用成功率を3倍に高めることができます。
この記事では、中小企業がインターンシップを導入すべき5つの理由と、実際に採用ゼロから脱却した企業の成功事例を詳しく解説します。
この記事で分かること
- 中小企業がインターンシップで大手に勝てる理由
- インターンシップ導入で得られる5つの具体的なメリット
- 導入のハードルと現実的な解決策
- 採用ゼロから脱却した中小企業の成功事例
- 今すぐ始められる具体的なステップ
読了時間: 約8分
目次
中小企業の採用が難しい3つの理由
理由1: 圧倒的な知名度不足
高校生は「知っている会社」にしか応募しません。
- 大手企業: テレビCM、有名製品、親や先生が知っている
- 中小企業: 地域では有名でも、高校生には全く知られていない
結果: 求人票を出しても、そもそも見てもらえない。
理由2: 学校推薦を獲得できない
高卒採用では「一者二社制」により、学校推薦を得られるかどうかが決定的に重要です。
進路指導の先生は、信頼できる企業にしか生徒を推薦しません。
- 大手企業: 過去の実績、卒業生の活躍、安定性で信頼されている
- 中小企業: 先生との関係がなく、推薦してもらえない
結果: 優秀な学生は大手企業に流れてしまう。
理由3: 入社前にリアルを見せられていない
高校生は「この会社で働くイメージ」を持てないと応募しません。
- 大手企業: 充実した会社説明会、工場見学、OB訪問制度
- 中小企業: 求人票と短時間の職場見学のみ
結果: 「よく分からない」という理由で応募を避けられる。
インターンシップを導入すべき5つの理由
理由1: 採用成功率が3倍に上がる
インターンシップを実施している企業は、未実施企業と比べて採用成功率が約3倍高いというデータがあります。
| 企業タイプ | 採用成功率 |
|---|---|
| インターンシップ未実施企業 | 約20% |
| インターンシップ実施企業 | 約60% |
なぜここまで差が出るのか?
インターンシップ参加者の応募率が圧倒的に高いからです。
- 一般応募: 「とりあえず応募してみた」(志望度:低)
- インターンシップ経由: 「絶対にこの会社で働きたい」(志望度:高)
実例: 従業員45名の鋳物製造A社は、インターンシップ導入前は3年連続採用ゼロでしたが、導入後は応募率80%を達成し、3年間で9名の採用に成功しました。
理由2: 離職率が半分以下になる
インターンシップ経由で採用した若手社員の3年離職率は**16.5%**と、一般的な37.0%の半分以下に抑えられています。
| 採用方法 | 3年離職率 | 定着率 |
|---|---|---|
| 一般採用 | 37.0% | 63.0% |
| インターンシップ経由採用 | 16.5% | 83.5% |
離職率が下がる理由:
- 入社前後のギャップがない: インターンシップで仕事のリアルを体験済み
- 人間関係が既に構築されている: 入社前から顔見知りの先輩がいる
- 仕事への適性を見極めている: お互いに「合う・合わない」を確認できている
- 企業への愛着が強い: 「受け入れてくれた会社」という感謝の気持ち
コスト削減効果:
1人の若手社員が離職すると、採用コスト(50万円)+ 教育コスト(100万円)= 150万円が無駄になります。
10人採用した場合:
- 一般採用(離職率37%): 約4人が離職 → 600万円の損失
- インターンシップ経由(離職率16.5%): 約1.5人が離職 → 225万円の損失
- 差額: 375万円のコスト削減
理由3: 学校からの信頼が厚くなる
インターンシップを継続的に実施している企業は、進路指導の先生から高く評価されます。
先生が評価するポイント:
- 「生徒を丁寧に受け入れてくれる会社」
- 「インターンシップでの評判が良い」
- 「卒業生が元気に働いている」
この信頼が、一者二社制における学校推薦の獲得につながります。
株式会社ゆめスタが運営するゆめアカでは、東海3県40校とのネットワークを活かし、インターンシップを継続的に実施している企業に対して、学校側から積極的に生徒を推薦してくれる関係を構築しています。
実例: 自動車部品製造B社は、3年連続でインターンシップを実施したことで、進路指導の先生から「毎年生徒を送りたい」と言われるようになり、前年比75%増の採用実績を達成しました。
理由4: 採用コストが削減できる
インターンシップは一見コストがかかるように見えますが、長期的には採用コストを大幅に削減できます。
従来の採用活動のコスト:
- 求人広告費: 年間30万円
- 学校訪問の交通費・時間: 年間20万円
- 職場見学対応の人件費: 年間10万円
- 合計: 約60万円
しかし、採用できなければこのコストは全て無駄になります。
インターンシップ導入後のコスト:
- インターンシップ運営費: 年間40万円
- 交通費・昼食代: 年間10万円
- 合計: 約50万円
採用成功率が3倍になるため、実質的な1人あたりの採用コストは3分の1になります。
さらに、離職率が下がることで、追加採用の必要性も減少します。
理由5: 社員の成長につながる
インターンシップは、受け入れる企業側にも大きなメリットがあります。
社員が成長する3つの理由:
1. 教える力が身につく
高校生にわかりやすく仕事を教えることで、先輩社員が「教える力」を養います。
- 「なぜこの作業が必要なのか」を言語化する
- 「どう伝えれば理解してもらえるか」を考える
- 「安全に作業させるには何を注意すべきか」を意識する
これは、将来の後輩指導やOJTに直結するスキルです。
2. 仕事を見直す機会になる
高校生から「なぜこうするんですか?」と質問されることで、普段当たり前にやっている作業の意味を再確認できます。
実例: 製造業C社では、インターンシップ生から「この工程は効率化できるのでは?」と指摘され、実際に改善につながった事例があります。
3. 職場が活性化する
若い世代を受け入れることで、職場に新しい風が吹きます。
- 「良いところを見せたい」という意識が芽生える
- コミュニケーションが増える
- 「若手を育てる」という意識が社内に広がる
中小企業がインターンシップで勝てる理由
大手企業にはできない3つの強み
中小企業には、大手企業にはない独自の強みがあります。
強み1: 経営者との距離が近い
中小企業では、インターンシップ中に経営者と直接話す機会を作れます。
- 「社長の想い」を直接聞ける
- 「この会社の将来」を語ってもらえる
- 「自分の成長ストーリー」を共有してもらえる
高校生にとって、「社長と直接話せた」という体験は非常に印象に残ります。
強み2: 幅広い仕事を体験できる
大手企業では分業が進んでいるため、インターンシップでも限られた業務しか体験できません。
中小企業では、複数の業務を経験できます。
- 製造、検査、梱包、出荷まで一連の流れを体験
- 営業、事務、現場など複数部署を見学
- 「会社全体の仕事」を理解できる
強み3: 柔軟なプログラム設計
大手企業では、インターンシップのプログラムが固定化されています。
中小企業では、学生の希望や学校のスケジュールに合わせて柔軟に対応できます。
- 3日間、5日間、1週間など期間を調整
- 「ものづくり体験」「設計体験」など内容をカスタマイズ
- 先輩社員との座談会、工場見学など自由に組み合わせ
導入のハードルと現実的な解決策
ハードル1: 「人手が足りない」
よくある懸念: 「インターンシップ生を受け入れる余裕がない。ただでさえ人手不足なのに」
解決策: インターンシップは「負担」ではなく「投資」です。
- 受け入れ期間は3〜5日間のみ(短期集中型)
- 担当社員は1〜2名で十分
- 簡単な作業から始めれば、むしろ戦力になる
実際に、物流会社C社では、インターンシップ生が荷物の仕分け作業を手伝うことで、繁忙期の人手不足解消に貢献しました。
ハードル2: 「何をやらせればいいか分からない」
よくある懸念: 「高校生に何をやってもらえばいいのか分からない」
解決策: インターンシッププログラムは、専門家のサポートを受けながら設計できます。
ゆめアカでは、以下の支援を行っています。
- 業種に合わせたプログラム設計
- 受け入れマニュアルの提供
- 当日の運営サポート
- 学校との調整代行
基本プログラム例(製造業の場合):
- 1日目: 会社紹介、工場見学、安全教育
- 2日目: 簡単な作業体験(部品の仕分け、検査など)
- 3日目: 実際の製造ラインでの作業(先輩と一緒に)
- 4日目: 技術者の仕事を見学、質疑応答
- 5日目: まとめ、振り返り、感想共有
ハードル3: 「学校とのつながりがない」
よくある懸念: 「学校との関係がないので、インターンシップを実施できない」
解決策: 学校との関係構築には通常3年以上かかりますが、ゆめアカを活用することでスタート地点を大幅に短縮できます。
東海3県40校とのネットワークを活かし、以下をサポートします。
- 地域の高校への紹介
- 進路指導の先生との橋渡し
- 学校訪問への同行
- インターンシップ受け入れ企業としての登録支援
採用ゼロから脱却した成功事例
事例1: 鋳物製造A社(従業員45名)
課題:
- 高卒採用3年連続ゼロ
- 平均年齢55歳、若手不足で技術継承が危機
- 求人を出しても全く応募が来ない
施策: 工業高校との5日間インターンシップを開始
プログラム内容:
- 鋳物の歴史と魅力の講義
- 実際の鋳造作業の見学
- 簡単な型づくり体験
- ベテラン職人との座談会
- 工場全体の見学
結果:
- 1年目: インターンシップ参加者3名 → 2名採用
- 2年目: インターンシップ参加者5名 → 3名採用
- 3年目: インターンシップ参加者6名 → 4名採用
- 3年離職率: 0%(9名全員が定着)
成功要因: 「鋳物づくりの面白さ」を体験してもらい、「ものづくりの誇り」を共有できたこと。
事例2: 自動車部品製造B社(従業員120名)
課題:
- 採用しても1年以内に50%が退職
- 採用コストが年間300万円に膨らむ
- 離職による生産性低下
施策: 3日間の短期インターンシップ導入、先輩社員との座談会を重視
プログラム内容:
- 会社紹介・工場見学(半日)
- 実際の組立ラインでの作業体験(1日)
- 若手社員(入社3年目)との本音座談会(半日)
- 品質管理・検査業務の見学(半日)
- まとめ・質疑応答(半日)
結果:
- インターンシップ参加者の応募率: 80%
- インターンシップ経由採用の1年離職率: 10%(従来50%から大幅改善)
- 採用数: 前年比75%増
- 採用コスト: 年間180万円に削減(120万円削減)
成功要因: 先輩社員との座談会で「入社後のリアル」を率直に伝えたことで、入社前後のギャップが解消された。
事例3: 物流会社C社(従業員35名)
課題:
- 知名度が低く、応募者がゼロ
- 「きつい、汚い、危険」のイメージ
- 地元の商業高校との接点がない
施策: 商業高校との連携で3日間インターンシップを開始
プログラム内容:
- 物流の社会的役割についての講義
- 倉庫管理システムの体験
- フォークリフトの見学(実際に乗せてもらえる)
- 配送ルート作成の体験
- ドライバーへの同乗体験
結果:
- インターンシップ参加者8名 → 3名採用
- 3年離職率: 0%(3名全員が定着)
- 応募者数: 前年0名 → 今年8名
- 学校からの評価: 「生徒に人気のインターンシップ先」として認知
成功要因: 物流の仕事を「ただの荷物運び」ではなく、「社会を支えるインフラ」として伝えたことで、仕事への誇りを持って入社できた。
まとめ
重要ポイント
- 中小企業こそインターンシップで大手に勝てる: 経営者との距離、幅広い業務体験、柔軟なプログラムという3つの強み
- 採用成功率が3倍に上がる: インターンシップ参加者の志望度が圧倒的に高い
- 離職率が半分以下になる: 入社前後のギャップがなく、3年定着率83.5%を実現
- 学校からの信頼を獲得できる: 一者二社制において学校推薦を得られる
- 採用コストが削減できる: 実質的な1人あたりの採用コストは3分の1
- 社員が成長する: 教える力、仕事の見直し、職場の活性化
次にすべきこと
- 現在の採用状況を振り返る: 過去3年間の応募者数、採用数、離職率を確認
- インターンシップの実施可能性を検討する: 受け入れ可能な期間、担当社員、プログラム内容をイメージ
- 地域の高校をリストアップする: 工業高校、商業高校、普通科高校を調査
- 専門家に相談する: インターンシップ導入の具体的なステップを相談
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この記事は、株式会社ゆめスタが運営するゆめスタアカデミー(ゆめアカ)が提供しています。 高卒採用・インターンシップ支援の実績とノウハウをもとに、 中小企業の採用成功をサポートしています。




