「高校生のインターンシップで、何を教えればいいか分からない」「どこまで仕事を任せていいのか不安」そんな悩みを抱えていませんか?
実際に、多くの企業がインターンシップの内容設計で悩んでおり、適切な指導レベルや範囲が分からず、準備に時間がかかっています。
しかし、高校生インターンシップの目的は「一人前の仕事をさせること」ではなく、「仕事のイメージを持ってもらうこと」です。適切な内容を理解すれば、無理なく効果的なプログラムを設計できます。
この記事では、高校生インターンシップで教えるべきこと、教えてはいけないことを具体的に解説します。
この記事で分かること
- 高校生インターンシップで教えるべき5つのこと
- 絶対に教えてはいけない3つのNG項目
- 期間別(1日・5日・長期)の適切な指導内容
- 指導する際の具体的な注意点
読了時間: 約8分
目次
高校生インターンシップの目的を理解する
高校生インターンシップで何を教えるかを考える前に、まずインターンシップの目的を正しく理解することが重要です。
高校生インターンシップの3つの目的
目的①:仕事のイメージを持ってもらう
高校生の多くは、具体的な仕事内容をイメージできません。インターンシップを通じて「この仕事はこういうことをするんだ」という理解を持ってもらうことが第一の目的です。
目的②:企業の雰囲気を体験してもらう
職場の雰囲気、先輩社員の人柄、働く環境などを実際に体験することで、企業への理解を深めてもらいます。これが入社後のミスマッチ防止につながります。
目的③:働くことへの意欲を高める
実際の仕事を体験することで、働くことへの興味や意欲を高めます。キャリア教育の一環として、社会人としての基礎を学ぶ機会でもあります。
インターンシップは「一人前の仕事」を求めない
重要なのは、高校生に一人前の仕事をさせることが目的ではないという点です。株式会社ゆめスタのゆめアカでは、「高校生が成長を実感できる」ことを重視したプログラム設計を支援しています。
教えるべき5つのこと
高校生インターンシップで教えるべき内容を、優先順位順に紹介します。
①社会人としての基本マナー
具体的な内容:
- 挨拶の仕方(おはようございます、お疲れ様です)
- 返事の仕方(はい、分かりました)
- 報告・連絡・相談の重要性
- 時間を守ることの大切さ
- 服装や身だしなみの基本
なぜ重要か:
社会人として最も基本となるスキルです。これらは学校では十分に教わっていないことが多く、インターンシップで学ぶことで大きな成長につながります。
指導のポイント:
最初に明確に説明し、インターンシップ期間中に実践を通じて身につけてもらいます。できたときは必ず褒めて、良い行動を強化しましょう。
②仕事の流れと全体像
具体的な内容:
- 会社が何を作っているか、どんなサービスを提供しているか
- その仕事が誰のためになっているか(顧客、社会)
- 一つの製品やサービスができるまでの流れ
- 各部署の役割とつながり
なぜ重要か:
仕事の意義や全体像を理解することで、単純作業でもモチベーションが上がります。「自分の仕事が社会の役に立っている」という実感が大切です。
指導のポイント:
実際の製品や完成品を見せながら説明すると理解しやすくなります。可能であれば、複数の部署を見学させることで全体像が掴みやすくなります。
③安全に関する知識
具体的な内容:
- 工場や作業場の安全ルール
- 機械や工具の正しい使い方
- 危険な場所や注意が必要な作業
- 緊急時の対応方法
- 5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の重要性
なぜ重要か:
高校生は未成年であり、安全管理は企業の責任です。事故やケガを防ぐため、安全教育は最優先事項です。
指導のポイント:
実施前に必ず安全教育を行い、危険な作業には絶対に参加させません。見学だけでも十分に学びになります。
④簡単な実務体験
具体的な内容:
- 検品や梱包などの補助作業
- データ入力や資料整理
- 簡単な組立作業
- 電話対応の見学(実際に取らせる必要はない)
- 顧客対応の見学
なぜ重要か:
実際に手を動かすことで、仕事のリアルな感覚を掴めます。簡単な作業でも、達成感や成長実感につながります。
指導のポイント:
高校生のスキルレベルに合わせた作業を選び、必ず付き添いながら指導します。できたときは具体的に褒めることが重要です。
⑤先輩社員との交流
具体的な内容:
- 若手社員との座談会
- 休憩時間の雑談
- 仕事のやりがいや苦労話
- 高校時代の話や進路選択の経緯
- 1日の仕事の流れ
なぜ重要か:
先輩社員との交流を通じて、「この会社で働きたい」という気持ちが芽生えます。特に年齢の近い若手社員との対話は、高校生にとって貴重な経験です。
指導のポイント:
事前に社員に趣旨を説明し、高校生が質問しやすい雰囲気を作ります。社員の本音や仕事の楽しさを語ってもらうことが効果的です。
教えてはいけない3つのNG項目
高校生インターンシップでは、以下のことを教えてはいけません。法的な問題や教育的な観点から、注意が必要です。
NG①:危険な作業や専門性の高い業務
具体例:
- 重機の操作
- 高所作業
- 化学薬品の取り扱い
- 刃物を使った作業
- 機械の分解や修理
理由:
高校生は労働基準法で保護されており、危険な作業や深夜労働は法律で禁止されています。また、専門知識がない状態で高度な業務を任せると、事故やミスにつながります。
代替案:
危険な作業は見学のみにとどめ、安全な場所から作業を見てもらいます。その上で、なぜ危険なのか、どのような安全対策をしているかを説明します。
NG②:採用を前提とした選考的な内容
具体例:
- 適性テストやスキルチェック
- 成績や能力の評価
- 採用を意識させる発言(「君を採用したい」など)
- 応募を促す営業的なアプローチ
理由:
高卒採用には一者二社制などのルールがあり、インターンシップは採用活動とは別物として位置づけられています。インターンシップを選考の場にすることは、制度の趣旨に反します。
代替案:
あくまで「職場体験」として実施し、高校生が自然に「ここで働きたい」と思えるような良い体験を提供することに集中します。
NG③:顧客情報や機密情報の取り扱い
具体例:
- 顧客の個人情報へのアクセス
- 未発表の新製品情報
- 経営戦略や財務情報
- パスワードやアカウント情報
理由:
高校生は社会人としての情報管理の訓練を受けていないため、機密情報の取り扱いは避けるべきです。万が一漏洩した場合、企業にとって大きなリスクとなります。
代替案:
機密情報が含まれない範囲での業務体験にとどめます。どうしても必要な場合は、守秘義務について事前に説明し、保護者の同意も得ます。
期間別の適切な指導内容
インターンシップの期間によって、適切な指導内容は異なります。ここでは、期間別のおすすめプログラムを紹介します。
1日型インターンシップ(職場見学中心)
適切な内容:
- 会社説明・工場見学(2時間)
- 簡単な作業体験(1時間)
- 先輩社員との座談会(1時間)
- 質疑応答・振り返り(30分)
ポイント:
1日では深い実務体験は難しいため、会社の雰囲気や仕事の流れを理解してもらうことに集中します。
5日型インターンシップ(実務体験中心)
適切な内容:
- 1日目:オリエンテーション、安全教育、会社見学
- 2-3日目:簡単な実務体験(検品、梱包、データ入力など)
- 4日目:複数部署の見学、先輩社員との交流
- 5日目:振り返り、成果発表、フィードバック
ポイント:
複数日あるため、徐々に業務の難易度を上げていきます。最終日に成果を発表してもらうことで、達成感を味わえます。
長期型インターンシップ(10日以上)
適切な内容:
- 1週目:基礎知識の習得、安全教育、簡単な作業
- 2週目:実務体験の幅を広げる(複数の作業を経験)
- 3週目以降:担当業務を持ち、責任感を育てる
ポイント:
長期インターンシップでは、高校生に「自分の仕事」を持ってもらうことで、より深い理解と成長を促します。ただし、難易度は常にスキルレベルに合わせて調整します。
指導する際の5つの注意点
高校生を指導する際に、社員が気をつけるべきポイントを紹介します。
注意点①:専門用語を使わない
高校生は業界の専門用語を知りません。「QC」「ISO」「5S」などの用語は、必ず説明を加えながら使います。
分かりやすい言葉で、具体例を交えて説明することが大切です。
注意点②:一度にたくさん教えない
高校生の集中力や理解力を考慮し、一度に教える内容は絞ります。一つの作業を確実に理解してから、次のステップに進むようにします。
注意点③:こまめに声をかける
高校生は「分からない」と言い出せないことが多いため、指導者から積極的に声をかけます。「分からないことはない?」「疲れてない?」と気にかけることで、安心して作業できます。
注意点④:できたことを具体的に褒める
「よくできたね」だけでなく、「この作業を丁寧にやってくれて助かったよ」と具体的に褒めることで、高校生の自信とモチベーションが高まります。
注意点⑤:失敗を責めない
高校生は失敗して当然です。失敗したときは、「大丈夫、次はこうしてみよう」と前向きに指導します。失敗から学ぶ機会を作ることが重要です。
まとめ
重要ポイント
- 高校生インターンシップの目的は「一人前の仕事」ではなく「仕事のイメージを持ってもらうこと」
- 教えるべきは、社会人マナー、仕事の全体像、安全知識、簡単な実務体験、先輩との交流
- 教えてはいけないのは、危険な作業、選考的な内容、機密情報の取り扱い
- 期間に応じて適切な内容を設計し、高校生のレベルに合わせた指導を行う
次にすべきこと
- 自社でどのような実務体験が可能か洗い出す
- 安全に配慮したプログラムを設計する
- 指導担当者に高校生指導のポイントを共有する
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