「インターンシップのプログラムをどう作ればいいか分からない」「高校生に何を教えるべきか悩んでいる」そんな不安を抱えていませんか?
実際に、多くの企業がインターンシップを受け入れたものの、プログラム内容が曖昧で高校生に学びを提供できず、学校からの信頼を失ってしまうケースがあります。特に高校生は社会経験がほとんどないため、大学生とは異なる配慮が必要です。
しかし、高校生の成長段階に合わせたプログラムを設計することで、参加者が「仕事の楽しさ」や「成長の実感」を得られ、採用につながる関係を築けます。実際に、インターンシップ経由で採用した若手社員の3年離職率は16.5%と、一般的な40.8%と比べて大幅に低いことが分かっています。
この記事では、高校生が成長を実感できるインターンシッププログラムの作り方を、具体的に解説します。
この記事で分かること
- インターンシッププログラム設計の基本原則
- 高校生に適した学習内容の選び方
- 成長実感を生む5つのポイント
- 期間別プログラム例(1日型、5日型、長期型)
- 評価とフィードバックの仕組み
読了時間: 約7分
目次
プログラム設計の基本原則
目的を明確にする
インターンシッププログラムを設計する第一ステップは、目的を明確にすることです。
目的の例:
- 職業理解: 業界や職種について理解してもらう
- 企業PR: 自社の魅力や強みを知ってもらう
- 採用候補者の確保: 将来的な採用につなげる
- 社会貢献: 地域の高校生のキャリア教育に貢献する
目的が曖昧だと、プログラム内容もぼやけてしまい、高校生に何も伝わりません。
高校生の特性を理解する
高校生と大学生では、以下のような違いがあります。
高校生の特性:
- 社会経験がほとんどない: ビジネスマナーや基本的な仕事の流れを知らない
- 抽象的な説明が理解しにくい: 具体例や実演が必要
- 体験を通じて学ぶ: 見学だけでなく、実際に手を動かす機会が重要
- 成長実感を求める: 「できた!」という小さな成功体験が自信につながる
- 進路選択の途中: 職業観が未確立で、様々な可能性を探っている
これらの特性を踏まえ、分かりやすく体験型のプログラムを設計することが重要です。
学校の教育目標と連携する
高校生インターンシップは学校教育の一環であるため、学校側の教育目標を理解し、連携することが重要です。
学校が求めること:
- 職業観の育成: 働くことの意義を理解する
- 社会性の向上: ビジネスマナーやコミュニケーション能力を身につける
- キャリア意識の醸成: 自分の適性や将来の方向性を考える機会
- 地域企業の理解: 地元企業の魅力や可能性を知る
学校の教育目標とプログラム内容を調整することで、学校との信頼関係が深まります。
高校生に適した学習内容の選び方
レベルに合った内容を選ぶ
高校生に適した学習内容は、以下の基準で選びます。
適した学習内容:
- 安全で簡単な作業: 危険を伴わず、基本的な作業から始める
- 成果が見える作業: 自分が何をしたかが明確に分かる
- 会社の全体像が理解できる内容: 一つの業務だけでなく、仕事の流れを理解できる
- 社員との交流がある: 実際の社員と話す機会を設ける
避けるべき内容:
- 危険有害業務(重量物の取り扱い、有害物質を扱う作業など)
- 高度な専門知識が必要な業務
- 単純作業の繰り返しのみ
- 見学だけで終わるプログラム
体験型学習を中心にする
高校生は「体験を通じて学ぶ」ことが最も効果的です。
体験型学習の例:
- 製造業: 簡単な組み立て作業、検品作業、工場見学
- サービス業: 接客ロールプレイング、商品陳列、イベント補助
- 建設業: 現場見学、測量体験、図面の読み方学習
- IT業: 簡単なプログラミング、ホームページ作成、データ入力
体験を通じて「仕事の楽しさ」や「やりがい」を実感できるプログラムが理想です。
段階的な難易度設定
プログラムは、段階的に難易度を上げる設計が効果的です。
段階的プログラムの例:
1日目(導入):
- 会社説明、安全教育
- 工場・オフィス見学
- 簡単な作業体験
2日目(基本):
- 基本的な業務の実践
- 社員との交流
- 質疑応答
3日目以降(応用):
- 少し難しい業務にチャレンジ
- グループワーク、プレゼンテーション
- 振り返りとフィードバック
段階的に難易度を上げることで、高校生が自信を持ちながら学べます。
成長実感を生む5つのポイント
ポイント1: 明確な目標設定
インターンシップ開始時に、「この期間で何を学ぶか」を明確に伝えます。
目標設定の例:
- 「この5日間で、〇〇の作業を一人でできるようになる」
- 「会社の仕事の流れを理解し、自分の言葉で説明できるようになる」
- 「ビジネスマナーの基本(挨拶、報告、相談)を身につける」
目標が明確だと、高校生は「何を頑張ればいいか」が分かり、成長を実感しやすくなります。
ポイント2: 小さな成功体験の積み重ね
高校生が「できた!」と感じる小さな成功体験を積み重ねることが重要です。
成功体験の作り方:
- 簡単な作業から始める: 最初は必ず成功できる簡単な作業を与える
- 即座に褒める: できたらすぐに「よくできたね」と声をかける
- 次の課題を示す: 成功したら、次のステップを提示する
「できた」→「褒められた」→「次もやってみよう」のサイクルが、成長実感を生みます。
ポイント3: 社員との対話の機会
社員との対話は、高校生にとって貴重な学びの機会です。
対話の機会の例:
- ランチミーティング: 昼食を一緒に取りながら、仕事の話やキャリアの話をする
- 質問タイム: 毎日の終わりに、自由に質問できる時間を設ける
- 先輩社員インタビュー: 若手社員に高校時代の話や仕事のやりがいを聞く
社員のリアルな声を聞くことで、高校生は職業観を深めます。
ポイント4: 振り返りの時間
毎日の終わりに振り返りの時間を設け、学びを言語化します。
振り返りの方法:
- 日報の記入: 今日学んだこと、感じたことを書く
- グループディスカッション: 他の参加者と感想を共有する
- メンターとの1on1: 担当メンターと個別に振り返る
振り返りを通じて、「何を学んだか」が明確になり、成長を実感します。
ポイント5: 最終プレゼンテーション
インターンシップの最後に、学んだことを発表する機会を設けます。
プレゼンテーションの内容:
- インターンシップで学んだこと
- 印象に残ったこと
- 今後のキャリアにどう活かすか
発表を通じて、高校生は自分の成長を実感し、自信を持てます。経営層や社員が参加し、フィードバックを与えることで、達成感が高まります。
期間別プログラム例
1日型インターンシップ(職場見学型)
対象: 初めてのインターンシップ、多数の高校生を受け入れる場合
プログラム例:
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 9:00-9:30 | オリエンテーション(会社説明、安全教育) |
| 9:30-10:30 | 工場・オフィス見学 |
| 10:30-12:00 | 簡単な作業体験(組み立て、梱包など) |
| 12:00-13:00 | 昼食・社員との交流 |
| 13:00-14:30 | グループワーク(「この会社の魅力は?」をテーマに話し合い) |
| 14:30-15:00 | 発表・質疑応答 |
| 15:00-15:30 | 振り返り・アンケート記入 |
ポイント: 短時間で会社の全体像を理解してもらい、仕事の楽しさを体験してもらう。
5日型インターンシップ(体験型)
対象: 採用候補者として深く関わりたい場合
プログラム例:
1日目:
- オリエンテーション、安全教育
- 工場・オフィス見学
- 簡単な作業体験
2日目:
- 基本的な業務の実践(メンターの指導のもとで実施)
- 社員インタビュー
3日目:
- 少し難しい業務にチャレンジ
- グループワーク(「新商品のアイデアを考える」など)
4日目:
- 応用的な業務(複数の工程を担当)
- プレゼンテーション準備
5日目:
- 最終プレゼンテーション(学んだことを発表)
- 経営層・社員からのフィードバック
- 修了証の授与
ポイント: 段階的に難易度を上げ、最後に成長を実感できる発表の機会を設ける。
長期型インターンシップ(週1回×3ヶ月など)
対象: 継続的に関わり、深い学びを提供したい場合
プログラム例:
第1ヶ月: 基礎学習
- 業界・会社の理解
- 基本的な業務の習得
第2ヶ月: 実践
- 独力で業務を遂行
- 社員と同じ目標に取り組む
第3ヶ月: 応用・発表
- プロジェクトへの参加
- 改善提案の発表
ポイント: 継続的に関わることで、高校生が「一人前」に近づく実感を得られる。採用にもつながりやすい。
評価とフィードバックの仕組み
評価基準の設定
高校生の成長を測るための評価基準を設定します。
評価項目の例:
- 態度・意欲: 積極性、挨拶、時間厳守
- 作業スキル: 指示通りに作業ができたか
- コミュニケーション: 質問や報告ができたか
- 成長度: 初日と最終日で何が変わったか
評価は、高校生を「採点する」ためではなく、成長を確認し、フィードバックに活かすためのものです。
フィードバックの方法
フィードバックは、高校生の成長を促す重要な機会です。
フィードバックのポイント:
- 具体的に褒める: 「よかったよ」ではなく、「〇〇の作業が丁寧でよかった」と具体的に伝える
- 改善点は前向きに: 「ダメ」ではなく、「次はこうするともっと良くなるよ」と伝える
- 成長を認める: 「初日と比べて、こんなに成長したね」と変化を伝える
フィードバックは、メンターが毎日行い、最終日には経営層からも伝えることで、高校生の自信と意欲が高まります。
学校への報告
インターンシップ終了後、学校への報告を必ず行います。
報告内容:
- 参加生徒の様子(態度、意欲、成長)
- 実施内容(プログラム、学んだこと)
- 今後の改善点
学校への報告を丁寧に行うことで、信頼関係が深まり、次年度以降の受け入れにつながります。
株式会社ゆめスタが運営するゆめアカでは、東海3県40校とのネットワークを活かし、学校との調整やプログラム設計のサポートを行っています。インターンシップ経由で採用した若手社員の3年離職率は16.5%と、一般的な40.8%と比べて大幅に低く、定着率向上にもつながります。
よくある失敗パターンと対策
失敗パターン1: プログラム内容が曖昧
事例: 「とりあえず工場を見学してもらって、あとは現場で考えよう」と準備不足で開始し、高校生が何をすればいいか分からず、時間を持て余してしまった。
対策: 事前にプログラムを詳細に設計し、タイムスケジュールを作成します。分単位で何をするかを決めておくことが重要です。
失敗パターン2: 見学だけで終わる
事例: 見学中心のプログラムで、高校生が「ただ見ただけ」で終わり、成長実感が得られなかった。
対策: 必ず「体験」を取り入れます。見学は30%、体験は70%の割合が理想です。
失敗パターン3: 難しすぎる作業を与える
事例: 高校生に高度な専門作業を任せ、できずに自信を失わせてしまった。
対策: 簡単な作業から始め、段階的に難易度を上げます。「できた!」という成功体験を最優先に考えます。
失敗パターン4: フィードバックがない
事例: インターンシップが終わっても、何の評価もフィードバックもなく、高校生が「何を学んだか分からない」と感じてしまった。
対策: 毎日の振り返りと最終日のフィードバックを必ず実施します。成長を言語化することが重要です。
失敗パターン5: 放置される時間がある
事例: メンターが忙しく、高校生が何をすればいいか分からずに放置される時間があった。
対策: メンターのスケジュールを調整し、常に高校生をサポートできる体制を整えます。一人にならないよう配慮が必要です。
まとめ
重要ポイント
- 目的を明確にすることが、プログラム設計の第一歩
- 高校生の特性(社会経験なし、体験型学習、成長実感を求める)を理解する
- 成長実感を生む5つのポイント: 目標設定、小さな成功体験、社員との対話、振り返り、最終プレゼンテーション
- 期間別プログラム(1日型、5日型、長期型)を目的に応じて選ぶ
- 評価とフィードバックを丁寧に行い、高校生の成長を後押しする
- 学校への報告を必ず行い、信頼関係を構築する
次にすべきこと
- インターンシップの目的を決める: 職業理解、企業PR、採用候補者の確保など
- プログラム内容を具体的に設計する: タイムスケジュールを作成
- メンターを選定する: 高校生を指導できる社員を選ぶ
- 学校と調整する: プログラム内容を学校に提案し、すり合わせる
- 振り返りとフィードバックの仕組みを整える: 評価シートや日報のフォーマットを準備
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