「デュアルシステムに興味はあるけど、どうやって学校と連携すればいいのか分からない」「実施校にどうアプローチすればいいのか」そんな悩みを抱えていませんか?
実際に、デュアルシステムは学校と企業が長期的に連携する制度であり、通常のインターンシップとは異なる準備と関係構築が必要です。しかし、正しいアプローチ方法を知ることで、協力企業として受け入れられる可能性が高まります。
この記事では、デュアルシステム実施校との連携方法、工業高校・商業高校へのアプローチ、協力企業になるための具体的な手順を詳しく解説します。
この記事で分かること
- デュアルシステム実施校の特徴と種類
- 実施校へのアプローチ方法と連携の流れ
- 協力企業として選ばれるための条件
- 成功する連携のポイントと注意点
- よくある質問と課題への対処法
読了時間: 約8分
目次
デュアルシステム実施校とは?
デュアルシステム実施校は、学校と企業が連携して生徒を育成する職業教育プログラムを導入している高校です。
デュアルシステムの基本概要
デュアルシステムとは、生徒が学校での授業と企業での長期実習を並行して行う教育制度です。通常のインターンシップが数日〜1週間程度なのに対し、デュアルシステムは1年間にわたり毎週1日(例:毎週水曜日)企業で実習を行います。
出典: 文部科学省「専門高校等における『日本版デュアルシステム』推進事業」
主な実施校の種類
デュアルシステムを導入している学校は、主に以下のタイプがあります。
1. 工業高校
対象学科:
- 機械科
- 電気科
- 電子科
- 建築科
- 土木科
実施例:
- 東京都立六郷工科高等学校(デュアルシステム科)
- 東京都立葛西工科高等学校(デュアルシステム科)
- 東京都立多摩工科高等学校(デュアルシステム科)
- 茨城県立日立工業高等学校
- 須坂創成高校創造工学科(長野県)
2. 商業高校
対象学科:
- 商業科
- 情報処理科
- 会計科
実施例:
- 宮城県一迫商業高等学校
3. 専門学科を持つ総合高校
地域によっては、総合高校の専門学科でデュアルシステムを導入している学校もあります。
デュアルシステム実施校の特徴
デュアルシステム実施校には、以下の特徴があります。
1. カリキュラムへの組み込み 企業実習が正式な授業として単位認定される(例:6単位)
2. 長期的な実習体制 1年間にわたり継続的に企業で実習を行う
3. 学校と企業の密な連携 学校側の教員と企業側の指導者が定期的に情報共有
4. 地域産業との結びつき 地域の製造業や建設業など、地場産業との連携が強い
実施校の探し方
デュアルシステム実施校を見つけるには、以下の方法があります。
1. 都道府県教育委員会に問い合わせ 各都道府県の教育委員会が実施校の情報を持っています。
2. 工業高校のウェブサイトを確認 多くの工業高校がデュアルシステムの実施状況をウェブサイトで公開しています。
3. 商工会議所・地域の産業団体に相談 地域の商工会議所や産業団体が学校との橋渡しをしてくれることがあります。
4. ゆめアカのような支援サービスを利用 株式会社ゆめスタが運営するゆめアカでは、東海3県40校とのネットワークを活かし、デュアルシステム実施校との連携をサポートしています。
デュアルシステムに協力する企業のメリット
デュアルシステムに協力する企業には、通常のインターンシップを超える多くのメリットがあります。
メリット1: 長期間での人材育成が可能
1年間にわたり継続的に生徒と接することで、技術やスキルをしっかりと教え込むことができます。
具体例:
- 毎週1日(年間約40日)の実習で、基礎から応用までステップアップ
- 生徒の成長を実感しながら育成できる
- 卒業後の採用につなげやすい
メリット2: 採用前に人物を見極められる
長期間の実習を通じて、生徒の性格、適性、働きぶりを十分に観察できます。
メリット:
- ミスマッチのリスクが大幅に減少
- 生徒も会社の雰囲気を理解した上で就職を決められる
- 早期離職率の低下(通常の採用より定着率が高い)
メリット3: 学校との信頼関係が構築できる
デュアルシステムへの協力は、学校から高く評価されます。
効果:
- 翌年以降も継続的に生徒を受け入れられる
- 学校推薦を得やすくなる
- 他の生徒の応募も増える可能性がある
メリット4: 社内の指導力が向上する
若手を長期間指導することで、社内の先輩社員の指導スキルが向上します。
効果:
- OJT体制の強化
- ベテラン社員のモチベーション向上
- 技術継承の意識が高まる
メリット5: 地域貢献・社会貢献につながる
地域の若者育成に貢献することで、企業のブランドイメージが向上します。
効果:
- 地域での認知度向上
- 採用ブランディング
- 自治体や商工会議所との関係強化
実施校へのアプローチ方法
デュアルシステム実施校に協力企業として受け入れてもらうには、適切なアプローチが必要です。
ステップ1: 実施校の情報を収集する
まず、地域のデュアルシステム実施校を特定します。
情報収集の方法:
- 都道府県教育委員会のウェブサイトを確認
- 工業高校・商業高校のウェブサイトを巡回
- 地域の商工会議所に相談
- ゆめアカなどの支援サービスに問い合わせ
ステップ2: 学校の窓口に連絡する
実施校が見つかったら、まずは学校に連絡を取ります。
連絡先:
- 進路指導部(キャリア教育担当)
- デュアルシステム担当教員
- 学校代表電話(受付で担当部署につないでもらう)
連絡時のポイント:
- 会社名、業種、所在地を明確に伝える
- デュアルシステムへの協力希望を伝える
- 簡単に会社の特徴・強みを説明する
- 面談の日程調整を依頼する
電話での第一声の例:
「お世話になります。〇〇市で製造業を営んでおります△△株式会社の□□と申します。御校のデュアルシステムに協力企業として参加させていただきたく、ご連絡いたしました。デュアルシステムの担当の先生とお話しできますでしょうか?」
ステップ3: 学校訪問と面談
学校から面談の許可が出たら、必ず学校を訪問します。
訪問時の準備:
- 会社案内・パンフレット
- 事業内容の説明資料
- 受け入れ可能な職種・業務内容の説明
- 実習環境(安全対策、指導体制)の資料
面談で伝えるべきこと:
- 会社の事業内容と強み
- 生徒に教えられる技術・スキル
- 安全管理・指導体制
- 過去の実習受け入れ実績(あれば)
- 長期的に協力したい意思
学校側が確認するポイント:
- 生徒を安全に受け入れられる環境か
- 指導できる社員がいるか
- 継続的に協力してくれるか
- 教育的な視点を持っているか
ステップ4: 協力企業としての登録
学校側が受け入れを承認したら、協力企業として正式に登録されます。
手続き:
- 協力企業登録申請書の提出
- 実習内容の打ち合わせ
- 三者協定(学校・企業・保護者)の締結
- 保険の加入確認
ステップ5: 生徒のマッチング
学校側で生徒と企業のマッチングが行われます。
マッチングの方法:
- 学校側が生徒の希望と企業の受け入れ条件を調整
- 事前の職場見学(生徒が企業を訪問)
- 面談・面接(必要に応じて)
連携の流れと必要な準備
デュアルシステムの協力企業として実習を受け入れるまでの具体的な流れを説明します。
年間スケジュール
デュアルシステムの実習は、主に2年生または3年生で実施されます。
一般的なスケジュール(2年次実施の場合):
| 時期 | 学校側の動き | 企業側の動き |
|---|---|---|
| 1年生3月 | 協力企業の募集・マッチング | 学校への連絡・訪問 |
| 2年生4月 | 実習開始前オリエンテーション | 受け入れ準備 |
| 2年生5月〜翌年2月 | 毎週1日の企業実習(例:毎週水曜日) | 生徒の受け入れ・指導 |
| 2年生3月 | 実習の振り返り・評価 | 評価報告書の提出 |
企業側の準備事項
協力企業として生徒を受け入れる前に、以下の準備が必要です。
1. 指導体制の整備
必要な体制:
- 実習指導責任者の選任(1名)
- 実習指導員の選任(1〜2名)
- 緊急連絡体制の構築
指導員の条件:
- その分野で5年以上の実務経験がある社員
- 指導・教育に前向きな姿勢を持つ社員
- 安全管理の意識が高い社員
2. 実習プログラムの作成
プログラムに含めるべき内容:
- 年間の実習スケジュール(40日程度)
- 各回の実習内容と目標
- 安全教育の計画
- 評価方法
プログラム例(機械加工の場合):
1〜5回目: 安全教育、工場見学、基本操作の説明
6〜10回目: 測定工具の使い方、図面の読み方
11〜20回目: 旋盤・フライス盤の基本操作
21〜30回目: 実践的な加工作業
31〜40回目: 製品製作、品質管理の学習
3. 安全対策
必須の安全対策:
- 作業服・安全靴・保護具の準備
- 危険箇所の明示と立入禁止エリアの設定
- 機械設備の安全装置の確認
- 緊急時の対応マニュアル作成
4. 保険の確認
必要な保険:
- 学校側: 学生総合保険(通常、学校側で加入済み)
- 企業側: 労災保険の適用確認
三者協定の締結
デュアルシステムでは、学校・企業・保護者の三者で協定を締結します。
協定の内容:
- 実習の目的と内容
- 実習期間と時間
- 双方の役割と責任
- 安全管理と事故対応
- 個人情報の取り扱い
- 実習中止の条件
成功する連携の5つのポイント
デュアルシステムを成功させるためのポイントを紹介します。
ポイント1: 学校との密なコミュニケーション
実習期間中、学校との定期的な連絡が重要です。
具体的な方法:
- 毎月1回の報告(電話またはメール)
- 生徒の成長や課題を共有
- 問題が発生したらすぐに学校に連絡
- 学校側の訪問を歓迎する
ポイント2: 段階的な指導
いきなり難しい作業をさせるのではなく、段階的に指導します。
指導のステップ:
- 安全教育・工場見学(1〜2ヶ月)
- 基本的な作業の見学・補助(2〜3ヶ月)
- 簡単な作業の実践(3〜4ヶ月)
- 実践的な作業(5〜6ヶ月以降)
ポイント3: 生徒の成長を記録する
実習日誌や評価シートを活用して、生徒の成長を記録します。
記録の内容:
- 毎回の実習内容
- 生徒の習得度
- 良かった点・改善点
- 次回の目標
ポイント4: 社員全員で受け入れる
指導員だけでなく、社員全員で生徒を温かく迎え入れる雰囲気を作ります。
効果:
- 生徒が安心して質問できる
- 多様な技術・知識を学べる
- 会社の雰囲気を理解してもらえる
ポイント5: 採用につなげる視点を持つ
デュアルシステムは、採用活動の一環でもあります。
採用につなげる方法:
- 実習中に会社の魅力を伝える
- 卒業後のキャリアパスを示す
- 先輩社員との交流機会を作る
- 「この会社で働きたい」と思わせる環境づくり
実際に、ゆめアカが支援する企業では、デュアルシステム経由で採用した若手社員の定着率が非常に高く、3年離職率16.5%という成果を出しています。
よくある質問と課題
デュアルシステムの実施校との連携でよくある質問と課題を紹介します。
Q1. 小規模企業でも協力できますか?
A. はい、可能です。従業員10名以下の小規模企業でも、指導体制が整っていれば協力企業として受け入れられます。むしろ、小規模企業の方が生徒との距離が近く、きめ細かな指導ができる利点があります。
Q2. 実習中の給与は支払う必要がありますか?
A. デュアルシステムは教育プログラムの一環であり、基本的に給与の支払いは不要です。ただし、交通費や昼食代を支給する企業もあります。
Q3. 毎週同じ曜日に受け入れるのが難しいのですが…
A. 学校側と相談して、柔軟に対応できる場合があります。繁忙期は週1回ではなく月2回にするなど、調整可能な場合もあります。
Q4. 事故が起きた場合の責任は?
A. 基本的に学校側の保険でカバーされますが、企業側も安全管理の責任を負います。三者協定で責任範囲を明確にしておくことが重要です。
Q5. 1年間続けられるか不安です
A. 最初は不安があるかもしれませんが、多くの企業が「想像以上に良かった」と回答しています。まずは1年間取り組んでみて、翌年以降も継続するか判断することができます。
Q6. 学校との連携が初めてで不安です
A. ゆめアカのような支援サービスを活用することで、学校との橋渡しや連携サポートを受けられます。東海3県40校とのネットワークを持つゆめアカなら、スムーズな連携をサポートします。
まとめ
重要ポイント
- デュアルシステム実施校は主に工業高校と商業高校で、1年間にわたる長期実習プログラムを提供
- 協力企業になるメリットは、長期間での人材育成、採用前の見極め、学校との信頼関係構築など多数
- アプローチ方法は、実施校の情報収集→学校への連絡→訪問・面談→協力企業登録→生徒のマッチングの順
- 成功のポイントは、学校との密なコミュニケーション、段階的な指導、生徒の成長記録、社員全員での受け入れ、採用につなげる視点
- 小規模企業でも協力可能で、給与支払いは基本的に不要
次にすべきこと
-
地域のデュアルシステム実施校を調査する
- 都道府県教育委員会のウェブサイトを確認
- 工業高校・商業高校のウェブサイトをチェック
-
自社の受け入れ体制を整える
- 指導責任者・指導員の選任
- 実習プログラムの検討
- 安全対策の確認
-
学校に連絡を取る
- デュアルシステム担当教員にアポイントを取る
- 会社案内と受け入れ可能な内容を準備
-
支援サービスに相談する
- 初めての場合は、ゆめアカなどの支援サービスに相談
- 学校との橋渡しやプログラム設計のサポートを受ける
ゆめアカへのご相談はこちら
デュアルシステム実施校との連携でお悩みの企業様は、ぜひゆめアカにご相談ください。東海3県40校とのネットワークを活かし、貴社に最適な学校との連携をサポートします。実習プログラムの設計から運営まで、一貫してサポートいたします。
関連記事
この記事は、株式会社ゆめスタが運営するゆめスタアカデミー(ゆめアカ)が提供しています。 高卒採用・インターンシップ支援の実績とノウハウをもとに、 中小企業の採用成功をサポートしています。




